卓球の怪我|多い部位と腰痛・親指の痛みの目安

【本記事について】
本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。記事内で紹介している商品には、当店で販売しているものが含まれます。

「腰が痛い」「親指の付け根が痛い」と言われたときの分かれ目は、打っている最中以外でも痛いかどうかです。着替え・かばんを持つ・階段・寝返りでも痛むなら、その日は打たせずに整形外科へ。打ち始めの数分だけで、あとは出ないなら、練習の量と中身を見直しながら毎日確かめ直す——ここが出発点になります。

この記事は診断をするものではありません。当サイトの運営者は卓球の指導者で、医療の資格は持っていません。書けるのは「用具と練習の組み方で周りができること」と「自己判断をやめて受診したほうがいい目安」までです。原因を決めるのは体を見た医療機関の仕事です。

扱うのは「休ませるか、続けさせるか」を周りの大人が決める場面ひとつだけです。構えの姿勢そのものの作り方は卓球のフットワーク|3つの基本の動きと家でできる練習にまとめてあるので、そちらを読んでください。

まず判断する|この3つのどれかに当てはまったら、その日は打たせない

休ませるか続けさせるかで迷うとき、その場で見分けられる線は3本あります。1本でも当てはまったら、その日はラケットを持たせないと決めておくと、毎回悩まずに済みます。

  • 線① 打つ動作以外でも痛い——着替える、かばんを持ち上げる、階段を下りる、寝返りを打つ。卓球と関係のない動きで痛みが出るなら、卓球の場で様子を見る段階ではありません。
  • 線② 打ち始めて10分たっても引かない、または後半で強くなる——数分で消えるのと、時間とともに増えるのとは別物です。増えるほうは、その日はそこで終わりにします。
  • 線③ 痛くない打ち方に変わっている——ひじが上がらない、回り込まない、片足で踏ん張らない。かばった動きは負担の行き先が変わるだけです。

3本とも当てはまらないなら、量と中身を見直しながら続けてかまいません。ただし練習のたびに3本を確かめ直します。この3本は「様子を見てよい段階か」を分ける線であって、痛みの正体を当てる線ではありません。

今すぐ確かめる手順:ラケットを置かせて、痛いと言っている場所を使う動きだけをその場でやってもらいます(腰なら前かがみからひねる、親指なら物をつまむ)。打たなくても痛みが出るかどうかが、線①の答えです。

迷わず受診してほしいサインと、持っていくメモ

次のどれかがあるときは、休ませて様子を見るのではなく、先に受診してから続ける・休むを決めます。かかるのは整形外科です。

  • 腫れている、熱を持っている、色が変わっている
  • 押さなくてもズキズキする、夜に痛くて眠れない
  • 1週間たっても、同じ場所が同じように痛い
  • しびれる、力が入らない、動かせる範囲が狭くなった
  • ぶつけた・ひねった・転んだなど、はっきりしたきっかけがある

大事なのは受診するかどうかを本人に決めさせないことです。部活の生徒は「病院に行くほどじゃない」と言います。判断は大人が引き取ってください。

受診のときに持っていくメモ(4項目)
  1. いつから——日付でなく「先週の火曜の練習の途中から」でかまいません
  2. どこが——本人に指1本で1点をさしてもらう。「腰のあたり」ではなく点で
  3. どの動作で——サーブのとき/動いたとき/打ったあと/打つ前から
  4. 痛みの変化——減っている・同じ・増えている。10のうちいくつ、で答えてもらう

今すぐ確かめる手順:痛いほうと痛くないほうを並べ、明るいところで見比べます。腫れや色の違いは片方だけ見ていると気づけません。そのうえで4項目をメモに1行残します。

卓球で負担が集まりやすい場所と、その動作

どこが痛いのかを聞いたら、その場所を卓球のどの動きで使うかを先に押さえます。原因の特定ではなく、メニューのどこを外すかを決めるためです。

場所卓球のどの動きで使うか訴えが出やすい場面
前かがみのまま、1本ごとに上体をひねって戻す回り込みの連続、下回転を持ち上げる練習、試合の後半
肩・ひじ腕を振り出し、当てたあと止める動きの繰り返しスマッシュ中心のメニュー、素振りを増やした週
手首・親指の付け根ラケットを握って支え、打つ角度を作るサーブの連続練習、台の上で小さく処理する練習
ひざ低い姿勢で構え、そこから左右へ移って止まる動きを入れた多球練習、床が硬い会場
足首・かかと・足の裏床を蹴って動き出し、急に止まって方向を変える靴を替えた直後、すり減った靴のまま、滑る/止まりすぎる床

