卓球の配球|初心者の試合は「どこへ返すか」で決まる

【本記事について】
本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。記事内で紹介している商品には、当店で販売しているものが含まれます。

試合で勝てないとき、原因は打ち方より「どこへ返しているか」にあることが多いです。同じ強さの球でも、返す場所が違うだけで相手の返球はまったく変わります。この「どこへ返すか」を配球(はいきゅう)と呼びます。

結論から書くと、迷ったら相手のバック側へ、深く。これだけで返球の質が下がり、こちらが打てる球が増えます。そしてクロス(対角)はストレート(直線)より約40cm長く飛ばせる——これは台の寸法から計算できる事実で、コースを決めるときの土台になります。

この記事では、初心者が覚える3つのコース、深さの考え方、相手を動かす2本の型、サーブから3球目までの決め方までを扱います。自分の型そのものを考えたい人は卓球の戦型を、試合の進め方は試合の流れとマナーを先に読んでください。

まず即答|迷ったら「相手のバック側へ、深く」

配球で覚えることが1つだけなら、これです。理由は2つあります。

バック側へ深く送る理由
  1. バックハンドは体の前でしか振れない。フォアハンドのように腕を大きく引けないので、打てる範囲がもともと狭くなります
  2. 深い球は相手を下がらせる。台に近い位置で打てなくなるぶん、返球が弱くなります

逆に、いちばん打たれやすいのは相手のフォア側に浅く入った球です。相手は一歩も動かずに、いちばん振れる形で打てます。「打ち方は悪くないのに毎回打ち返される」という人は、ここに返し続けていることがよくあります。

今すぐ確かめる手順:直前の試合か練習を思い出して、自分が打たれた球を3本挙げてください。その3本を、自分がどこへ返したあとに打たれたかを思い出します。同じ場所が2本以上あれば、そこが直す場所です。

クロスがストレートより入りやすい理由(台の寸法で計算する)

コースを決めるとき、最初に知っておくと得なのがクロスとストレートの距離の差です。感覚の話ではなく、台の寸法から計算できます。

競技規則では、打球面は長さ2.74m・幅1.525mと決まっています(ITTF 2.1.1)。この長方形の対角線を求めると約3.14mです。

コース飛ぶ距離(台の端から端)意味
ストレート(同じ側をまっすぐ)2.74m(台の長さ)距離が短いぶん、少しでも強いと台を越えます
クロス(対角へ)約3.14m(台の対角線)ストレートより約40cm長く飛ばせる。同じ強さでも台に収まりやすい

40cmは、卓球台の幅の4分の1以上にあたります。同じ振り方で打っても、クロスのほうが余裕があるということです。だから基本の練習はクロスから始めますし、迷ったときの逃げ道もクロスになります。

ストレートは距離が短いぶん、強く打つと出やすくなります。そのかわり相手が動く距離は長くなるので、「入れにくいが効く球」という位置づけです。最初から多用するものではなく、クロスで組み立てたあとの1本として使います。

初心者が覚える3つのコース

コースは細かく分ければきりがありませんが、実際に打ち分けられるのは最初は3つです。この3つだけで試合は組み立てられます。

コースどこへ効果注意
① 相手のバック側相手から見て左半分(右利きの相手の場合)打てる範囲が狭く、強打されにくい深さがないと逆に打たれます
② 相手のフォア側相手から見て右半分①のあとに使うと、大きく動かせる浅いと最も打たれやすい場所です
③ ミドル相手の体の正面フォアかバックか迷わせる。強打されにくい狙いが甘いと、ただの打ちやすい球になります

③のミドルは、台の真ん中ではありません。相手の体の正面です。相手が動けば、ミドルの位置も動きます。ここを勘違いすると、いつも同じ場所へ返しているのに効かない、ということが起きます。

今すぐ確かめる手順:練習相手に立ってもらい、その人の右ひじの延長線を目で確認してください。そこがミドルです。相手が一歩動いたら、ミドルも一歩動きます。

速さより「深さ」が効く

初心者の試合でいちばん効くのは、速さではなく深さです。深い球とは、相手のコートのエンドライン近くで2バウンド目を迎える球のことです。

深さ相手に起きること
深い(エンドライン付近)下がらされる。打点が体から遠くなり、強く打てなくなる
浅い(ネット寄り)前に踏み込んで打てる。もっとも打たれやすい
台の上で2バウンド(短い)打つ選択肢が減り、つなぐしかなくなる。ただし出すのは難しい

