本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。記事内で紹介している商品には、当店で販売しているものが含まれます。
「手首を使うな」と言われたのに、別の人には「手首で回転をかけろ」と言われる——卓球を始めたばかりの人が混乱しやすいのが手首の使い方です。どちらも間違いではありません。場面が違うだけです。
結論を先に書きます。基本の打ち方(フォア・バック・ツッツキ・ブロック)では手首は使いません。ひじから先を1本の棒のように保ち、面の角度を変えないことが先です。手首を使うのはサーブの回転と、台上の短い球を弾くとき——それも「当たる瞬間だけ」です。
握り方そのものはラケットの正しい握り方、痛みの判断は卓球の怪我にまとめています。この記事は手首を「使う場面・使わない場面」の切り分けと、痛いときに見直すところだけを扱います。
まず即答|初心者は「使わない」から入る
- 基本の打ち方では固定——フォア・バック・ツッツキ・ブロックは、ひじから先を1本の棒のつもりで
- 使うのはサーブと台上——回転をかける瞬間と、短い球を弾く(フリック)ときだけ
- 「固定」は力を入れることではない——握りは卵を持つくらい。手首の角度を保つだけ
- 痛いときは、まず握りと振り方——サポーターやテーピングで隠して打ち続けない
順番が大事です。手首を使わない打ち方で球がそろってから、手首を使う技に進みます。逆にすると、面の角度が毎回変わるクセがついて、あとから直すのに時間がかかります。
今すぐ確かめる手順:ラケットを握って、ひじを支点に前後へ10回振ってください。ラケットの先がぶれずに同じ軌道を通れば、手首は固定できています。先が上下に揺れるなら、手首が動いています。
なぜ「手首を使うな」と言われるのか
手首を使うと、面の角度が打つたびに変わります。卓球はラケットの面の向きで球の行き先が決まる競技なので、面が毎回違えば球も毎回違う所へ飛びます。初心者のミスが「そろわない」のは、ほとんどがこれです。
| 手首を使うと起きること | なぜ困るか |
|---|---|
| 面の角度が毎回変わる | 同じ球が来ても、入ったり入らなかったりする |
| 力が伝わらない | 手首の力は小さい。腕と体の力が球に届く前に、手首で逃げる |
| 戻りが遅れる | 手首を返したぶん、次の球までに面を作り直す時間が要る |
| 手首と親指の付け根に負担が集まる | 小さい関節で球の勢いを受けることになる |
だから基本の打ち方では、ひじから先を1本の棒にして、体の回転と腕で運びます。フォアハンドの動きはフォアハンドの打ち方、「戻す」の考え方は卓球のフォアとバックの切り替えにまとめています。
今すぐ確かめる手順:次の練習で、フォアを10本打って、球の高さがそろったかを見てください。ばらばらなら、打つ瞬間に手首が動いています。ひじから先を固めて、もう10本打ちます。
手首を使う場面|サーブと台上だけ
手首を使うのは、小さく速く面を動かしたいときです。腕全体を振ると大きくなりすぎる場面——サーブの回転と、台の上の短い球に限られます。
| 場面 | 手首の役目 | どれくらい使うか | 記事 |
|---|---|---|---|
| サーブ | 当たる瞬間に面を速く動かして回転をかける | 当たる瞬間だけ。振り始めは固定 | サーブの種類 |
| フリック | 台上の短い球を、腕を振る余地がない所で弾く | ひじを支点に、手首で面を前へ返す | 台上技術 |
| バックハンドドライブ | ひじを支点にした振りに、手首を少し足して回転を増やす | 補助。主役はひじ | ドライブの打ち方 |
| 巻き込みサーブ | 手のひらを外へ返す動きそのものが回転になる | 当たる瞬間だけ | 巻き込みサーブ |
共通するのは「当たる瞬間だけ」です。振り始めから手首を動かしているのではなく、固定した状態から、当たる直前に一度だけ返す。これができると、同じ振りから違う回転が出せるようになります。
サーブで手首を使うのは、回転をかけるためです。厚く当たっていると手首を使っても回転はかかりません。薄くこする当て方は卓球のサーブの種類の「回転をかけるコツ」にあります。
今すぐ確かめる手順:サーブのトスを上げずに、ボールを手のひらに乗せたまま、ラケットの面をボールの下でシュッと一度だけ返してみてください。当たる瞬間だけ動かす感覚は、この動きと同じです。
手首を使わない場面|基本の4つ
次の4つは、手首を固定したほうが入ります。手首で何とかしようとするほど、球はそろわなくなります。
| 技 | 手首を使いたくなる理由 | 代わりに動かすところ |
|---|---|---|
| フォアハンド | 力を入れたくて手首をこねる | 体の回転と腰。腕は運ぶだけ |
| バックハンド | 体の正面で窮屈なので手首で返す | ひじを支点に、面を前へ押し出す |
| ツッツキ | 回転をかけたくて手首で切る | 面の角度を決めて、腕で前へ。切るのはひじから先の動き |
| ブロック | 球の勢いに負けて手首が折れる | 握りを緩めて、面を作って待つ。振らない |
ブロックは特に、手首が折れていると面が上を向いてオーバーします。相手のドライブを止める形は卓球のブロック、ツッツキの面の作り方はツッツキとは?にまとめています。
