卓球の粘着ラバー|テンションとの違いと選ぶ目安

【本記事について】
本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。記事内で紹介している商品には、当店で販売しているものが含まれます。

表面がベタつく「粘着ラバー」。硬くて高くて上級者向け——と言われますが、数字を見るとそうとも言い切れません。当店で扱う裏ソフト135点を数えると、粘着と書かれた31点のスポンジ硬度の中央値は47.0、テンションは42.5。差は4.5です。値段はむしろ粘着のほうが安い(中央値6,930円に対しテンションは7,260円)。

この記事では、粘着ラバーが何なのか、当店の裏ソフト135点を3つに分けた実際の数字、硬さと値段の比べ方、「粘着テンション」という呼び方の中身、はじめの1枚に勧めない理由(それは硬さでも値段でもありません)、例外になる人、手入れの違いまでをまとめます。数字は当店で扱うラバー224点のうち、表ソフト・粒高(ツブ高)・アンチ・一枚ラバー・ラージボール用・まとめ買いパックを除いた裏ソフト135点を数えたもので、価格は税込です。同じ「裏ソフト」でも何を除くかで点数が変わります卓球ラバーの値段では別の数え方(まとめ買いパックと特殊なアンチを除く)で120点としています。

ラバー全体の種類は卓球ラバーの種類と選び方、硬さの数字の読み方は卓球ラバーの硬さにあります。この記事は粘着ラバーだけを扱います。

まず即答|勧めない理由は「硬い」でも「高い」でもない

粘着ラバーで押さえる4つ
  1. 硬さの差は中央値で4.5——粘着47.0/テンション42.5。言われるほど離れていない
  2. 値段は粘着のほうが安い——中央値6,930円/テンション7,260円。最安も粘着3,080円が下
  3. それでもはじめの1枚に勧めない——理由は自分で回転をかける振りが要ることと、手入れの手間
  4. 例外はカットマン——守備型では粘着が本筋の選択肢になる。硬度32.0のものもある

「粘着=上級者」という言い方が広まっているのは、粘着ラバーが球を自分で飛ばしてくれないからです。硬いからでも高いからでもありません。この記事では、そこを数字で分けていきます。

今すぐ確かめる手順:いま使っているラバーの表面を指で軽く押して、指をゆっくり離してください。指が少し引っぱられる感じがあれば粘着寄り、すっと離れるなら粘着ではありません。自分がどちら側にいるかが、10秒で分かります。

粘着ラバーとは|シートの表面が球を離さないラバー

粘着ラバーは、球が当たる面(トップシート)に粘り気を持たせた裏ソフトラバーです。球が面に一瞬とどまるので、こすったぶんだけ回転が乗る——これが特徴です。

逆にいうと、こすらなければ何も起きません。当てるだけでは球が前に飛ばず、ネットの手前に落ちます。ここが、後で出てくる「はじめの1枚に勧めない理由」につながります。

テンションラバーとの違い

項目粘着テンション
何で回転をかけるかシートの粘りスポンジの反発と食い込み
当てただけの球飛ばない前に飛ぶ
振ったときの球回転が多く、弧が高いスピードが出る
相手から見た球沈む・伸びない速い・素直
手入れ粘りを保つ手当てが要る拭くだけで足りる

どちらが強いという話ではありません。球を飛ばす仕事を、ラバーがやるか自分がやるかの違いです。

数字で見る|当店の裏ソフト135点を3つに分ける

商品説明に書かれている語で、当店の裏ソフト135点を3つに分けました。表ソフト・粒高(ツブ高)・アンチ・一枚ラバー・ラージボール用・まとめ買いパックは除いています

分類点数価格(最安〜最高)価格の中央値硬度の中央値
粘着31点3,080〜19,800円6,930円47.0
テンション(粘着でない)75点3,850〜14,300円7,260円42.5
どちらの語も無い29点2,200〜7,480円3,520円37.25

この表から読み取れることは3つです。

3つの読み取り
  1. 粘着とテンションの硬さの差は4.5——47.0と42.5。世間で言われるほど離れていない
  2. いちばん軟らかいのは「どちらの語も無い」29点——中央値37.25。はじめの1枚はここから選ぶことになる
  3. いちばん安いのも「どちらの語も無い」29点——中央値3,520円。粘着・テンションの半額

つまり、粘着かテンションかで迷う前に、その手前に29点の帯があるということです。ここが、はじめて買う人が立っている場所になります。この帯の選び方は卓球ラバーの値段にまとめました。