つまり深いか、台の上で止まるほど短いかのどちらかであれば、相手は攻めにくくなります。いちばん打たれるのはその中間——ネットから台の真ん中あたりに落ちる、長さも短さも中途半端な球です。

深さは、力ではなくボールを台のどこに落とすかで決まります。自分のコートのエンドライン寄りで打つと深く入りやすく、ネット寄りで打つと浅くなりやすい——まずこの関係だけ覚えてください。

相手を動かす2本の型

1本ずつコースを変えても、相手は動くだけで返してきます。効くのは2本セットで考えることです。基本の型は次の2つです。

覚える2つの型
  1. バックへ2本 → フォアへ1本。バックに2本続けると相手はバック側に寄ります。そこが空いたところへフォア側へ送ります
  2. ミドルへ1本 → 大きく外へ1本。ミドルで相手を詰まらせると、体が台の中央に固まります。そこから左右どちらかへ振ります

どちらも1本目は決めにいく球ではありません。1本目は相手を動かすため、2本目で空いたところを突きます。「1本で決めよう」と考えると、無理な強打になってミスが増えます。

相手が動かない場合は、型を変える必要はありません。動かない相手には、同じところへ送り続けるのが正解です。配球は「散らすこと」が目的ではなく、相手が返しにくい形を作ることが目的だからです。

サーブから3球目までを決めておく

試合中に考える時間はありません。サーブを出す前に、3球目までの筋書きを決めておきます。これは上級者だけの話ではなく、決めておかないと迷って遅れるという実務上の理由からです。

筋書きの作り方(3ステップ)
  1. ① サーブのコースを決める。例=相手のバック側へ、短く
  2. ② 返ってくる場所を予想する。短い下回転サーブなら、ツッツキで返ってくることが多くなります
  3. ③ 3球目をどこへ打つか決めておく。例=返ってきたら、相手のフォア側へドライブ

予想が外れてもかまいません。決めてあると、外れたことに気づけるのが利点です。決めていないと、外れたことにも気づかないまま試合が終わります。

サーブの種類ごとの出し方は卓球のサーブの種類、返し方は卓球のレシーブにまとめてあります。

今すぐ確かめる手順:紙に3行書いてください。「サーブは○○へ」「たぶん○○が返ってくる」「3球目は○○へ」。これを1つ作って、次の練習試合で5本だけ試します。

やってはいけない配球

配球には「やらないほうがよいこと」がはっきりあります。多くは意識せずにやってしまっているものです。

やってしまうことなぜ悪いかかわりにどうするか
毎回同じコースへ返す相手が待てるようになる。3本目からは準備されています2本セットの型に置き換える
相手が強く打ってきた場所へ返すそこが相手の打ちやすい位置だという合図です同じ場所に返さない。まずバック側へ深く逃がす
浅い球でコースだけ変える深さがないと、動かされても相手は前に出て打てます深さを先に作ってから、コースを変える
つなぐだけの球を続ける1ゲームが10分続くと促進ルールに入ります(ITTF 2.15.1)。入ると13回返されただけで失点します(2.15.4)3本に1本は攻める球を混ぜる

最後の促進ルールは、初心者どうしの試合でも実際に起きます。ただしすでに合計18点入っていれば導入されません(2.15.2)。仕組みは卓球の試合時間で扱っています。

一人でも練習できる

配球は相手がいないと練習できないと思われがちですが、コースを狙う練習は一人でできます。必要なのは台とボールと、目印になるものだけです。

一人でできる3つ
  1. サーブのコース練習。相手コートの角にペットボトルなどを置き、10球中何球そこへ入るかを数えます
  2. 深さの練習。相手コートのエンドラインから30cmの位置に線の目印を置き、そこより奥へ入った数を数えます
  3. コースの言語化。打つ前に「バック」「フォア」と口に出してから打ちます。狙って打つ癖がつきます

ボールは多いほど練習になります。拾う回数が減るぶん、同じ時間で打てる球数が増えるためです。当店ではボールをまとめ買いできる形でも扱っています。

台が使えない日にできることは卓球の一人練習メニュー、練習時間の配分は卓球の練習メニューにまとめてあります。

ダブルスの配球は考え方が変わる

ダブルスでは2人が交互に打つと決まっています(ITTF 2.8.2)。つまり自分が返した球は、次はパートナーが打つことになります。したがって配球の目的が1つ増えます。

