卓球の巻き込みサーブ|出し方・回転の向きと返し方

【本記事について】
本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。記事内で紹介している商品には、当店で販売しているものが含まれます。

部活で先輩が出している「巻き込みサーブ」。見た目が目を引くので覚えたくなりますが、巻き込みは「回転の名前」ではなく「出し方の名前」です。ラケットをボールの外側から巻きつけるように振り、フォアの横回転サーブと逆向きの横回転を出す——それが巻き込みサーブです。

結論を先に書きます。先に覚えるのは、基本のフォアサーブで薄くこすって回転をかけること。それができてから巻き込みに進むと、1週間ほどで形になります。逆に、形だけ真似ると回転のない「浮いたサーブ」になり、相手にとってはいちばん打ちやすい球になります。

サーブの種類全体の整理は卓球のサーブの種類、基本の3種はサーブの打ち方にまとめています。この記事は巻き込みサーブだけを扱います。出し方・回転の向き・返し方・入らない原因の順に書きます。

まず即答|巻き込みサーブとは何か

30秒で分かる巻き込みサーブ
  1. 出し方の名前——ラケットの先を下に向け、ボールの外側(右利きなら右側)を手前から外へ巻きつけるようにこする
  2. 回転は「逆横回転」——ふつうのフォア横回転サーブと反対向きの横回転。下回転や上回転を混ぜられる
  3. 効く理由——右利きのレシーバーのフォア側へ逃げていくように曲がり、返球が自分のフォア側に来やすい
  4. 先に覚えるもの——基本のフォアサーブで「薄くこする」こと。これができないと巻き込みは回転がかかりません

名前の由来は腕の動きです。ふつうのフォアサーブは体の外側から内側へ振りますが、巻き込みは体の内側から外側へ、ボールを腕で巻き込むように振ります。振る向きが逆なので、かかる横回転も逆になります。

今すぐ確かめる手順:ラケットを持って、ひじを軽く曲げたまま、手のひらを自分の顔に向ける→外に向けると動かしてみてください。この「手のひらを返す」動きが巻き込みの中身です。ボールが無くても、動きだけは今日から確かめられます。

フォアの横回転サーブと、何が逆なのか

巻き込みを理解するいちばん早い方法は、ふつうのフォア横回転サーブと並べて見ることです。違うのは振る向きだけで、その結果として曲がる方向と返球の飛ぶ方向が逆になります。(右利きどうしの場合で書きます。左利きは左右を入れ替えて読んでください。)

フォアの横回転サーブ巻き込みサーブ
ラケットの動き体の外側→内側(右から左へ)体の内側→外側(左から右へ)
横回転の向き順横回転逆横回転
飛んでいく途中の曲がり相手のバック側へ食い込む相手のフォア側へ逃げる
相手が当てただけの返球自分のバック側に来やすい自分のフォア側に来やすい
ボールを隠しやすさ隠れにくい体と腕で隠しやすい=反則になりやすい

最後の2行が、巻き込みを覚える理由と注意点です。返球が自分のフォア側に来やすいので、次の3球目をフォアで打ちにいけます。一方で、体の内側から振り始めるためボールが体や腕の陰に入りやすく、審判のいる試合では反則を取られやすいサーブでもあります(後の章で書きます)。

横回転がなぜ曲がるのか、どう見分けるのかは卓球の回転にまとめています。

今すぐ確かめる手順:相手にふつうのフォア横回転サーブを出してもらい、ラケットを動かさずに当てるだけで返してみてください。ボールが自分の右へ飛べば、それが「順横回転の返球」です。巻き込みはこの逆=自分の左へ飛びます。この体験が、次の章の返し方につながります。

出し方の手順|右利きの場合

手順は5つです。④の「手のひらを返す」だけが新しい動きで、ほかは基本のフォアサーブと同じです。

巻き込みサーブの手順
  1. ①構え——バック側のコーナーに立ち、体を横向きに。左手のひらを開いてボールを乗せる(ITTF 2.6.1)
  2. ②トス——ほぼ垂直に16cm以上上げる(ITTF 2.6.2)。トスは基本のサーブと同じ
  3. ③バックスイング——ラケットの先を下に向け、ひじを軽く曲げて、ラケットを体の内側(左寄り)に引く
  4. ④スイング——落ちてくるボールの右側(外側)を、手のひらを外へ返しながら薄くこする。ラケットは左から右へ
  5. ⑤フォロー——ラケットは右へ振り抜いて止める。上げた左手はすぐにボールとネットの間から外す(ITTF 2.6.5)

いちばん多い失敗は、④でボールの後ろを押してしまうことです。押すと回転はかからず、前に飛ぶだけになります。当てるのはボールの右側の表面で、ラケットはボールの横をかすめて通り過ぎる感じです。

回転がかかったかどうかは音で分かります。厚く当たると「コンッ」、薄くこすれると「シュッ」——確かめ方は卓球のサーブの種類の「回転をかけるコツ」の章と同じです。

今すぐ確かめる手順:台が無くてもできます。床にボールを置いて、その右側をラケットでかすめるように振ってください。ボールが左へ転がれば、逆横回転がかかっています。前へ転がるなら、押しています。

