本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。記事内で紹介している商品には、当店で販売しているものが含まれます。
しゃがみ込みサーブは、ボールを高く上げてからひざを深く曲げて体を沈め、落ちてくる球を打つサーブです。ラケットを上から下へ振り下ろす形になるので、ふつうのサーブと回転の向きが逆になります。ただし、この技には他のサーブより厳しい条件が1つあります。打つ瞬間のボールが、台の面より上にあること(ITTF 2.6.4)。沈みながら打つ技なので、ここを割りやすいのです。
この記事では、しゃがみ込みサーブがどういう技なのか、回転の向き、ルールで落とされる3つの理由(2.6.4と2.6.6)、出し方の手順、入らない原因、いつから練習するか、返し方までをまとめます。この技はできなくても試合に出られます。むしろ、基本のサーブが安定する前に手を出すと、遠回りになります。
基本のサーブは卓球のサーブの打ち方、サーブのルールは卓球のサーブのルール5つにあります。この記事はしゃがみ込みサーブだけを扱います。
まず即答|難しいのは体勢ではなく「台の面より上」
- 沈みながら打つ——ボールを高く上げ、ひざを曲げて体を落とし、落ちてくる球を打つ
- 回転が逆になる——上から下へ振るので、ふつうの横回転サーブとは逆向きの横回転が出る
- いちばん多い反則は打点の高さ——打つ瞬間のボールが台の面より上にないと反則(ITTF 2.6.4)
- 疑わしいサーブは2回目から失点——1回目は警告で済むが、それ以降は取られる(ITTF 2.6.6.1)
しゃがみ込みサーブが試合で通らない理由のほとんどは、体が沈んだぶんだけ打点も下がって、台の面より低い位置で打っていることです。体を落とすのはよいのですが、打点は落とさない——ここが要点になります。
今すぐ確かめる手順:卓球台の横に立って、台の面の高さが自分の体のどこに来るかを確かめてください。(台の高さは76cmです。)しゃがんだときに、その高さより上で打てるかどうかを、ボールを持たずに一度やってみてください。
しゃがみ込みサーブとは|何が変わるのか
ふつうのサーブは、立ったまま体の横でラケットを振ります。しゃがみ込みサーブは、ボールを高く上げてから体を沈め、上から下へ振り下ろします。この「上から下」が、回転の向きを変えます。
| 項目 | しゃがみ込みサーブ | ふつうの横回転サーブ |
|---|---|---|
| ラケットの動き | 上から下へ | 横から横へ |
| 体 | ひざを曲げて沈む | 立ったまま |
| トス | 高く上げる(沈む時間が要る) | 16cmを少し超える程度 |
| 出る回転 | 逆向きの横回転。横上・横下も作れる | 順方向の横回転 |
| 相手の返球が行く先 | ふつうのサーブと逆側へ流れる | —— |
| 難しさ | 打点の高さを保つのが難しい | 打点は自然に高くなる |
相手にとっての厄介さは「見慣れていない」ことに尽きます。回転そのものが特別に強いわけではありません。同じ理屈は卓球のYGサーブでも書いています。
回転の見分け方は卓球の回転にあります。
ルール|落とされる3つの理由
しゃがみ込みサーブは、サーブの条文の中でも特に2.6.4に触れやすい技です。関係するものを順に見ます。
| 条文 | 求めていること | しゃがみ込みで起きること |
|---|---|---|
| ITTF 2.6.4 | サービスの開始から打球まで、ボールは競技面(台の面)の高さより上、かつサーバーのエンドラインより後ろにあり、相手から隠れていないこと | 体を沈めたぶん打点が下がり、台の面より低い位置で打ってしまう。いちばん多い反則 |
| ITTF 2.6.2 | 回転をかけずに、手のひらを離れてから16cm以上ほぼ垂直に上げる | 高く上げる技なので16cmは満たしやすいが、斜めに上げると条文から外れる |
| ITTF 2.6.5 | ボールを上げたら、フリーアーム(空いている腕)と手をボールとネットの間から外す | 沈む動作でバランスを取ろうとして、空いている腕がボールの前に残る |
「疑わしい」だけで取られることがある
もう1つ、知っておくべき条文があります。ITTF 2.6.6は、審判または副審が規則に合っていると納得できるようにサーブする責任は、選手の側にあると定めています。そして2.6.6.1は、審判または副審がサービスの正当性に確信が持てない場合、その試合で最初の1回に限りプレーを止めてサーバーに警告できる、としています。
- 1回目——疑わしいと判断されたら、警告で済む
- 2回目以降——同じように疑わしいサーブは、警告なしで失点になる
- 「反則だと証明された」必要はない——審判が納得できないこと自体が、選手側の責任
だからしゃがみ込みサーブは、「ぎりぎり大丈夫」をねらってはいけない技です。打点を台の面より明らかに上に取り、空いている腕をはっきり外す——見た目で分かるくらいに余裕を持たせてください。
なおITTF 2.6.7は、身体の障がいによって規則の遵守が妨げられると審判が認める場合、正しいサービスの要件を緩和できると定めています。
