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ブロックは、相手の強い球に対してラケットを前に出し、面を作って止める返し方です。自分から振らず、相手の速さと回転をそのまま利用して返します。卓球で「振らないこと」が正解になる数少ない技です。
相手がドライブを打てるようになると、試合はいきなりブロックの勝負になります。ブロックができないと、相手が1本強く打った時点で毎回失点するためです。打つ技より地味ですが、勝敗への影響はこちらのほうが大きい段階があります。
この記事では、ブロックの打ち方の手順、当てるだけで返らないときの原因、台に近い技だからこそ起きるルール上の失点、練習のしかたまでを扱います。技の名前の全体像は卓球の打ち方一覧にあります。
まず即答|ブロックは「振らずに、面を作って置く」
速い球が来ると、人は反射的にラケットを振って打ち返そうとします。これがブロックが返らない最大の原因です。相手の球にはすでに十分な速さがあるので、こちらが足す必要はありません。必要なのは正しい角度の面を、正しい場所に、正しい時間に置くことだけです。
- 振らない。ラケットは前に出すだけで、後ろに引かない
- 面をかぶせる(前に傾ける)。相手の前進回転は上へ跳ねるので、そのぶん閉じます
- バウンドの上がり際で当てる。頂点を過ぎると押されて返らなくなります
今すぐ確かめる手順:ラケットを持って、面を床と垂直に立ててください。そこから上端を10度ほど前へ倒します。これがブロックの出発の角度です。相手の回転が強いほど、もう少し倒します。
ブロックが必要になるのは、どの場面か
ブロックは「守り」と説明されがちですが、実際に使うのは次の3つの場面です。どれも自分から攻められない状況で、次のチャンスまでつなぐために使います。
- 相手のドライブが来たとき。いちばん多い場面です
- 自分のツッツキを持ち上げられたとき。下回転を打たれた直後は体勢が整っていません
- サーブを強く返されたとき。3球目を打つつもりが逆に打たれた場面です
逆に、浮いた球にブロックを使う必要はありません。そこはスマッシュで決める場面です。ブロックは「打てない球を返す技」であって、打てる球にまで使うと得点機会を捨てることになります。
打ち方の手順(バックから覚える)
先に覚えるのはバックハンドのブロックです。体の正面で面を作れるので、フォア側より角度が安定します。フォアは体の横で作ることになり、同じ角度を再現しにくいためです。
バックハンドのブロック
- ラケットを体の前、へその高さに置く。ひじは体から少し離します
- 面をかぶせる。上端を10〜20度ほど前へ倒します
- グリップの力を抜く。強く握るほど反発が大きくなり、オーバーします
- バウンドの上がり際で、ラケットを数センチだけ前へ出す。引いてから当てないこと
- 当てたら、その位置で止める。振り抜かないのがブロックです
フォアハンドのブロック
作り方は同じですが、ラケットを体の右前(右利きの場合)に置きます。ここで多い失敗が、ラケットを後ろに引いてしまうことです。フォア側は振る動作に慣れているぶん、無意識に引きます。引くと当たる時間が遅れ、頂点を過ぎた球を打つことになって押されます。
今すぐ確かめる手順:相手に打ってもらう前に、ラケットを置いた位置から動かさずに10秒構えてみてください。その位置が自分にとって窮屈なら、体から離しすぎているか、近すぎます。ひじが軽く曲がって、力を抜いても落ちない位置が正解です。
「当てるだけ」なのに返らない3つの原因
ブロックのミスも、出方で原因が分かれます。フォームを直す前に、どのミスが多いかを10球数えてください。
| ミスの出方 | 起きていること | 直す場所 |
|---|---|---|
| 台を大きく越える | 面が立っている/グリップを強く握っている/ラケットを前に押しすぎている | 面をもう10度かぶせる。握りの力を抜く |
| ネットにかかる | 打点が遅い(頂点を過ぎている)/かぶせすぎ/当たる瞬間にラケットを引いている | 当てる位置をバウンド直後へ早める。引かずに前へ置く |
| 横へ飛ぶ・当たらない | 相手の球に横回転が混じっている/ラケットが体から遠い | ラケットを体の近くへ戻す。回転の見分けは別の課題として分けて練習する |
