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地区の大会では、選手が審判を担当することがあります。初めて任されると身構えますが、やることは「点数を数えて、声に出して伝える」——これがほとんどです。
この記事では、試合前にやること・コールのしかた・迷いやすい場面の判定・ゲームの切れ目でやること・記録用紙を、当日の順番どおりに並べました。これを上から順にやれば1試合こなせます。点数の数え方そのものは卓球の点数の数え方にまとめてあります。
なぜ選手が審判をやるのか
大きな大会には専門の審判員がつきますが、地区や県の大会は、参加している学校の協力で運営されています。
全国中学校卓球大会の参加資格には、「都道府県における予選会となる全ての大会において、競技役員や審判など運営上必要な事項に協力すること」という条件が置かれています。つまり、審判は「やらされる雑用」ではなく、大会が成り立つための役割です。
団体戦や地区大会では、自分の試合が終わったら次の台の審判、というように交互に回ってくることがあります。審判の間は台から離れられないので、飲み物とトイレは先に済ませておく——これだけで当日ずいぶん楽になります。
審判がやることは3つだけ
細かい規則はたくさんありますが、実際に手を動かすのは次の3つです。
| やること | 中身 | 難しさ |
|---|---|---|
| ①点数を数える | 得点が入るたびに数を進める | いちばん大事 |
| ②声に出して伝える | 毎回スコアをコールする | これで両者が確認できる |
| ③記録用紙に書く | ゲームの結果を書く | 書き方は当日教わればよい |
判定(入った・入らない)は、ほとんどの場合は見たままで決まります。迷う場面は限られているので、そこだけ後の章で押さえておけば大丈夫です。
審判で本当に困るのは、難しい判定ではなく点数が分からなくなることです。これを防ぐ方法はひとつで、毎回声に出すことです。声に出していれば、選手2人も一緒に聞いているので、間違えたときにその場で直せます。
試合前にやること
試合が始まる前に、順番にやることがあります。この順でやれば抜けません。
| 順 | やること | 補足 |
|---|---|---|
| ① | 両者を台に呼ぶ | 名前を確認する |
| ② | ラケットを見せ合ってもらう | 両面が色違いになっているか |
| ③ | ジャンケンかトスで決める | 勝った側がサーブかエンドを選ぶ |
| ④ | 練習の時間を取る | 大会の規定に従う(多くは2分程度) |
| ⑤ | 「ラブオール」でコールして開始 | 0対0という意味 |
②のラケットの確認は、両面が違う色になっているかを見ます。片面は黒、もう片面は赤・青・ピンク・紫・緑のいずれかです。同じ色が両面にあると、相手はどちらの面で打たれたか分かりません。
「これで合っているのかな」と思ったら、近くの先生や大会本部に聞いてください。審判をやっている中学生に完璧を求める大会はありません。分からないまま進めるより、聞いて確かめるほうが正しい対応です。
コールのしかた
審判のいちばん大事な仕事です。得点が入るたびに、次のサーブの前にスコアを言います。
| 場面 | 言い方 | 注意 |
|---|---|---|
| 試合開始 | 「ラブオール」 | 0対0のこと |
| 得点後 | サーブ側の点を先に言う | 例:サーブ側3点・受け側1点なら「3-1」 |
| 同点 | 「○○オール」 | 例:5対5なら「ファイブオール」 |
| ゲームが終わった | ゲームカウントを言う | 例:「1ゲームズトゥ ラブ」など |
| 0点 | 「ラブ」 | 「ゼロ」ではなく「ラブ」と読む |
いちばん間違えやすいのが「どちらの点を先に言うか」です。サーブを出す側の点数が先——これだけ覚えてください。サーブ権が移れば、先に言う側も入れ替わります。
友達の試合を1ゲームだけ、声に出して数えてみてください。審判をやるわけではなく、横で数えるだけで構いません。「サーブ側が先」を意識しながら10回コールできれば、本番でも出ます。数字は英語でも日本語でも構いません。大事なのは順番のほうです。
迷いやすい場面の判定
判定で迷う場面は、実はそれほど多くありません。次の5つを知っていれば、たいてい足ります。
| 場面 | どうなるか |
|---|---|
| 台の上面のふちに当たった(エッジ) | 有効。そのまま続行 |
| 台の側面に当たった(サイド) | 無効。打った側の失点 |
| サーブがネットに触れて入った | やり直し(レット)。回数の制限なし |
| サーブがネットに触れて入らなかった | 通常どおり失点 |
| 外からボールが転がってきた | やり直し(レット) |
とくに間違えやすいのがエッジとサイドの区別です。台の「上の面」のふちなら有効、「横の面」なら無効。音と球の跳ね方で分かることが多いのですが、見えなかったときの対応は次の章に書きます。

サーブがネットに触れて入ったときは、やり直し(レット)です。ただしラリー中にネットに触れて相手コートに入った球はそのまま有効で、やり直しにはなりません。ここを混同すると判定が変わってしまうので、「サーブのときだけやり直し」と覚えてください。
ゲームの切れ目でやること
1ゲームが終わったときと、試合の途中で審判が声をかける場面があります。選手が忘れていることも多いので、審判が言ってあげると進行が止まりません。
| 場面 | やること |
|---|---|
| ゲームが終わった | ゲームカウントをコールし、エンドを交代させる |
| ゲームとゲームの間 | 1分間の休憩を取る |
| 最終ゲームの途中 | どちらかが5点に達したらエンド交代 |
| 合計点が6の倍数 | タオルで汗を拭く時間を認める |
| 10対10になった | ここから1本ごとにサーブ交代 |