ボールは重さ2.7gです(ITTF 2.3.2)。1球が体に響く競技ではありません。効いてくるのは同じ動きを何百回も繰り返すことのほうです。運動の強さで見ると卓球は4.0メッツで、速歩(5.6km毎時=4.3メッツ)とほぼ同じ(国立健康・栄養研究所『改訂版 身体活動のメッツ表』コード15660)。その強さの動きを方向転換つきで2時間続けている、と考えると、話が「フォーム」より先に「量」だと分かります。

今すぐ確かめる手順:「どの練習の、何本目くらいから痛いか」を言ってもらいます。メニュー名と本数が出てきたら、そこが今週減らす対象です。

「腰が痛い」と言われたとき、周りが確かめられること

卓球台は床から76cmの高さと決まっていて(ITTF 2.1.1)、大人にも小学生にも同じ高さです。つまり背が低い人ほど台は相対的に高く、背が高い人ほど低い——同じ「低い構え」でも体にかかる形は人によって違います。

腰から曲げているか、ひざから下げているか

低く構えようとして、上体だけを前に倒している人がいます。この形だと、上半身の重さを腰まわりだけで支えたまま1本ごとにひねることになります。同じ高さでも、ひざを曲げて体全体を下げれば支える場所が脚に移ります。構えの作り方は卓球のフットワーク|3つの基本の動きと家でできる練習にあります。

ひねる回数が多いメニューを外す

回り込み(フォアハンドで打つために体を横へ動かす動き)と、打ったあと元の位置へ戻る動きは、上体をひねって戻す回数が多くなります。腰の訴えが出ている間は、この2つを含むメニューを外し、その場で打てるメニューに置き換えます。外す・残すの目安は後の章の表にまとめました。

練習以外も見てください。ボール拾いは1回の練習で何十回にもなります。上体だけで折れて拾う形をしゃがむ形に変えれば、ひねって戻す回数が減ります。

今すぐ確かめる手順:構えた姿勢を真横から見ます。頭だけが前に出て、耳が肩より前にあるなら、ひざを2〜3cm深く曲げて頭の位置を肩の上に戻してもらいます。同じ低さのまま、支える場所が変わります。

「親指の付け根が痛い」と言われたとき

親指の付け根は、卓球ではラケットを支える側の場所です。強く握るほど、支える仕事がそこ1点に集まります。周りが確かめられるのは次の3つです。

握りが強すぎないか

始めたばかりの人ほど「強く握らないと飛ばない」と思って握力を上げます。飛ぶかどうかを決めるのは握る力ではなく、当たる場所と振る速さです。握り方はラケットの正しい握り方|シェーク・ペン別に解説にまとめてあります。ペンホルダーは親指と人差し指ではさんで支える持ち方なので、そこに集まりやすい構造です。持ち方を変えるのは大きな変更なので、痛みが引いてから、教えてくれる人がいる場で。

グリップの太さが手に合っているか

手が小さい人が太いグリップを握ると、指が回りきらずに親指で押さえる形になります。逆に細すぎても、余った分を握り込んでしまいます。太さは、ハンドルに巻くグリップテープで足すことができます。これはルールの上でも認められている変更です——ブレードや打球面は継ぎ目なく均一な厚さでなければなりませんが、「ラケットを持つためのハンドルを形づくるのに適した材料は付け加えてよい」と明記されています(ITTF 2.4.4)。指で握る部分は、覆わないままでも、どんな材料で覆ってもかまいません(2.4.5)。

注意点がひとつ。ラバーは、ITTFのロゴ・番号・供給者名などがハンドルにいちばん近いところではっきり見えるように貼ることになっています(ITTF 3.2.1.3)。テープをラバー側まで巻き上げて隠すと公認大会で指摘されます。巻くのはハンドルまでです。

当店で扱っているものだと、グリップテープ(ニッタク)が¥440、ソフトグリップテープ2(バタフライ)が¥495です。太さが1〜2mm変わると握り方が変わります。合わなければ外して元に戻せるので、用具まわりでいちばん試しやすい変更です。ただし痛みが軽くなるかどうかは、こちらでは分かりません。

重いラケットを我慢して使っていないか

競技規則では、ラケットの大きさ・形・重さに制限はありません(ITTF 2.4.1)。軽いものを選ぶのは規則上まったく問題のない選択です。「重いほうが強い球が出る」と言われて振り切れない板を使い続けている人がいます。比べるのは板だけの重さではなく、ラバーを2枚貼ったあとの重さです。片手で構えを10秒保てないなら重すぎます。

今すぐ確かめる手順:構えさせて、親指の付け根が白くなるほど押しつけていないか見ます。次に、こちらがラケットの先を軽く引っぱって、抜けない範囲まで力を抜いてもらいます。その強さが、その人にとって握る力の上限です。