いちばん多いのは台を越えるミスです。相手のドライブには前進回転がかかっていて、ラケットに当たった瞬間に上へ跳ねる力を持っています。その力を殺すのが「かぶせる」という動作なので、回転が強い相手ほど深くかぶせる——これがブロックの調整のすべてです。
回転の強さを見分けられない段階なら、卓球の回転を先に読んでください。面の角度は回転量に対して決めるものなので、回転が読めないと角度も決められません。
台に近い技だから起きる、ルール上の3つの失点
ブロックは台のすぐ近くで、速い球に対して行う技です。そのため、ほかの技では起きにくい失点が起きます。いずれもフォームの問題ではなく、知っていれば防げるものです。
| 条文 | 内容 | ブロックで起きること |
|---|---|---|
| 2.5.8/2.10.1.6 | 相手の打った球が自分のコートに触れる前に、打球面の上または打球面へ向かっている状態で体・持ち物に触れると「オブストラクト」となり、相手の得点 | 速い球を早く止めたくて、バウンド前にラケットを出すと失点します。テニスのボレーにあたる返し方は卓球にはありません |
| 2.10.1.10 | 体や身につけているものがネット(支柱を含む)に触れると相手の得点 | 台に入り込んで止めようとしたときに起きます。ラケットが触れても同じです |
| 2.10.1.11 | 空いているほうの手が台に触れると相手の得点 | 体勢が崩れたときに手をつきやすい。台に寄る技なので距離が近く、起きやすい失点です |
とくにオブストラクトは、初心者が「速いから早く触ろう」として起こしがちです。球は必ず自分のコートで一度バウンドさせてから打つ——これが卓球の大前提で、ブロックでも例外ではありません。出典はITTF競技規則(The Laws of Table Tennis)です。
今すぐ確かめる手順:自分の構えの位置を見てください。ラケットが台の白線(エンドライン)より前に出ているなら、バウンド前に触れる危険があります。ラケットはエンドラインの上か、その手前に置くのが安全です。
出ていく球は触らない
ブロックの練習でよく起きるのが、台の外へ出る球にまでラケットを出してしまうことです。相手の打った球が自分のコートに触れずに外へ出れば、その時点で自分の得点になります(ITTF 2.10.1.4)。触りにいく理由がありません。
しかも触った位置によってはオブストラクトと判定されて相手の得点になります。つまり得点になるはずの球を、失点に変えているということです。
- 自分の肩より高い位置を通る球は、たいてい台に入りません
- 体の横をすり抜けていく球は追わない。追うと体勢が崩れて次の球も返せません
- 迷ったら止める。1本見送って失点しても、判断の練習になります
この判断は、練習のなかでしか身につきません。見送った球が入ったか出たかを、毎回確認する癖をつけてください。10本も確認すれば、出る球の高さの感覚がつかめます。
ブロックの3つの使い分け
返せるようになったら、ブロックは攻撃の一部になります。同じ「振らない」動作のまま、次の3つを打ち分けられます。
| 種類 | やること | 効く場面 |
|---|---|---|
| 止めるブロック | ラケットを置くだけ。球の勢いを吸収して短く返す | 相手が下がって打っているとき。前に落ちるので走らせられます |
| 押すブロック | 当たる瞬間に数センチ前へ押す。速く深く返す | 相手の連打を止めたいとき。時間を奪えます |
| 角度を変えるブロック | 面の向きだけ変えて、逆のコースへ返す | 相手が同じ場所へ戻ってくるとき。1本で体勢を崩せます |
順番は止める → 角度を変える → 押すです。押すブロックを先に覚えると、また「振る」動作に戻ってしまいます。どこへ返すかの考え方は卓球の配球にまとめてあります。
フォアとバック、どちらで取るか(ミドルの処理)
ブロックは考える時間がないので、あらかじめ「どこから先はバック」と決めておく必要があります。決めていないと、球が来るたびに迷って両方とも遅れます。
- 体の左側(右利きの場合)に来た球はバック。迷う余地はありません
- 体から右へ大きく離れた球はフォア。1歩動いて取ります
- 体の正面(ミドル)はバックで取る。ここを決めておくのが要点です
