本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。記事内で紹介している商品には、当店で販売しているものが含まれます。
ラバーの棚に「裏ソフト」「表ソフト」「粒高」と並んでいて、何がどう違うのか分からないまま裏ソフトを買って帰る——最初はそれで正解です。ただ、違いを知らないままだと「表ソフトにすれば勝てるのでは」という遠回りをすることになります。
結論を先に書きます。3種類の違いは「ゴムの粒がどちらを向いているか」だけです。裏ソフトは粒が内側、表ソフトは粒が外側、粒高は粒が細長くて外側。そして初心者が最初に選ぶ理由があるのは、裏ソフトだけです。
この記事では、規則の側から見た違い、それぞれが向く相手、そして片面だけ変えるときの条件までを書きます。ラバーの選び方全体は卓球ラバーの種類と選び方、厚さの決め方は卓球ラバーの厚さの選び方にまとめています。
まず即答|違いは粒の向きだけ
| 種類 | 粒の向き | 起きること | 初心者が選ぶか |
|---|---|---|---|
| 裏ソフト | 粒が内側(表面はつるつる) | 球がゴムに食い込み、回転をかけやすい | これを選ぶ |
| 表ソフト | 粒が外側(表面がつぶつぶ) | 球離れが速く、相手の回転の影響を受けにくい | 条件つき |
| 粒高 | 粒が細長くて外側 | 粒が倒れて、相手の回転がそのまま返る | 選ばない |
| アンチ | 粒は内側だが表面が滑る | 回転がかからずナックルになる | 選ばない |
表ソフト・粒高・アンチをまとめて「異質(いしつ)ラバー」と呼びます。普通と違う球が返るラバーという意味です。
今すぐ確かめる手順:手元のラケットの表面を指で横になでてみてください。つるつるなら裏ソフト、つぶつぶが指に当たれば表ソフトか粒高です。つぶが柔らかく倒れるなら粒高です。
規則の側から見ると、厚さの上限が違う
競技規則は、ラバーを2つに分けて厚さの上限を決めています(ITTF 2.4.3)。種類の名前ではなく構造で分けているのが特徴です。
| 規則上の分類 | 上限の厚さ | あてはまるもの |
|---|---|---|
| 一枚ラバー(粒が外向き) | 接着剤込みで2.05mm未満 | スポンジのない表ソフト・粒高(OX) |
| スポンジ付き(粒は内向きでも外向きでも) | 接着剤込みで4.05mm未満 | 裏ソフト、スポンジ付きの表ソフト・粒高 |
ここから分かるのは、「OX」と書かれた商品はスポンジがない一枚もので、厚さの上限が半分以下だということです。粒高の商品で「OX」「極薄」という表記をよく見るのはこのためです。
厚さの表記(薄・中・厚・特厚・MAX、または1.5mm・1.9mmなどの数字)と、その決め方は卓球ラバーの厚さの選び方にまとめました。
色の決まりは3種類とも同じ
種類が違っても、片面は黒、もう片面は黒ともボールの色ともはっきり区別できる鮮やかな色という決まりは同じです(ITTF 2.4.6)。フォアに裏ソフト、バックに粒高という組み合わせでも、色は必ず分ける必要があります。詳しくは卓球ラバーの色のルールにあります。
表ソフト|球離れが速く、相手の回転を受けにくい
表面につぶつぶが並んでいるラバーです。球が触れる面積が小さいので、ゴムに食い込む前に飛び出します。これが「球離れが速い」と言われる状態です。
| 場面 | 裏ソフト | 表ソフト |
|---|---|---|
| 自分から回転をかける | かけやすい | かけにくい |
| 相手の回転の影響 | 受けやすい | 受けにくい |
| 球の速さ | 弧を描いて飛ぶ | 直線的で速い |
| 台の近くで打ち合う | 合わせにくいことがある | 合いやすい |
つまり表ソフトは、台の近くで、速いテンポで打ち合う人——前陣速攻型に向いた作りです。逆に下がって回転で戦う人には向きません。戦型の決め方は卓球の戦型にまとめています。