靴と靴下を確かめる|足やかかとが痛いとき

足の訴えが出たときは、道具の側に今日その場で確かめられることが5つあります。体のことは分からなくても、靴の状態なら誰でも見られます。

  • サイズ——立った状態で、いちばん長い指の先に指1本ぶんの余りがあるか。足は伸びるので、去年買った靴のままになっていないか
  • かかとの内側——履くときにかかとを踏んでいると、内側がつぶれて足が固定されなくなります
  • 靴底のすり減り——前足部の外側と、親指の付け根の下。左右で減り方が違うなら、動きに片寄りがあります
  • 上履き・体育館シューズで代用していないか——横に細かく動いて急に止まる前提で作られていません
  • 靴下——薄くなって穴が開きかけたものを履き続けていないか(当店のショートカラー・ソックスIIIは¥1,210)

部活で「みんなと同じ靴でそろえないと」と言われ、足に合わないものを履いている人がいます。そろえる必要はありません。団体戦のチームは同じ服装でそろえると決められていますが、靴下と靴はその例外と明記されています(ITTF 3.2.2.7)。

サイズの測り方と、通販で外さないための手順は卓球シューズの選び方|サイズの決め方にまとめてあります。足の長さを測る・表示サイズを決める・今履いている靴で答え合わせをする、の3ステップです。

今すぐ確かめる手順:両足の靴を床に並べ、真後ろからかかとを見ます。片方だけ内側や外側に傾いて立つなら、その靴はもう足を支えていません。中敷きも抜いて、かかとの当たる部分を見ます。

練習の組み方で減らせること

卓球の練習は、放っておくと同じ動作の反復に寄っていきます。多球練習(1球ずつ出してもらって続けて打つ練習)は、同じコースを100本続けられてしまうからです。組み方で減らせるのは次の4つです。

  • 同じ動作を続けない——フォアだけを長く続けず、途中でバックやコース変えをはさむ。使う場所が散ります
  • 本数ではなく時間で切る——「フォアクロス100本」ではなく「5分」。本数で決めると、疲れた人ほど数を追いかけて動きが雑になります
  • 急に増やさない——長期休み・大会前・新学期は、練習時間が一気に変わる時期です。増やすなら1回の長さではなく回数から
  • 休みを練習の側に組み込む——試合ではゲーム間の休憩が最大1分(ITTF 3.4.4.1.1)、タイムアウトは1マッチに1回・最大1分(3.4.4.2)。長く休む仕組みが試合に無い以上、休みは練習で作るしかありません

時間の割り振りをどう決めるかは卓球の練習メニュー|限られた時間を何に割り振るかにまとめてあります。ここでは、痛みが出ている人がいるときに何を外して何を残すかだけを表にします。これはメニューの組み替えの話であって、治療の話ではありません。

訴えが出ている場所その日は外すメニュー代わりに渡せる役
回り込み、飛びつき、下回転を持ち上げる連続、動きを入れた多球審判、カウントの読み上げ、多球の球出し役(座って出せる範囲で)
肩・ひじスマッシュ、素振り、強く打つ系のメニュー全般フットワークだけ(ラケットを持たずに足だけ動かす)
手首・親指の付け根サーブの連続練習、台の上の細かい処理、球出し役フットワークだけ、動画で人の動きを見る係
ひざ・足首・かかとフットワーク、動きのある多球、走り込みその場で動かず打つ練習、審判、記録係

右の列を先に用意しておくのがポイントです。「痛いから見学」で壁ぎわに立たせると、本人は次から言わなくなります。役があれば、休むことが「抜けること」になりません。

今すぐ確かめる手順:今週の練習を紙に書き出し、同じ言葉(フォアクロス、回り込み、多球)が何回出てくるか数えます。同じ言葉が3回以上並んでいたら、そのうち1回を別のメニューに置き換えます。

「痛い」と言い出せるようにする、周りの声のかけ方

ここがいちばん効きます。用具や練習を直しても、本人が言わなければ何も始まりません。言い出さない理由は、メンバーから外されるのが怖い、迷惑をかけたくない、大げさだと思われたくない、の3つに集まります。

1回で言わなくさせる返し方

「そのくらいで」「気合が足りない」「みんな痛いよ」「大会近いんだから」。この4つに痛みを消す効果はなく、次から言わなくなる効果だけがあります。言わなくなれば、周りは線①〜③を確かめる材料を失います。

代わりに使う、4つの質問

  • いつから?(「先週の火曜あたり」で十分です)
  • どこ?(指1本でさしてもらう)
  • どの動きで?(打つとき/動くとき/打ったあと/何もしなくても)
  • 10のうちいくつ?(数字にすると、明日と比べられます)

「痛い?」と聞くと「大丈夫です」で終わります。上の4つは「痛いかどうか」を聞いていないので答えが返ってきます。そして「今日やれる?」と本人に聞かないこと。聞けば「やれます」と答えます。決めるのは聞いた側の仕事です。