ミドルに来た球は、フォアでもバックでも届くように見えます。だからこそ毎回迷い、毎回遅れます。バックで取ると決めておくと、ラケットを動かす距離がいちばん短くて済みます。ただしそのままでは体が邪魔になるので、右足を半歩引いて、体の前にすき間を作る——これがミドル処理の型です。
この足の動きは卓球のフットワークで扱っている基本の動きの一つです。ブロックは大きく動かない技ですが、半歩だけ動くことができるかどうかで返球率が変わります。
今すぐ確かめる手順:構えた状態で、ラケットを持った手をそのまま体の正面へ動かしてみてください。体に当たって動かせないなら、右足を半歩引きます。すき間ができれば、その位置がミドルを取れる立ち方です。
ブロックが返せるようになると、試合はこう変わる
ブロックの価値は、点を取ることではなく相手に打たせ続けることにあります。強い球は1本目より2本目、2本目より3本目のほうがミスが増えます。返し続ければ、相手のほうから崩れます。
- 相手が「決まらない」と感じ、さらに強く打とうとしてミスが増える
- 自分のサーブが生きる。3球目を打たれても返せるので、サーブを出し惜しみしなくてよくなります
- 攻めに転じる場面が出てくる。相手の球が浮いたところをスマッシュで決められます
逆に言えば、ブロックが返らないうちは相手が1本強く打った時点で毎回終わるということです。サーブやドライブをどれだけ磨いても、この1本を返せないと試合の形になりません。練習時間の配分に迷ったら、まずここに割り当てる価値があります。
練習のしかた
ブロックは相手が打てないと練習になりません。ここがほかの技と違うところで、ドライブを打てる相手を確保することが最初の条件になります。
- ① 面の角度だけ作る。ラケットを構えて10秒静止。角度を目で覚えます
- ② 多球練習で上回転を出してもらう。1ブロック20本、返った数を数えます
- ③ 相手のドライブを連続で受ける。まず10本続けて返すことを目標にします
- ④ コースを変える。ここで初めて面の向きを動かします
②の球出しは、強い球でなくてかまいません。軽い上回転でも面の角度は同じように必要なので、まずそこで作ります。球出しの手順は多球練習のやり方にあります。
相手がいない日は、構えの位置と面の角度を鏡の前で作るだけでも意味があります。ブロックは動作が小さいので、家でできることの割合が大きい技です。一人練習メニューも参考にしてください。
用具でどれくらい変わるか
ブロックは相手の力をそのまま返す技なので、用具の弾みがミスの量に直結します。弾む組み合わせほど、握りの力のわずかな差がそのまま飛距離の差になります。
ラバーの種類でも変わります。当店が扱うラバーのうち、表ソフトは45商品、粒高は35商品で、残りの大半が裏ソフトです(在庫の有無で買えるものは日ごとに変わります)。表ソフトや粒高は相手の回転の影響を受けにくく、ブロックのときに面の角度を細かく変えなくてよくなります。ただし自分から回転をかける場面では扱いが難しくなるので、ブロックのやりやすさだけで選ぶものではありません。種類ごとの違いは卓球ラバーの種類と選び方にあります。
今すぐ確かめる手順:自分のラケットで、台の上にボールを落として跳ね返る高さを見てください。同じ高さから落として、ほかの人のラケットより高く跳ねるなら、あなたのほうが面を深くかぶせる必要があります。
よくある質問
まとめ
ブロックは振らずに、かぶせた面をバウンドの上がり際に置く返し方です。相手の速さと回転をそのまま利用するので、こちらから力を足す必要はありません。
返らないときは台を越えるのか、ネットにかかるのかを数えてください。越えるなら面が立っているか握りが強い。ネットにかかるなら打点が遅いか、当たる瞬間に引いています。
そして自分のコートにバウンドする前に触らないこと。これはオブストラクトとして相手の得点になります(ITTF 2.5.8/2.10.1.6)。出ていく球も触りません。得点になるはずの球を失点に変えてしまいます。
用具えらびのチェックリスト(PDF)をお送りします
はじめて道具をそろえるときに「何を・どの順番で決めるか」を1枚にまとめたものです。印刷して、そのままお店で使えます。あわせて、ラバーを貼った状態で届く貼り上がり完成ラケット(来春の予約企画)の先行案内もお届けします。