下回転・上回転を混ぜる|面の向きで決まる

巻き込みは横回転が土台ですが、面の向きを変えるだけで下回転や上回転を混ぜられます。振り方は変えません。変えるのは当たる瞬間の面だけです。

出したい回転面の向き当てる場所相手の返球
横下回転面を上に向ける(寝かせる)ボールの右下ネットに落ちやすい
横回転だけ面を立てるボールの真横横に流れる
横上回転面を少し下に向けるボールの右上浮いてオーバーしやすい

初心者が最初に覚えるのは横下回転です。横回転だけだと相手は横に流すだけで返せますが、下回転が混ざると持ち上げないと入らないので、ミスが増えます。

サーブが効くのは「同じ振り方から違う回転が出る」ときです。横下と横上を同じ動きから出せるようになると、相手は当たる瞬間まで判断できません。下回転そのものの出し方はサーブの打ち方の「③下回転サーブ」にあります。

今すぐ確かめる手順:横下回転を10本、横上回転を10本、面の向きだけを変えて出してみてください。振る大きさが変わっていないか、動画で自分の腕を見ます。振りが変わっていれば相手にも見えています。

なぜ初心者に効くのか|3球目とセットで考える

巻き込みが効く理由は2つあります。1つは見慣れないこと。初心者どうしの試合では、逆横回転を受けた経験がある人がほとんどいません。もう1つは返球が自分のフォア側に来やすいことです。

相手がラケットを当てただけで返すと、逆横回転のボールは自分の右側(フォア側)へ飛んできます。つまり巻き込みを出したら、フォア側で待つ——これだけで3球目が打ちやすくなります。サーブと3球目をセットで考える理由は卓球のサーブの種類の最後の章に書きました。

自分のサーブ相手の返球が来やすい場所3球目で待つ場所
巻き込み(逆横)自分のフォア側フォア側に半歩寄る
フォア横回転(順横)自分のバック側バック側に半歩寄る

ただし、効くのは回転がかかっているときだけです。回転の薄い巻き込みは、ただ遅くて高い球です。相手が慣れてくれば、狙って打たれます。3球目の打ち方は卓球のドライブの打ち方、どこへ返すかの考え方は卓球の配球にまとめています。

今すぐ確かめる手順:練習相手に巻き込みを10本出して、返球が自分の右と左どちらに多く来たかを数えてください。右が多ければ回転がかかっています。左右が半々なら、回転がまだ薄い証拠です。

入らない原因は3つ

巻き込みが入らないときの原因は、ほぼ次の3つに分かれます。どこに落ちたかで原因が分かります。

落ちた場所原因直し方
ネットにかかる面が立ちすぎている/打点が低い面を少し上に向ける。ボールがネットの高さ(15.25cm)より少し上に落ちてきたところで当てる
台を越える(オーバー)ボールの後ろを押している=厚く当たっている当てる場所をボールの右側に戻す。振りの大きさを半分にする
入るが回転がないラケットが遅い/手首が固まっている当たる瞬間だけ手のひらを返す。握りを緩めて、当たる瞬間だけ握る

3つめは「入っているから」見落としがちですが、回転のない巻き込みは相手にとっていちばん打ちやすい球です。入る・入らないより先に、音が「シュッ」になっているかを確かめてください。

ネットの高さは端から端まで15.25cm(ITTF 2.2.3)です。台とネットの寸法は卓球台の大きさと高さにあります。

今すぐ確かめる手順:10本出して、ネット・オーバー・入った(回転あり)・入った(回転なし)の4つに分けて数えてください。いちばん多いものが、いま直す1つです。2つ同時に直そうとすると、どちらも直りません。

ルールで注意すること|巻き込みは「隠しやすい」

巻き込みは、体の内側から振り始めるぶんボールが体や腕の陰に入りやすいサーブです。サーブの決まりは、打つまでボールが台の面より上・エンドラインより後ろにあり、相手から隠れていないこと(ITTF 2.6.4)。トスを上げたら、上げた側の腕と手をボールとネットの間から外すこと(ITTF 2.6.5)。この2つを、巻き込みは破りやすいのです。

やりがちなことどの決まりに触れるか直し方
体を深く横に向けて、体の陰で打つ相手から隠れている(2.6.4)相手から見てボールが最初から最後まで見える向きで構える
上げた左手をそのまま残すフリーアームがボールとネットの間にある(2.6.5)トスを上げたら左手を体の横へ引く
台の内側で打つエンドラインより後ろで打っていない(2.6.4)打点を台の外に。台の端に体が触れる距離なら近すぎます
トスが低い・横に流れる16cm以上・ほぼ垂直(2.6.2)巻き込みでもトスは基本と同じ。腕の動きに引きずられない

審判のいる試合でこれらを取られると、そのまま相手の得点です。練習試合で注意されないまま覚えると、大会で初めて取られて崩れます。サーブの決まり全体は卓球のサーブのルール、よく迷う判定は卓球のエッジ・ネットイン・レットにあります。