当店で扱う表ソフトは45商品(うち単品で買えるものが42商品)、価格は税込3,080円からです(2026年9月時点)。入り口にあたるのはエクスプレス(税込¥3,300)やオリジナルTバージョン(税込¥3,080)、そこから一段上がスペクトル S1(税込¥4,620)です。
粒高|相手の回転を、そのまま返す
粒が細長く、球が当たると粒が倒れるのが粒高です。倒れた粒が戻るときに、相手がかけた回転がほぼそのまま返ります。下回転を送ったら下回転が返ってくる——普通のラバーとは逆の反応をします。
これが強力に見えるのですが、裏を返すと自分から回転をかけられません。相手が回転をかけてこない球(ナックル)が来ると、返す球も変化しません。粒高は相手の回転を借りて戦う道具だ、という理解が要ります。
- 自分から回転をかけられない——攻める手段が別に要ります
- 相手の回転を読んでいないと使えない——読みが先、道具は後
- 教えられる人が少ない——部内に使い手がいないと独学になります
- 打ち方が裏ソフトと違う——先に裏ソフトの打ち方を覚えないと戻れません
当店で扱う粒高は35商品(うち単品で買えるものが26商品)、税込2,750円からです。スポンジのない一枚タイプがフェイント ロングIII OX(税込¥2,750)、スポンジ付きがウォーレスト(税込¥3,300)やカール P1V(税込¥4,620)です。
カット型で使う場合の考え方はカットマンになるにはにまとめました。
アンチ|粒は内側なのに、回転がかからない
見た目は裏ソフトとほとんど同じなのに、表面が滑るように作られているのがアンチラバーです。相手の回転の影響を受けず、返る球はナックル(回転のない球)になります。
当店で扱っているのは3商品だけで、単品で買えるのはベストアンチ(税込¥3,520)などです。商品数がここまで少ないのは、使う人が限られるからです。選択肢が少ないので、続けて使うつもりなら在庫の確認が要ります。
初心者が表ソフトや粒高を選んでいいのか
結論から書きます。最初の1枚は裏ソフトにしてください。理由は3つあります。
- 教わる内容が裏ソフト前提——本も動画も部活の指導も、ほぼ裏ソフトで説明されています
- 回転をかける感覚が身につく——ここを飛ばすと、あとで戻るのが大変です
- あとから変えられる——先に裏ソフトを覚えた人は異質へ移れますが、逆は難しくなります
これは当店の考えというより、メーカーの商品説明にも同じことが書かれています。表ソフトの商品には「初心者は回転をかけやすい裏ソフトが王道」、粒高やアンチの商品には「初心者にはおすすめしません」と明記されているものが少なくありません。
それでも異質を選ぶ場合の条件
選んではいけない、という話ではありません。次の条件がそろっていれば、選ぶ意味があります。
- 教えられる人が近くにいる——部内に使い手か、指導者がいること
- 戦型が決まっている——前陣速攻型やカット型を選んだうえでの判断であること
- 片面だけにする——両面とも異質にするのは、さらに難しくなります
1つでも欠けていたら、先に裏ソフトで半年打ってから考えてください。入門用の裏ソフトならフレクストラ(税込¥2,200)のように2,000円台からあります。
片面だけ変えるときに知っておくこと
実際にいちばん多いのが、フォアは裏ソフト、バックだけ表ソフトか粒高という形です。このときに起きる変化を並べます。
| 変わるところ | 中身 |
|---|---|
| 色 | 片面は黒。もう片面は黒とも球とも区別できる鮮やかな色(ITTF 2.4.6) |
| 重さ | 粒高のOXはスポンジがないぶん軽くなり、ラケット全体の重心がずれます |
| 厚さの上限 | OXは接着剤込みで2.05mm未満、スポンジ付きは4.05mm未満(ITTF 2.4.3) |
| 張り替えの間隔 | 面ごとに減り方が違うので、同時に替えるとは限りません |