今すぐ確かめる手順:バックハンドを10本打つときに、ラケットの先が相手のほうを向いたままかを見てください。打ったあとに先が自分の左(右利きの場合)を向いていたら、手首で返しています。
「固定」は力を入れることではない
「手首を固定しろ」と聞くと、手首に力を入れて握り込む人がいます。これは逆効果です。握り込むほど、腕全体が固まって振れなくなります。
- 握りは卵を持つくらい——力は入れない。落とさない程度
- 手首の角度を保つ——構えたときの角度のまま、振っても変えない
- ひじから先を1本にする——動かすのはひじと肩。手首は「動かさない」だけで「力を入れる」のではない
- 打った直後に握りを緩める——握ったままだと戻りが遅れる
握りが強すぎると、手首だけでなく親指の付け根も痛くなります。握りの強さと、指の位置の目印はラケットの正しい握り方にまとめています。グリップが手に合っていないと握り込みやすくなるので、太さの確かめ方もそちらを見てください。
今すぐ確かめる手順:ラケットを握った状態で、誰かにラケットの先を軽く引っ張ってもらってください。簡単に抜けそうなら握りが弱すぎ、びくともしないなら強すぎです。「少し抵抗して抜ける」くらいが目安です。
手首が痛いとき|見直す4つ
手首が痛くなる原因は、たいてい打ち方か道具にあります。痛みを止める前に、まず何が原因かを見ます。その日に打つかどうかの判断は、卓球の怪我の3つの線で決めてください。ここでは原因の見つけ方だけ書きます。
| 見直すところ | 当てはまる人 | やること |
|---|---|---|
| 握りが強すぎる | 打ったあとも握ったまま。手のひらが赤い | 卵を持つ握りに戻す。打った直後に緩める |
| 手首でこねている | フォアの打ち終わりに手首が返っている | ひじから先を1本にして、体で運ぶ |
| ラケットが重い | 素振りで手首が疲れる。振り遅れる | 板とラバーの重さを確かめる。中学生の卓球ラケットの選び方 |
| 同じ練習が続いている | サーブの連続練習、台上の細かい処理ばかりの週 | メニューを混ぜる。卓球の練習メニュー |
サポーターやテーピングで固定して打ち続けるのは、痛みを隠しているだけです。貼って痛みが減ったことを「治った」と読み替えないでください。当店では手首用のサポーターは扱っていません。使うかどうかは、医療機関で相談してからにしてください。
痛みが引いたあとの戻し方や、迷わず受診してほしいサインは卓球の怪我にまとめています。
今すぐ確かめる手順:痛みが出た日の練習で何を何本やったかを1行だけ書いてください。「サーブ100本」「台上の練習30分」のように書くと、原因が同じ練習に偏っているかが見えます。
手首を鍛える必要はあるか
「手首を鍛えれば回転が増える」と聞くことがありますが、初心者の段階では、鍛えるより先に使い分けです。固定できていない手首を強くしても、面がぶれる打ち方が強くなるだけです。
| やること | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 素振りで「固定」を体に入れる | 先にやる | 手首を動かさない振りが体に入る。卓球の素振り |
| ボールつき(リフティング) | 先にやる | 面の角度を保つ感覚と、当たる瞬間だけ動かす感覚の両方が身につく |
| 重りやトレーニング器具で手首を鍛える | 初心者は不要 | 卓球で要る手首の強さは、上の2つで足りる。痛めるほうが早い |
ボールつきのやり方は卓球の一人練習メニューにあります。ラケットの表と裏で交互に突くと、面を返す動きが手首に入ります。これが台上の技につながります。
用具で変わること|グリップの太さとテープ
手首の負担は、道具でも変わります。変えるなら順番はグリップの太さ→ラケットの重さ→グリップテープです。
- グリップが細すぎる——握り込んで手首に力が入る。手の大きさに対して細いなら、グリップテープで太さを足せる
- ラケットが重すぎる——手首で支える時間が長くなる。板の重さはメーカーが公表している
- グリップテープ——滑って握り込む人には効く。巻き方と要らない人は卓球のグリップテープ
汗で滑るときは、テープより先にタオルとリストバンドで手を乾かすほうが簡単です。当店ではNL・リストバンド2(税込¥880・幅7cm)のような手首で汗を受けるものを扱っています。ラケットの重さの選び方は卓球ラケットの選び方にまとめています。
まとめ
手首は「使う場面」と「使わない場面」を分けるものです。基本の打ち方では固定し、ひじから先を1本の棒にして体で運びます。使うのはサーブの回転と台上の短い球、それも当たる瞬間だけ。
「固定」は力を入れることではありません。握りは卵を持つくらい、手首の角度を保つだけ。打った直後に緩めます。
痛いときは、サポーターで隠す前に握り・振り方・ラケットの重さ・練習の偏りの4つを見直してください。その日に打つかどうかは、怪我の記事の3つの線で決めます。
用具えらびのチェックリスト(PDF)をお送りします
はじめて道具をそろえるときに「何を・どの順番で決めるか」を1枚にまとめたものです。印刷して、そのままお店で使えます。あわせて、ラバーを貼った状態で届く貼り上がり完成ラケット(来春の予約企画)の先行案内もお届けします。