硬さ|粘着31点の中身を開ける

「粘着は硬い」で止めると選べません。31点のうち硬度を公表している29点を、帯で分けます。

スポンジ硬度当店の点数(29点中)
40.0未満2点タキネス チョップ(32.0)、キョウヒョウ3(37.5)
40.0〜44.99点グレイザー 09C(42.0)、キョウヒョウプロ2(42.5)
45.0〜49.97点翔龍Ⅱ(47.0)、輝龍Ⅱ(45.0)、ラクザZ(47.0)
50.0以上11点V>15 スティッキー(52.5)、DNA ドラゴンパワー 57.5

硬度42.5以下の粘着は11点あります。いちばん軟らかいのは32.0で、これは「どちらの語も無い」29点の中央値37.25より軟らかい数字です。「粘着だから硬い」は、個々の商品では成り立ちません

ただし硬度の数字はメーカーごとに物差しが違います。この点は卓球ラバーの硬さにまとめてあるので、別メーカーどうしを数字だけで比べないでください。

値段|粘着のほうが安い帯がある

「粘着は高い」もよく聞きますが、当店の実数では逆でした。

比べるところ粘着31点テンション75点
最安3,080円3,850円
中央値6,930円7,260円
最高19,800円14,300円
6,000円未満の点数12点——

最高額だけは粘着が上ですが、これは1点だけ飛び抜けた商品があるためです。実際に手が届く帯(6,000円未満)にも粘着は12点あります。だから「粘着は高いから後回し」という理由づけは、当店の品ぞろえでは成り立ちません。

「粘着テンション」という呼び方

商品説明に「粘着テンション」と書かれたものが当店には5点あります。シートに粘りを持たせつつ、スポンジに反発力を持たせたラバーです。

商品メーカー硬度価格
グレイザー 09Cバタフライ42.0¥6,050
V>15 スティッキーヴィクタス52.5¥8,580
DNA ドラゴンパワー 52.5スティガ52.5¥9,350
DNA ドラゴンパワー 55スティガ55.0¥9,350
DNA ドラゴンパワー 57.5スティガ57.5¥9,350

この5点の硬度の中央値は52.5で、粘着31点全体の47.0より硬い側に寄っています。「粘着だけれど飛ぶ」ものは、そのぶん硬い——と読むのが実際に近い数字です。

はじめの1枚に勧めない3つの理由

① 当てただけでは球が飛ばない

いちばん大きい理由です。粘着ラバーはこすって回転をかけることで球を前へ運ぶラバーなので、まだ振りが固まっていない段階だと、ラリーがネットの手前で止まります。練習になりません。

先に必要なのは、ドライブの打ち方で扱っている「こすって前に運ぶ」振りです。

② 原因の切り分けができなくなる

入らないときに、自分の振りが悪いのか、ラバーの性質なのかが分からなくなります。これはバック面を変えるときにも同じことが起きるので、卓球のバック面のラバーで同じ考え方を書いています。

③ 手入れの手間が増える

粘着は粘りが落ちると性能がはっきり変わります。ほこりが付いたまま使うと粘りが早く落ちるので、練習ごとに拭き、保管のときは粘着タイプの保護シートを貼る——この手当てが要ります。次の章でまとめます。

それでも粘着を選ぶ理由がある人
  1. カット主戦型——相手のドライブを抑えて、強い下回転で返す打ち方に合う。当店ではタキネス チョップ(硬度32.0)やチョップ&ドライブがこの帯
  2. すでにドライブで回転をかけられる——振りが固まっていれば、回転量を上げる道具として意味が出る
  3. サーブの回転を増やしたい——粘りはサーブでも効く。ただし片面だけ変える形になる

カットマンの用具の考え方は卓球のカットマンになるにはにまとめています。

手入れ|粘着は「拭くだけ」で終わらない

テンションラバーは練習後に拭けば足りますが、粘着は粘りを残すための保管まで含めて手入れです。

粘着ラバーの手入れ3つ
  1. 練習ごとに拭く——ほこりが粘りを埋める。乾いた布か、ラバー用のクリーナーで
  2. 保管は粘着タイプの保護シート——面に貼り付けて、空気とほこりから守る
  3. 熱を避ける——夏の車内・直射日光は粘りを落とす。ラバー全般に共通
当店の保護シートタイプ価格中身
ヤサカ粘着シートⅡ(2枚入)粘着¥275保管時のラバーの劣化を防ぐ。2枚入りで両面に使える
ラバー粘着シートDNA(2枚セット)粘着¥440汚れやほこりから守る粘着保護シート
ラバー保護シート(吸着タイプ)吸着¥550ベタつかず繰り返し使える。裏ソフト専用

