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卓球が他の球技といちばん違うのが、回転です。同じように見えるボールでも、回転が違えば返し方はまるで変わります。逆にいえば、回転さえ分かれば「なぜネットに掛かるのか」「なぜオーバーするのか」の理由が全部つながります。この記事では、4種類の回転・見分け方・返し方を、初心者がその日から試せる形でまとめました。

回転とは? ボールの「擦り方」で決まる
ラバーの表面はゴムなので、ボールが当たると摩擦が生まれます。このときラケットを動かした向きにボールの表面が引っぱられ、ボールが回りはじめます。つまり回転は、ボールのどこに・どの向きに・どれだけ強く擦ったかだけで決まります。特別な技術ではありません。
コツは「厚さ」です。ボールに厚く(正面から強く)当てるほどスピードが出て回転は少なくなり、薄く(かすめるように)当てるほどスピードは落ちて回転が増えます。同じ振りの速さでも、当て方が変わるだけで別のボールになります。
擦る場所=どの回転になるか(上・下・横)。
擦る薄さ=回転の強さ。
この2つの組み合わせが、卓球のボールのほぼすべてです。
なお、回転のかかりやすさはラバーによっても変わります。裏ソフトラバーは表面が平らでよく回転がかかり、表ソフトや粒高は回転がかかりにくい代わりに相手の回転の影響も受けにくい、という違いがあります。詳しくは卓球ラバーの種類と初心者向けの選び方にまとめています。
4種類の回転と、返したときの動き
回転は大きく4種類です。名前より大事なのは、そのボールをそのまま普通に返すとどうなるか。ここを先に覚えておくと、試合中に慌てなくなります。
| 回転 | 別名 | 擦る場所と向き | そのまま普通に返すと |
|---|---|---|---|
| 上回転 | トップスピン | ボールの上を、前へ | オーバーしやすい ラケットに当たった瞬間、上へ跳ね上がるため |
| 下回転 | バックスピン | ボールの下を、前へ | ネットに掛かりやすい ラケットに当たった瞬間、下へ落ちるため |
| 横回転 | サイドスピン | ボールの横を、横へ | 横にそれる まっすぐ打ったつもりでも左右へ逃げる |
| 無回転 | ナックル | ボールの中心を、押す | 持ち上げると浮く 下回転だと思って上に振ると、大きくオーバーする |
飛んでいる最中の動きにも違いが出ます。上回転のボールは前へ強く落ちるので、思ったより早く台に着きます。逆に下回転のボールは落ちにくく、ふわりと浮いたまま失速して飛んできます。同じ速さに見えて、届く場所とタイミングが変わるのはこのためです。
実際の試合では、純粋な横回転はあまり出てきません。ほとんどは横下回転(横+下)か横上回転(横+上)です。まずは「横が混じっているかどうか」だけ見分けられれば十分で、上下どちらが強いかを優先して判断すると失敗が減ります。
相手のボールの回転を見分ける3つの手がかり
回転そのものは目に見えません。見るのは回転そのものではなく、回転が出しているサインです。次の3つを、この順番で見ます。
① 相手のラケットが動いた向き(いちばん確実)
打つ瞬間、相手のラケットが下から上に動いたら上回転、上から下に動いたら下回転、横に払ったら横回転です。ボールを見ようとせず、相手の手元を見るのがコツ。試合中に唯一、確実に間に合う手がかりです。
② 台で弾んだあとの伸び方
台にバウンドしたあと前へグッと伸びてきたら上回転、弾んだあと失速してふわっと来たら下回転です。強い下回転だと、弾んだあとほとんど前に進まないこともあります。
③ ボールの模様の回り方
ボールに印刷された文字や継ぎ目が回るのが見えれば、回転の向きが分かります。ただし実際にはかなり見づらく、慣れないうちは当てにしない方が安全です。まずは①と②で判断し、③は余裕が出てからで構いません。
「向かい合っているから、相手の下回転は自分には上回転になるのでは?」と迷う人がいますが、なりません。ボールの回っている向きは飛んでいる間そのまま保たれるので、相手が下回転で出したボールは、自分の側に届いても下回転のままです。だからこそ、そのまま打つとネットに掛かります。
一人でも回転を確かめられる3つの方法
