本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。記事内で紹介している商品には、当店で販売しているものが含まれます。
「卓球の素振りは意味がない」と聞いて、やめようか迷っている人へ。半分は本当で、半分は違います。ただ回数を振るだけの素振りは、意味がほとんどありません。ボールが無いので「当たった・当たらない」が分からず、間違ったフォームでも気持ちよく振れてしまうからです。
結論を先に書きます。素振りで身につくのは「戻す位置・足の運び・振りの大きさ」の3つだけ。この3つを数えながら振るなら、素振りは家でできるいちばん安い練習になります。目安は1セット20本×3セット、1日10分。疲れてフォームが崩れたら、そこでやめます。
家でできる練習の全体は卓球の一人練習メニューにまとめています。この記事は素振りだけを掘り下げます。「意味がない」と言われる理由から、効くやり方・回数・やってはいけない振り方まで。
まず即答|素振りが「効く」条件は1つ
- 3つを数えながら振る——①打ったあと体の正面に戻したか ②足が動いたか ③振りの大きさが毎回同じか
- 1セット20本×3セット・1日10分——回数より、20本すべてで3つが揃うことを目指す
- 崩れたらやめる——疲れて振りが小さくなった素振りは、悪い形の練習になる
素振りにはボールが無いという弱点があります。当たる感覚は身につきません。けれど、逆に言えばボールに気を取られずに「体の動き」だけを直せるということでもあります。素振りで直すのは体の動き、ボールとの関係は台の前で——役割を分けると、素振りは意味を持ちます。
今すぐ確かめる手順:いま、ラケットを持ってフォアを1本振ってください。振り終わったあと、ラケットがどこにあるかを見ます。体の左側(右利きの場合)に残っていたら、それが最初に直すところです。素振りの第一の役割は、この「戻す」を体に覚えさせることです。
「素振りは意味がない」と言われる理由
意味がないと言われるのには、はっきりした理由があります。理由を知っていれば、その落とし穴を避けた素振りができます。
| 言われる理由 | 何が起きているか | 避け方 |
|---|---|---|
| ボールが無い | 当たる感覚・面の角度が身につかない | 素振りでは面の角度を練習しない。戻す・足・大きさだけ |
| 間違った形が固まる | 自分では正しいつもりで、違う形を繰り返している | 鏡かスマホの動画で、月に1回は形を見る |
| 試合の球は同じ場所に来ない | 同じ場所へ同じ振りを繰り返しても、実戦に近づかない | 足を動かしてから振る。立ったまま振らない |
| 回数が目的になる | 100本振った達成感だけが残る | 20本で区切って、3つが揃った本数を数える |
4つとも、「ただ振る」ことが原因です。数えるものを決め、形をときどき確かめ、足を動かしてから振る——この3つを入れると、上の弱点はほぼ消えます。
素振りだけで卓球が上達するわけではありません。台の前で打つ練習の「あいだ」を埋めるのが素振りの役割です。上達の順番全体は卓球初心者は何から始める?にまとめています。
素振りで身につく3つ|戻す・足・大きさ
素振りで身につくものは、ボールが無くても確かめられるものだけです。それが戻す位置・足の運び・振りの大きさの3つです。
①戻す位置|打ったあと、体の正面へ
フォアを振ったあと、ラケットを体の正面(へそからみぞおちの高さ)へ戻します。ここに戻っていれば、次がフォアでもバックでも同じ距離で届きます。戻っていないと、片方が遠くなります。素振りは「振る」ではなく「戻す」を数える練習だと考えてください。戻す位置の詳しい話は卓球のフォアとバックの切り替えにあります。
②足の運び|振る前に半歩動く
立ったまま振る素振りは、試合で使えません。試合の球は同じ場所に来ないからです。振る前に半歩動いてから振る——これを毎回入れます。フォアなら右足を半歩右へ、バックなら左足を半歩左へ(右利きの場合)。足の型は卓球のフットワークにまとめています。
③振りの大きさ|毎回同じ
素振りは、気持ちよく大きく振れてしまいます。けれど大きく振るほど戻りが遅くなり、2本目が間に合いません。振り終わりの位置を毎回同じにする——目印は「ラケットが目の高さで止まる」くらいです。大きさが揃うと、台の前で打ったときも同じ高さに球が集まります。
今すぐ確かめる手順:20本振って、①戻した ②足が動いた ③大きさが同じの3つが揃った本数を数えてください。最初は20本中5本くらいです。これが15本を超えたら、その素振りは効いています。
正しい素振りの手順
手順は5つです。③と④が、ただ振るのと違うところです。
- ①構える——足を肩幅より少し広く。ラケットは体の正面、先は相手の方向
- ②ボールの位置を決める——「体の右前、台の高さ」と打つ場所を目で見る。見えないボールを想像する
- ③半歩動く——その場所へ足を先に運ぶ
- ④振って、戻す——振り終わったらすぐ体の正面へ。戻った位置で一度止める
- ⑤数える——3つが揃ったら「1」。揃わなければ数えない
②の「ボールの位置を決める」を飛ばす人がとても多いです。打つ場所を決めずに振ると、毎回違う高さを振ることになり、大きさが揃いません。見えないボールを、毎回同じ場所に置く——これが素振りと「ただ腕を振ること」の違いです。
フォームそのものはフォアハンドの打ち方とバックハンドの打ち方のとおりです。握りが変わると振りも変わるので、握りはラケットの正しい握り方で先に確かめてください。
今すぐ確かめる手順:スマホを床に置いて、横から10本だけ撮ってください。見るのは3か所——振り終わりのラケットの高さ・戻ったときのラケットの位置・足が動いたか。自分の感覚と映像は、ほぼ必ずずれています。
回数と時間|20本×3セット、1日10分