今すぐ確かめる手順:相手の側に立ってもらい、「打つ瞬間までボールが見えていたか」を毎回聞いてください。自分では絶対に分かりません。見えていなかった回数が0になるまで、構えの向きを少しずつ開きます。

巻き込みサーブの返し方|レシーブする側

返す側の考え方は1つです。ボールは、サーバーのラケットが動いた方向へ弾かれる——だから、面をその逆へ向けます

巻き込み(逆横回転)を返す手順
  1. ①サーバーのラケットの動く向きを見る——巻き込みなら、自分から見て右から左へ動く
  2. ②面をその逆=自分の右へ向ける——当てただけだと左へ飛ぶぶんを、先に打ち消す
  3. ③下回転が混ざっていたら面を上に——ツッツキで返す。面の向きはツッツキの章のとおり
  4. ④長く来たら打つ——台から出るサーブなら、回転を気にせずドライブで持ち上げる

「わかりにくい」と言われるのは、ラケットの動きが順横回転と逆なのに、フォームが似ているからです。見るところをラケットの先がどちらへ動いたかに絞ると、迷わなくなります。レシーブの構えと基本は卓球のレシーブにまとめています。

今すぐ確かめる手順:相手に巻き込みを出してもらい、面を右に向けるだけで10本返してください。台に入る本数が増えれば、向きは合っています。まだ左へ出るなら、もう少し右へ向けます。

巻き込みの逆の回転も出したい方へ。手の甲側を相手に向けて内から外へこするYGサーブの出し方6手順、相手のツッツキがバック側へ流れること、落とされやすいITTF 2.6.4は卓球のYGサーブ|出し方と巻き込みとの違い・返し方にまとめています。

練習の順番|先に覚えるもの

巻き込みは3番目以降に覚えるサーブです。順番を守らないと、形だけの回転のないサーブが増えます。

順番覚えること次に進む目安
フォアの基本サーブで薄くこする10本中7本が「シュッ」の音
下回転サーブを短く出す2バウンドが10本中7本
巻き込みで横回転だけ相手の返球が右に偏る
巻き込みの横下回転相手がネットに落とす
同じ振りから横下と横上相手が「どっち?」と聞いてくる

練習の道具は、ボールをまとめて用意することです。3個で練習すると拾う時間のほうが長くなります。数え方と記録のしかたは卓球のサーブの種類の「練習のしかた」、練習球の選び方は卓球の試合球と練習球の違いにあります。

回転のかかりやすさはラバーでも変わります。表面の引っかかりが強い裏ソフトほど、薄くこすったときの回転量が出ます。種類の違いは卓球ラバーの種類と選び方にまとめています。

Q巻き込みサーブは最強ですか?
A.最強のサーブはありません。効くのは「相手が見慣れていない」「回転がかかっている」の2つがそろったときだけです。相手が慣れれば、回転の薄い巻き込みはいちばん打ちやすい球になります。
Q初心者でも覚えられますか?
A.覚えられます。ただし順番があります。基本のフォアサーブで「シュッ」という音が出せるようになってからです。先に巻き込みをやると、押すだけのサーブになります。
QYGサーブとは何が違いますか?
A.どちらも逆横回転です。巻き込みは手のひらを外へ返してボールの外側をこすり、YGはひじを高く上げて手首を外側へはじく振り方で同じ向きの回転を出します。回転の向きは同じで、フォームが違います。習得はYGのほうに時間がかかります。
Qペンホルダーでもできますか?
A.できます。手首の動きは同じです。ペンの握りは卓球のペンホルダーにまとめています。
Q巻き込みは反則になりますか?
A.出し方そのものは反則ではありません。ただし体や腕でボールを隠す(ITTF 2.6.4)、上げた手をボールとネットの間に残す(2.6.5)と反則です。巻き込みはこの2つを破りやすいので、相手から見えているかを人に確かめてもらってください。
Qショートで出せますか?
A.出せます。振りを小さくして、1バウンド目をネットの近くに落とします。ショートとロングの出し分けはサーブの打ち方にあります。

まとめ

巻き込みサーブは出し方の名前で、中身は逆横回転です。ラケットを体の内側から外側へ、ボールの外側を巻きつけるようにこすります。

効く理由は相手のフォア側へ逃げることと、返球が自分のフォア側に来やすいこと。入らないときは、ネット・オーバー・回転なしのどれかを数えて、1つずつ直します。

先に覚えるのは基本のフォアサーブで薄くこすること。「シュッ」の音が出せるようになってから、巻き込みに進んでください。そして、相手から見えているかを必ず人に確かめてもらうこと——審判のいる試合で困らないための、いちばん大事な確認です。

用具えらびのチェックリスト(PDF)をお送りします

はじめて道具をそろえるときに「何を・どの順番で決めるか」を1枚にまとめたものです。印刷して、そのままお店で使えます。あわせて、ラバーを貼った状態で届く貼り上がり完成ラケット(来春の予約企画)の先行案内もお届けします。

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