ダブルスで足される目的
  1. 相手を動かす(シングルスと同じ)
  2. パートナーが動きやすい場所へ返す。自分が打ったあと、すぐに台から離れないとパートナーが入れません

そのため自分が動かされる方向へ相手を追い込むのは不利になります。返したあとの自分の位置まで含めて考えるのが、ダブルスの配球です。動き方はダブルスの動き方、ルールはダブルスのルールにあります。

相手のどこを見て決めるか

配球は自分の都合だけでは決まりません。相手を見て、空いているところへ送るのが本来のやり方です。ただし試合中に見る時間は一瞬なので、見る場所を3つに絞ります

見る場所見えることそこからの判断
立っている位置台の中央より左右どちらに寄っているか寄っている側の反対が空いています
ラケットを構えている高さ低く構えていれば下回転を待っている。高ければ上回転を待っている待っていないほうの球を送ります
足が動いているか動かずに腕だけで返しているか動かない相手には、左右へ大きく振るのが効きます

3つとも1点取られたあとに確認すれば十分です。ラリー中に見ようとすると自分の球が乱れます。点と点のあいだが、相手を見る時間です。

今すぐ確かめる手順:次の練習試合で、相手が立っている位置だけを見てください。中央より右に寄っていたら左へ、左に寄っていたら右へ送ります。これ1つで返球の質が変わるかどうかを確かめます。

レシーブでどこへ返すか

サーブを受ける側は、相手がすでに次を打つ準備をしている状態です。自分から攻めるより、まず相手の3球目を打ちにくくすることを考えます。

レシーブの返し先(安全な順)
  1. 相手のバック側へ深く。3球目を強く打たれにくくなります
  2. 台の上で止まるほど短く。相手は前に出るしかなくなり、強打の選択肢が消えます
  3. ミドルへ。フォアかバックか迷わせます。ただし浅いと打たれます

避けたいのは相手のフォア側へ、中途半端な長さで返すことです。サーブを出した直後の相手はフォアで打つ準備ができていることが多く、そこへ長さの中途半端な球を送ると、いちばん打たれやすい形になります。

構え方や回転の見分け方は卓球のレシーブ、短い球の扱いは卓球の台上技術にまとめてあります。

よくある質問

Q配球を考える余裕がありません
A.まず1つだけ決めてください。「迷ったらバック側へ深く」だけで十分です。余裕は、決めごとを減らすほど生まれます。
Q相手のバック側が強い相手にはどうしますか?
A.ミドルへ送ってください。バックが強い相手ほど、バック側で待っていることが多く、体の正面が空きます。
Qクロスばかりで飽きられませんか?
A.飽きられて困るのは、返されてしまうときだけです。返せていないのなら変える必要はありません。相手が打ち返してくるようになってから、ストレートを1本混ぜます。
Q速い球を打てないと配球は効きませんか?
A.逆です。速い球が打てないうちほど、深さとコースだけで点が取れます。速さは相手の反応時間を奪いますが、深さは相手の打点そのものを崩します。
Qどこへ返したか覚えていられません
A.試合中に全部は覚えられません。失点した3本だけ思い出してください。練習ノートに3行書くだけで、次の試合の材料になります。
Qコースを狙うと球が弱くなります
A.最初はそれで正解です。狙えるようになってから強くします。強い球を狙えないコースへ打つより、弱くても狙った場所へ入るほうが点になります。

まとめ

配球の出発点は「迷ったら相手のバック側へ、深く」です。バックハンドは体の前でしか振れず打てる範囲が狭いこと、深い球は相手を下がらせることの2つが理由です。

コースを選ぶときは、クロスが約3.14m、ストレートが2.74mという距離の差を思い出してください(ITTF 2.1.1の寸法から計算)。クロスのほうが約40cm長く飛ばせるので、入れる余裕があります。ストレートはクロスで組み立てたあとの1本です。

そして1本で決めようとしないこと。「バックへ2本 → フォアへ1本」のように2本セットで考えると、無理な強打が減り、結果としてミスも減ります。

用具えらびのチェックリスト(PDF)をお送りします

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