回数は1セット20本、3セットで足ります。時間にすると10分ほどです。100本続けて振ると、後半は疲れてフォームが崩れ、崩れた形を繰り返す練習になります。
| セット | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 1セット目 | フォアだけ20本 | 3つが揃った本数を数える |
| 2セット目 | バックだけ20本 | 同じく数える |
| 3セット目 | フォア→バック交互に20本 | 戻す位置が同じかだけを見る |
毎日でなくてかまいません。週に3日、10分のほうが、週に1日60分より形が残ります。練習時間の割り振り方は卓球の練習メニューにあります。
やめる合図は「振りが小さくなった」「戻す位置がずれた」と気づいたときです。そこから先は逆効果になるので、セットの途中でもやめます。
今すぐ確かめる手順:今日はフォア20本だけやってください。3つが揃った本数を紙に書きます。明日も同じ20本をやって、数字が増えたかを見ます。増えていれば、素振りは意味を持っています。
素振り用ラケット・重いラケットで振っていいのか
「素振り用に重いラケットを使うと力がつく」と聞くことがあります。おすすめしません。重さが変わると振りの速さと戻りの速さが変わり、いつものラケットで打つときの形とずれるからです。素振りの目的は形をそろえることなので、道具を変えると目的から外れます。
| 使うもの | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| いつも使っているラケット | これが正解 | 試合と同じ重さ・同じ握りで形が残る |
| 重いラケット・専用の重り | やらない | 振りと戻りの速さが変わり、形がずれる |
| ラケット無しで手だけ | 補助として可 | 足の運びだけを練習するとき |
ラケットが重すぎて素振りがつらいなら、それは素振りではなくラケットの重さの問題です。中学生の最初の1本の重さの決め方は中学生の卓球ラケットの選び方、小学生は小学生の卓球ラケットの選び方にまとめています。
ラバーが貼ってあるラケットで素振りをするときは、壁や家具にラバーが触れないことだけ気をつけてください。ラバーの面はこすれると傷みます。手入れは卓球ラバーの手入れにあります。
やってはいけない素振り
やり方を間違えると、素振りは悪い形を固める練習になります。次の4つは、やらないほうがましです。
- 狭い場所で振る——体が勝手に振りを小さくして止めるクセがつく。部屋の広さの測り方は卓球の一人練習メニューの「その部屋で振り抜けるか」の章
- 手首でこねる——ボールが無いと手首だけで振れてしまう。ひじから先を1本の棒のつもりで
- 立ったまま100本——足が止まった形が固まる。20本ごとに区切って、足から動く
- 疲れてからも続ける——小さくなった振りを繰り返すことになる。崩れたらやめる
もう1つ、「意味がない」と思いながら振るのもやめたほうがいいです。数えるものが無い素振りは、本当に意味がありません。3つを数える——それが無いなら、素振りより壁打ちやボールつきに時間を使ってください。
素振りのメニュー例|10分でやること
10分で、素振りとその周りを1セットにしたメニューです。素振りだけを続けるより、足と球感を一緒に入れると、台の前での変化が早く出ます。
| 時間 | やること | 数えるもの |
|---|---|---|
| 1分 | ラケットを持たずに足だけ。左右へ半歩ずつ | —— |
| 3分 | フォア20本→バック20本 | 3つが揃った本数 |
| 3分 | フォア→バック交互に20本×2 | 戻す位置が同じだった本数 |
| 2分 | ボールつき(ラケットの表と裏で交互に) | 続いた回数 |
| 1分 | 動画を見返す(週1回だけ) | 振り終わりの高さ |
ボールつきや壁打ちのやり方は卓球の一人練習メニュー、フォアとバックを交互に振るときに数えることは卓球のフォアとバックの切り替えにあります。
今すぐ確かめる手順:上の表をそのまま今日1回やってください。10分で終わります。終わったら、数えた数字を1行だけ書き残します。数字が残ると、次の日に続ける理由になります。
素振りを、台の前の練習につなげる
素振りは台の前で打つ練習とセットで初めて効きます。つなげ方は、素振りで数えていたものを台の前でも同じように数えるだけです。
| 素振りで数えたこと | 台の前で確かめること |
|---|---|
| 戻す位置 | 打ったあと、次の球までにラケットが正面にあるか |
| 足の運び | 腕を伸ばして届かせていないか |
| 振りの大きさ | 打った球の高さがそろっているか |
多球練習(球出し)は、素振りと同じことをボールがある状態で繰り返せる練習です。やり方は卓球の多球練習にまとめています。ラリーが続かない段階なら、先に卓球でラリーが続かないを読んでください。
素振りで形が揃っているのに台の前で入らないなら、原因は面の角度か回転です。これは素振りでは直りません。卓球の回転で見分け方を確かめてください。
まとめ
素振りは、ただ振るだけなら意味がほとんどありません。戻す位置・足の運び・振りの大きさの3つを数えながら振れば、家でできるいちばん安い練習になります。
回数は20本×3セット、1日10分。疲れて形が崩れたらそこでやめます。ラケットはいつものもの。重いラケットや専用の重りは使いません。
素振りで直すのは体の動き、ボールとの関係は台の前で。役割を分けると、素振りは意味を持ちます。今日はフォア20本だけ——3つが揃った本数を数えてください。
用具えらびのチェックリスト(PDF)をお送りします
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