この3つは保管のためのシートで、ラバーをラケットに貼るための「貼り付けシート」とは別の品です。貼るほうは卓球ラバーの接着剤と貼り付けシートにまとめています。

手入れ全般は卓球ラバーの手入れにあります。

買うなら、どこから選ぶか

粘着を試すと決めた人向けに、選び方の順番を書きます。

粘着を選ぶ順番
  1. 片面だけにする——両面を一度に変えない。フォア面だけにして、バックは今のまま
  2. 硬度42.5以下から選ぶ——当店の粘着31点のうち11点がこの帯
  3. 厚さは今と同じにする——硬さと厚さを同時に変えると、どちらが効いたか分からなくなる
  4. 保護シートを一緒に買う——¥275から。買い忘れると初日から粘りが落ちる

厚さの考え方は卓球ラバーの厚さ、張り替えの費用と時期は卓球ラバーの張り替え料金と時期にあります。

今すぐ確かめる手順:いま貼っているラバーの厚さと硬度を、商品ページで確かめてください。手元の数字が分からないまま新しいラバーを選ぶと、変えた結果が良かったのか悪かったのかを比べられません。

よくある質問

Q粘着ラバーは初心者が使ってはいけませんか
A.禁じられてはいません。ただし当てただけでは球が前に飛ばないので、こすって回転をかける振りができる前に選ぶと、ラリーが続かず練習になりません。まず「どちらの語も無い」29点の帯(中央値3,520円)から始めてください。
Q粘着は硬いから手が痛くなりませんか
A.硬度の中央値は粘着47.0・テンション42.5で、差は4.5です。当店の粘着31点のうち11点は硬度42.5以下で、いちばん軟らかいものは32.0です。「粘着だから硬い」は個々の商品では成り立ちません。
Q粘着ラバーは高いですか
A.当店の実数では粘着のほうが安い帯があります。最安は粘着3,080円、テンション3,850円。中央値も粘着6,930円、テンション7,260円です。
Q粘りが落ちたら戻せますか
A.落ちた粘りを元に戻す方法を、この記事では扱いません。メーカーが公表している手当ては「拭く」「粘着タイプの保護シートで保管する」の2つです。粘りが戻らない状態は、張り替えの時期と考えてください。
Q片面だけ粘着にしてもいいですか
A.構いません。むしろ片面だけにするほうが、変えた結果を切り分けられます。ただし両面を同じ色にはできません(ITTF 2.4.6)。色の決まりは卓球ラバーの色のルールにあります。
Q粘着テンションなら初心者でも使えますか
A.当店の粘着テンション5点の硬度の中央値は52.5で、粘着31点全体の47.0より硬い側です。「粘着だけれど飛ぶ」ものは、そのぶん硬くなっている——というのが実際の数字です。
Qカットマンにはどれがいいですか
A.当店ではタキネス チョップ(硬度32.0・¥3,080)とチョップ&ドライブ(¥3,190)が守備型向けの粘着として扱っている商品です。打ち方と用具の関係は卓球のカットマンになるにはにまとめています。

まとめ

粘着ラバーはシートの粘りで回転をかけるラバーです。当てただけでは球が前に飛ばず、こすったぶんだけ球が進みます。

世間で言われる「硬い・高い」は、数字で見ると思ったほどではありません。当店の裏ソフト135点では、硬度の中央値は粘着47.0・テンション42.5で差は4.5価格の中央値は粘着6,930円・テンション7,260円で粘着のほうが安い。粘着31点のうち11点は硬度42.5以下です。

それでもはじめの1枚に勧めないのは、自分で回転をかける振りが要ること手入れの手間が増えることの2つが理由です。はじめて買う人が立っているのは、「どちらの語も無い」29点(中央値3,520円・硬度37.25)の帯になります。

試すと決めたら、片面だけ・硬度42.5以下・厚さは今のまま。保護シート(¥275から)も一緒に買ってください。

用具えらびのチェックリスト(PDF)をお送りします

はじめて道具をそろえるときに「何を・どの順番で決めるか」を1枚にまとめたものです。印刷して、そのままお店で使えます。あわせて、ラバーを貼った状態で届く貼り上がり完成ラケット(来春の予約企画)の先行案内もお届けします。

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