今すぐ確かめる手順:自分のしゃがみ込みサーブを、誰かに横から見てもらってください。見るのは1点だけ——打った瞬間、ボールは台の面より上にあったか。ここが分からないうちは、試合で使わないでください。
出し方の手順
右利きを前提に書きます。立つ位置はバック側のコーナーが基本です。
- バック側のコーナーに立つ——体は台に対して斜め。ボールを手のひらに乗せて静止させる(ITTF 2.6.1)
- ボールを高く、まっすぐ上げる——沈む時間を作る。斜めに上げない(ITTF 2.6.2)
- 空いている腕をすぐに外す——上げたら下ろす。ここを後回しにしない(ITTF 2.6.5)
- ひざを曲げて体を沈める——腰ではなくひざ。腰から折ると打点が下がる
- 台の面より上で、球の横をこする——上から下へ振り下ろしながら、横をとらえる
- すぐ立ち上がって構える——沈んだままだと3球目に間に合わない
④と⑤が同時に成り立つかが、この技のすべてです。体は落とすが、打点は落とさない。ひざを曲げて重心を下げても、ラケットを持つ手は台の面より高い位置に置いたままにしてください。
横上と横下の作り分け
振り下ろす途中で球のどこをこするかで変わります。
- 球の横から下寄りをこする → 横下回転。相手のツッツキが浮きやすい
- 球の横から上寄りをこする → 横上回転。相手が持ち上げると台を越えやすい
先に覚えるのは横下です。相手に強く打たれにくいためです。
入らない原因
| 起きること | 原因 | 直すところ |
|---|---|---|
| 反則を取られる | 打点が台の面より低い/空いている腕が残っている | ひざで沈む(腰から折らない)。腕は上げた直後に下ろす |
| ネットにかかる | 振り下ろす力が強すぎて、球が下へ向かっている | こするだけにする。押し下げない |
| 台を大きく越える | トスが高すぎて打点が定まらない | トスの高さを毎回そろえる。高く上げすぎない |
| 3球目に間に合わない | 沈んだまま止まっている | 打ったらすぐ立つ。立ち上がりまでが1組 |
ひざを深く曲げる動きを繰り返すので、ひざや腰が痛むときは止めてください。痛みの見方は卓球の怪我にまとめています。
いつから練習するか
- 下回転サーブが10本中7本入る——まだならサーブの打ち方が先
- 横回転サーブが出せる——横の回転がどう働くかを、立ったまま先に覚える
- サーブのルールを言葉で説明できる——16cm・台の面より上・エンドラインより後ろ・隠さない
3つ目が特に大事です。しゃがみ込みサーブはルールの境目を通る技なので、境目がどこかを知らないまま練習すると、反則の形を体で覚えてしまいます。そうなると、あとから直すほうが時間がかかります。
サーブ全体の覚える順番は卓球のサーブの種類、巻き込み系は卓球の巻き込みサーブにあります。
しゃがみ込みサーブを返すとき
相手が出してきた場合の返し方です。ふつうの横回転と逆に流れることだけ覚えておけば足ります。
| 返し方 | どうするか | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ツッツキ | 流れる分だけ面を戻して、低く返す | いちばん確実。まずこれ |
| ストップ | 台の上で短く止める | 相手を沈んだ位置から動かしたいとき |
| 払う(フリック) | 横の回転に負けないよう、前へ運ぶ | 球が浮いて出てきたとき |
もう一つ、覚えておくとよいことがあります。相手は沈んだ姿勢から立ち上がる必要があるので、3球目の準備が遅れます。深く速い返球を送ると、相手は立ち上がりながら打つことになります。
レシーブの構えは卓球のレシーブ、台の上での処理は卓球の台上技術にまとめています。
用具は関係あるか
先に結論を書きます。入るかどうかは打点の高さとこすり方で決まります。ただし、こすって回転をかけるサーブなので、裏ソフトかどうかは関わります。表ソフトや粒高では、回転が乗りにくくなります。
ラバーの種類は卓球ラバーの種類と選び方、シートの粘りの話は卓球の粘着ラバーにあります。
なお、試合前にはラケットを相手と審判に見せて調べさせます(ITTF 2.4.8)。ラバーのロゴとメーカー名が柄に近い側ではっきり見えている必要もあります(ITTF 3.2.1.3)。
よくある質問
まとめ
しゃがみ込みサーブは、ボールを高く上げ、ひざを曲げて沈み、上から下へ振り下ろすサーブです。ラケットの動きが逆になるので、ふつうの横回転とは逆向きの回転が出ます。
難しいのは体勢ではなく打点の高さです。ITTF 2.6.4は、打球までボールが台の面より上にあり、エンドラインより後ろで、相手から隠れていないことを求めています。沈んだぶん打点が下がると、ここを割ります。
体は落とすが、打点は落とさない。腰から折らずにひざで沈むことと、上げたらすぐ空いている腕を外すこと。この2つです。
そして、疑わしいサーブは1回目は警告、2回目からは失点です(ITTF 2.6.6.1)。「ぎりぎり大丈夫」をねらわず、見た目で分かるくらい余裕を持たせてください。
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