回転は、相手がいなくても確かめられます。「かかっているつもり」を「かかっている」に変えるところから始めましょう。
- 床に向かって出す:下回転をかけたつもりのサーブを床に打ってみます。ボールが自分の方へ戻ってくれば下回転がかかっています。前へ転がっていったら、かかっていません。
- 台に落として跳ね方を見る:自分のコートに強めの下回転で落とすと、バウンドのあと戻ってきます。上回転なら前へ跳ねていきます。
- 壁に当てて返りを見る:上回転で壁に当てると、跳ね返りが上に浮きます。下回転なら下へ潜り込みます。壁打ちができる場所があるときだけで構いません。
回転をかける練習は、1球ずつ拾っていると1回の練習で数十球しか打てません。練習球(10ダース・120球入り)のようにまとめて用意しておくと拾いに行く回数が減り、同じ時間でも打てる球数が何倍にもなります。ボールの選び方は試合球と練習球の違いにまとめました。
返し方の原則は「面を回転と逆向きに傾ける」
返し方の原則はひとつだけです。相手の回転が向かおうとする向きの、反対側に面を傾ける。これだけで、ミスの大半は減ります。

| 来たボール | ラケットの面 | 振る向き | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 下回転 | 上に向ける(かぶせない) | 下から前へ、少し持ち上げる | いちばん多い失敗が「面を立てたまま押す」。ネットに直行します |
| 上回転 | 下にかぶせる | 上から前へ、押さえ込む | 強く振らなくてよい。相手の回転を利用して返す方が安定します |
| 横回転 | 曲がってくる側へ少し向ける | 押し返すように前へ | 曲がる向きは、相手のラケットが払った方向と同じです |
| 無回転 | ほぼ立てたまま | まっすぐ前へ | 持ち上げないのがコツ。下回転と間違えるとオーバーします |
慣れないうちは、強く打ち返そうとしないことが何より効きます。回転の強いボールほど、こちらが力を入れるほど回転の影響が大きく出ます。まずはツッツキのように「当てて返す」だけの技を1つ持っておくと、どんな回転が来ても最低限の1本が返せるようになります。
初心者がつまずく3つの場面
場面1:サーブが全部ネットに掛かる
下回転をかけようとして、ラケットを真下に振ってしまっていることがほとんどです。真下に振ると回転はかかりますが前へ飛びません。斜め下から前へ切り出すと、回転を保ったまま飛んでいきます。サーブの基本はサーブの打ち方にまとめています。
場面2:相手のサーブがどうしても返せない
相手の下回転に対して、面を立てたまま当てているサインです。面を上に向けて、下から前へ持ち上げてください。「上に打ち上げすぎでは」と感じるくらいで、ちょうど入ります。
場面3:回転をかけようとしたらミスが増えた
回転をかける=薄く当てる、なので、入る確率は必ず一度下がります。ここで元に戻すと、いつまでもかかりません。ミスしてよい練習の場面と、確実に入れる試合の場面を分けて、練習では思い切り薄く当ててみてください。回転がかかる感触を一度つかめば、そこからは戻ります。
「よく回転がかかるラバー」に替えれば解決する、と考えるのは順番が逆です。薄く当てる感覚がないまま回転量の多いラバーに替えると、こんどはミスだけが増えます。まずは今のラバーで、床に落として戻ってくるところまで。道具を替えるのはそのあとで間に合います。
よくある質問
参照:国際卓球連盟 競技規則 2.6.2(サービスのトス)/日本卓球協会「ルール」
まとめ
回転は、ボールのどこを・どの向きに・どれだけ薄く擦ったかで決まります。見分けるときは相手のラケットが動いた向きを見て、返すときは面を回転と逆向きに傾ける。この2つだけで、ネットミスとオーバーミスは目に見えて減ります。
そして、かかっているかどうかは床に落とせば一人で確かめられます。感覚に頼らず確かめられるところから始めれば、上達の速さが変わります。次は、飛んできた回転を実際に返すレシーブに進んでみてください。
用具えらびのチェックリスト(PDF)をお送りします
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