| 相手の見え方 | 面を入れ替えて打つと相手が判断しにくくなります(隠すことはできません) |
重さが変わる点は見落とされます。ラケットの重さの考え方は中学生の卓球ラケットの選び方、張り替えの手順と費用は卓球ラバーの張り替え時期と貼り方にあります。
今すぐ確かめる手順:片面だけ変えるつもりなら、いま使っている面の色を先に確認してください。2枚とも同じ色を注文してしまう間違いが、実際によく起きます。
ラージボールでは、規則の側が種類を決めている
意外と知られていないのが、ラージボールでは使えるラバーが規則で決まっていることです。
| 項目 | ラージボールの決まり |
|---|---|
| 使えるラバー | 表ソフトのサンドイッチラバーのみ |
| 粒高 | 使えません |
| 球 | 直径44mm・2.2〜2.4g・オレンジ |
| ネットの高さ | 17.25cm(硬式は15.25cm) |
出典は日本卓球協会のラージボール卓球ルールです。硬式で裏ソフトを使っている人がラージボールの大会に出る場合は、ラバーを替える必要があります。逆に言えば、表ソフトは「ラージボールで使う唯一の選択肢」でもあります。
ラージボールそのものについては卓球は何歳まで続けられる?で扱っています。
当店で買える異質ラバー(実数)
2026年9月時点で、当店が扱っているラバー224商品の内訳です。
| 種類 | 商品数 | 単品で買えるもの | 税込の下限 |
|---|---|---|---|
| 表ソフト | 45 | 42 | 3,080円 |
| 粒高 | 35 | 26 | 2,750円 |
| アンチ | 3 | 2 | 3,520円 |
粒高は9商品が単品で買えません。在庫のあるものが限られるので、「この商品にする」と決めてから探すと見つからないことがあります。種類(粒高かどうか)と厚さを決めて、そのうえで買えるものから選ぶ順番が現実的です。
用具の全体像から決めたい場合は卓球を始めるのに必要なもの、セットで買う場合の差額は卓球の初心者セットは買っていい?にまとめました。
まとめ
裏ソフト・表ソフト・粒高の違いは粒の向きだけです。規則の側は種類の名前ではなく構造で分けていて、スポンジのない一枚ものは2.05mm未満、スポンジ付きは4.05mm未満と厚さの上限が違います(ITTF 2.4.3)。
表ソフトは台の近くで速く打ち合う人向け、粒高は相手の回転を借りて戦う道具です。どちらも「持てば強くなる」ものではありません。最初の1枚は裏ソフト——メーカー自身の商品説明にも同じことが書かれています。
異質に移るなら、教えられる人がいること・戦型が決まっていること・片面だけにすること。この3つがそろってからにしてください。そしてラージボールでは表ソフトだけが使える——これは覚えておくと後で役に立ちます。
- 卓球ラバーの種類と選び方|裏ソフト・表ソフト・粒高
- 卓球ラバーの厚さ|厚と特厚の違い・初心者は中厚から
- 卓球ラバーの色のルール|両面同じ色はNG・青や桃は可
- 卓球ラバーの張り替え料金と時期|1回いくら・80〜100時間の目安・貼り方
- 卓球の戦型|ドライブ型・前陣速攻型・カット型の違いと決め方
- 卓球のカットマンになるには|向いている人と用具・練習
- 中学生の卓球ラバー|フォアとバックの決め方・交換時期
- 卓球は何歳まで続けられる?ラージボールという答え
- 卓球ラバーの値段|相場と両面でいくらかかるか
- 卓球のバック面のラバー|1年目はフォアと同じでよい
- 卓球の粘着ラバー|テンションとの違いと選ぶ目安
- 卓球のミート打ちとは|ドライブとの違いと打ち方
用具えらびのチェックリスト(PDF)をお送りします
はじめて道具をそろえるときに「何を・どの順番で決めるか」を1枚にまとめたものです。印刷して、そのままお店で使えます。あわせて、ラバーを貼った状態で届く貼り上がり完成ラケット(来春の予約企画)の先行案内もお届けします。