休ませるときに、一緒に言う一言

「今日は打たない。そのかわり審判のやり方を覚えて」「あの人のフォアの戻りを見て、あとで教えて」。役をひとつ渡せば休むことが罰にならず、次も言ってくれます。数字は練習ノートに1行残せば、受診のときそのまま使えます。

今すぐ確かめる手順:今日、上の4つの質問をして、答えをそのままメモに1行残します(例=「右の親指の付け根/サーブのとき/10のうち3」)。明日も同じ4つを聞いて、数字を横に並べます。増えていれば、その日は打たせません。

痛みが引いたあと、どう戻すか

いちばん失敗が多いのがここです。痛みが消えた翌日に元のメニューへ戻し、また同じ場所が痛くなる——この往復で1か月が消えます。戻すときは3段階に分けます。

戻し方の3段階(1段階につき最低1回の練習を使う)
  1. その場で動かないメニューだけ——素振り、ワンコースのラリー
  2. 動きを足す——左右2点のフットワーク、コースを変えるラリー(強打はまだ)
  3. 元のメニューに戻す——多球、回り込み、スマッシュを含む練習

上げる条件は2つ。その日の練習中に痛みが出なかったことと、翌朝に戻っていないことです。翌朝を見るのは、その日は出ずに寝て起きてから出ることがあるからです。どちらかが崩れたら1つ前へ戻します。

医療機関にかかったのであれば、そこで受けた指示が最優先です。この3段階は目安にすぎないので、指示と食い違ったら捨ててください。そして「大会に間に合わせる」を基準に段階を飛ばさないことです。

今すぐ確かめる手順:戻し始めた日の翌朝、起きた直後に前日と同じ動きをしてもらい、「10のうちいくつ」を聞きます。前日と同じか下なら次の段階へ、上がっていればその日は段階を上げません。

よくある質問

Q. 何日休ませればいいですか?
A. 日数では決められません。最初に挙げた3本の線(打つ動作以外でも痛い/打ち始めて引かない/かばった打ち方になっている)が消えたかどうかで見ます。日数を先に決めると、消えていないのに戻すことになります。

Q. サポーターやテーピングを使わせたほうがいいですか?
A. 巻いてよい状態かどうかも、どう巻くかも、体を見た人でないと決められないので、ここでは書けません。当店でも取り扱いはありません。周りができるのは、用具と練習量を見直すことと、受診を後押しすることです。

Q. 湿布を貼らせてもいいですか?
A. 市販薬の使い方は薬剤師か医療機関に聞いてください。ここで言えるのは、貼って痛みが減ったことを「治った」と読み替えないことだけです。

Q. 準備運動をすれば防げますか?
A. 防げると断定できる資料を持っていないので、そうは書けません。ただ練習の初めに体を動かす時間を取ると、「打ち始めの数分で痛みが消えるか」(線②)を見る時間にもなります。

Q. 練習は休ませて、試合だけ出すのはだめですか?
A. 試合はゲーム間の休憩が最大1分(ITTF 3.4.4.1.1)、タイムアウトも1マッチに1回だけ(3.4.4.2)で、練習より休みが少ない場面です。「試合のほうが軽い」とは考えないでください。

Q. 成長期だから仕方がない、と言われました
A. 年齢や成長がどれくらい関係するかは判断できません。ただ「仕方がない」で止めると、確かめられることまで確かめずに終わります。4項目を持って受診してください。

まとめ

「休ませるか、続けさせるか」の決め方
  1. 3本の線——打つ動作以外でも痛い/10分たっても引かない/かばった打ち方になっている。1本でも当てはまればその日は打たせない
  2. 受診のサイン——腫れ・熱・夜眠れない・1週間続く・しびれ・はっきりしたきっかけ。この場合は様子見をせず、先に整形外科へ
  3. 持っていくのは4項目——いつから/指1本でさせる場所/どの動きで/10のうちいくつ
  4. 用具で確かめる——靴のサイズとすり減り、ラケットの重さ(ITTF 2.4.1で制限なし)、グリップの太さ
  5. 練習で減らす——同じ動作を続けない、本数でなく時間で切る、急に増やさない、休む役を用意する
  6. 戻すのは3段階——その場のメニュー→動きを足す→元へ。翌朝に戻っていないことを条件にする

周りが今日できるのは、診断を当てることではなく、本人が「痛い」と言える状態をつくって、確かめられるところを確かめることです。靴・ラケットの重さ・グリップの太さ・今週のメニュー。この4つは今日その場で手が届きます。

用具のサイズや重さが合っているか見てほしい、練習の組み方を相談したい、というときはお問い合わせからどうぞ(体や痛みの判断はできませんので、そちらは医療機関へお願いします)。

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