この中で忘れられやすいのが「最終ゲームの5点でのエンド交代」です。選手も審判も気づかずに進んでしまうことがあります。最終ゲームに入ったら、5点を意識しておいてください。
記録用紙の書き方
大会によって様式が違うので、当日配られたものに従うのがいちばん確実です。ただ、書く内容はだいたい共通しています。
| 欄 | 書くこと | 気をつけること |
|---|---|---|
| 対戦者 | 両者の名前・所属 | 受付でもらった組合せ表を写す |
| 各ゲームの得点 | 11-9 のように | 勝ったほうを先に書く様式が多い |
| ゲームカウント | 3-1 など | ゲーム数の合計 |
| 勝者 | 勝ったほうに印 | 書き忘れが多い |
| 確認 | 両者に見せてサインをもらう | 出す前に必ず |
最後の「両者に見せる」を省かないでください。書き間違いはその場なら直せますが、本部に出したあとでは直せません。30秒で終わる確認です。
タイムアウトを求められたら
選手や監督からタイムアウトを求められることがあります。日本卓球協会の案内では、タイムアウトは1試合に1回、1分以内とされています。
| 対応 | |
|---|---|
| 求められたら | ラリーが切れたところで認める |
| 長さ | 1分以内 |
| 回数 | 1試合に1回まで |
| ラリーの途中 | 認められない |
| もう1回求められた | すでに使っていれば断る |
1ゲームが10分たっても終わらない場合、促進ルールが適用されます。適用後はレシーバーが13回返球するとレシーバーの得点になります。ただしすでに合計18点以上入っているゲームには導入されません(国際卓球連盟の競技規則2.15.2)。中学生の試合ではめったに起きませんが、起きたら本部に確認するのがいちばん安全です。
判定に自信がないとき
見えなかった、迷った——必ず起こります。そのときにどうするかを先に決めておくと、慌てずに済みます。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 見えなかった | 正直に「見えなかった」と言い、やり直しにする |
| 両者の言い分が違う | そのポイントだけやり直す |
| ルールが分からない | 本部か近くの先生に聞く |
| 自分の学校の選手の試合 | 担当しないのが原則。本部に伝える |
| 進行が止まった | 無理に決めず、本部を呼ぶ |
「見えなかった」と言うのは、審判として正しい対応です。見えていないのにどちらかの得点にするほうが、はるかに問題があります。やり直しにすれば、両者とも納得します。
公平さを保つため、自分の学校の選手が出ている試合の審判は担当しないのが原則です。割り当てられてしまったら、その場で本部に伝えて代わってもらってください。言い出しにくいかもしれませんが、あとで問題になるより先に言うほうが確実です。
審判の資格について
日本卓球協会には審判の資格制度があります。ただし、地区の大会で選手が審判をするのに資格は要りません。
協会が定めている資格には公認レフェリー・上級公認審判員・国際審判員などがあり、研修会や資格試験を経て取得します。これは大会を運営する側の資格で、中学生が部活で任される審判とは別のものです。
審判の資格に興味が出たら、顧問の先生か、都道府県の卓球協会に聞いてみてください。講習会が開かれていることがあります。ただしまずは目の前の1試合を数えられるようになるほうが先です。資格より、正確に数えて声に出せることのほうが、大会では役に立ちます。
よくある質問
審判をやるときに、手元にあると助かるもの
審判は道具が無くてもできます。点数は声に出して数えれば足りますし、記録用紙は主催者が用意します。ここは「無いと困る」ものの話ではありません。
ただ、1日に何試合も担当する日や、部内戦を回す係になったときは、数える道具があると、点数を見失う回数が確実に減ります。声だけで数えていると、長いラリーのあとや、タイムアウトのあとに飛びます。
| 商品 | メーカー | 税込価格 | 使い方の違い |
|---|---|---|---|
| ミニカウンター3 | バタフライ | ¥2,200 | 手に持って押す。いちばん小さい |
| プチカウンター2 | ニッタク | ¥2,420 | 台の上に置いて使える |
| JLカウンター | ニッタク | ¥4,730 | 数字が大きく、離れても見える |
| BTY・スコアボード | バタフライ | ¥4,950 | 台の脇に立てる。観客からも見える |
部で1つ買うなら、置いて使える形か、数字の大きいものが向きます。個人で持つなら手に持てる小さいもので足ります。価格は毎日自動で照合しています。
今すぐ確かめる手順:次に審判をやるとき、点数を声に出して言う前に「自分が何本目のサーブか」を先に言ってみてください。数え間違いのほとんどはサーブの本数から起きます。
まとめ
審判でやることは①点数を数える ②声に出す ③記録用紙に書く——この3つです。判定で迷う場面は限られていて、エッジは有効・サイドは無効・サーブのネットインはやり直しを知っていれば足ります。
コールはサーブ側の点数が先。0点は「ラブ」、開始は「ラブオール」。毎回声に出していれば、数え間違いはその場で直せます。
そして——見えなかったら「見えなかった」と言ってやり直す。それは失敗ではなく、審判として正しい対応です。完璧を求められる場ではありません。数えて、声に出して、最後に両者へ確認してもらう。それができれば1試合こなせます。
参考:公益財団法人日本卓球協会「卓球の基本的なルール」(点数・タイムアウト・促進ルール)/第57回全国中学校卓球大会(令和8年度)実施要項(予選会での審判協力の条件)/国際卓球連盟 競技規則 2.15.2(促進ルールの適用条件)。※大会ごとの運営方法は主催者の指示が優先されます。
用具えらびのチェックリスト(PDF)をお送りします
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