本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。記事内で紹介している商品には、当店で販売しているものが含まれます。
部活で先輩が出している「巻き込みサーブ」。見た目が目を引くので覚えたくなりますが、巻き込みは「回転の名前」ではなく「出し方の名前」です。ラケットをボールの外側から巻きつけるように振り、フォアの横回転サーブと逆向きの横回転を出す——それが巻き込みサーブです。
結論を先に書きます。先に覚えるのは、基本のフォアサーブで薄くこすって回転をかけること。それができてから巻き込みに進むと、1週間ほどで形になります。逆に、形だけ真似ると回転のない「浮いたサーブ」になり、相手にとってはいちばん打ちやすい球になります。
サーブの種類全体の整理は卓球のサーブの種類、基本の3種はサーブの打ち方にまとめています。この記事は巻き込みサーブだけを扱います。出し方・回転の向き・返し方・入らない原因の順に書きます。
まず即答|巻き込みサーブとは何か
- 出し方の名前——ラケットの先を下に向け、ボールの外側(右利きなら右側)を手前から外へ巻きつけるようにこする
- 回転は「逆横回転」——ふつうのフォア横回転サーブと反対向きの横回転。下回転や上回転を混ぜられる
- 効く理由——右利きのレシーバーのフォア側へ逃げていくように曲がり、返球が自分のフォア側に来やすい
- 先に覚えるもの——基本のフォアサーブで「薄くこする」こと。これができないと巻き込みは回転がかかりません
名前の由来は腕の動きです。ふつうのフォアサーブは体の外側から内側へ振りますが、巻き込みは体の内側から外側へ、ボールを腕で巻き込むように振ります。振る向きが逆なので、かかる横回転も逆になります。
今すぐ確かめる手順:ラケットを持って、ひじを軽く曲げたまま、手のひらを自分の顔に向ける→外に向けると動かしてみてください。この「手のひらを返す」動きが巻き込みの中身です。ボールが無くても、動きだけは今日から確かめられます。
フォアの横回転サーブと、何が逆なのか
巻き込みを理解するいちばん早い方法は、ふつうのフォア横回転サーブと並べて見ることです。違うのは振る向きだけで、その結果として曲がる方向と返球の飛ぶ方向が逆になります。(右利きどうしの場合で書きます。左利きは左右を入れ替えて読んでください。)
| フォアの横回転サーブ | 巻き込みサーブ | |
|---|---|---|
| ラケットの動き | 体の外側→内側(右から左へ) | 体の内側→外側(左から右へ) |
| 横回転の向き | 順横回転 | 逆横回転 |
| 飛んでいく途中の曲がり | 相手のバック側へ食い込む | 相手のフォア側へ逃げる |
| 相手が当てただけの返球 | 自分のバック側に来やすい | 自分のフォア側に来やすい |
| ボールを隠しやすさ | 隠れにくい | 体と腕で隠しやすい=反則になりやすい |
最後の2行が、巻き込みを覚える理由と注意点です。返球が自分のフォア側に来やすいので、次の3球目をフォアで打ちにいけます。一方で、体の内側から振り始めるためボールが体や腕の陰に入りやすく、審判のいる試合では反則を取られやすいサーブでもあります(後の章で書きます)。
横回転がなぜ曲がるのか、どう見分けるのかは卓球の回転にまとめています。
今すぐ確かめる手順:相手にふつうのフォア横回転サーブを出してもらい、ラケットを動かさずに当てるだけで返してみてください。ボールが自分の右へ飛べば、それが「順横回転の返球」です。巻き込みはこの逆=自分の左へ飛びます。この体験が、次の章の返し方につながります。
出し方の手順|右利きの場合
手順は5つです。④の「手のひらを返す」だけが新しい動きで、ほかは基本のフォアサーブと同じです。
- ①構え——バック側のコーナーに立ち、体を横向きに。左手のひらを開いてボールを乗せる(ITTF 2.6.1)
- ②トス——ほぼ垂直に16cm以上上げる(ITTF 2.6.2)。トスは基本のサーブと同じ
- ③バックスイング——ラケットの先を下に向け、ひじを軽く曲げて、ラケットを体の内側(左寄り)に引く
- ④スイング——落ちてくるボールの右側(外側)を、手のひらを外へ返しながら薄くこする。ラケットは左から右へ
- ⑤フォロー——ラケットは右へ振り抜いて止める。上げた左手はすぐにボールとネットの間から外す(ITTF 2.6.5)
いちばん多い失敗は、④でボールの後ろを押してしまうことです。押すと回転はかからず、前に飛ぶだけになります。当てるのはボールの右側の表面で、ラケットはボールの横をかすめて通り過ぎる感じです。
回転がかかったかどうかは音で分かります。厚く当たると「コンッ」、薄くこすれると「シュッ」——確かめ方は卓球のサーブの種類の「回転をかけるコツ」の章と同じです。
今すぐ確かめる手順:台が無くてもできます。床にボールを置いて、その右側をラケットでかすめるように振ってください。ボールが左へ転がれば、逆横回転がかかっています。前へ転がるなら、押しています。
下回転・上回転を混ぜる|面の向きで決まる
巻き込みは横回転が土台ですが、面の向きを変えるだけで下回転や上回転を混ぜられます。振り方は変えません。変えるのは当たる瞬間の面だけです。
| 出したい回転 | 面の向き | 当てる場所 | 相手の返球 |
|---|---|---|---|
| 横下回転 | 面を上に向ける(寝かせる) | ボールの右下 | ネットに落ちやすい |
| 横回転だけ | 面を立てる | ボールの真横 | 横に流れる |
| 横上回転 | 面を少し下に向ける | ボールの右上 | 浮いてオーバーしやすい |
初心者が最初に覚えるのは横下回転です。横回転だけだと相手は横に流すだけで返せますが、下回転が混ざると持ち上げないと入らないので、ミスが増えます。
サーブが効くのは「同じ振り方から違う回転が出る」ときです。横下と横上を同じ動きから出せるようになると、相手は当たる瞬間まで判断できません。下回転そのものの出し方はサーブの打ち方の「③下回転サーブ」にあります。
今すぐ確かめる手順:横下回転を10本、横上回転を10本、面の向きだけを変えて出してみてください。振る大きさが変わっていないか、動画で自分の腕を見ます。振りが変わっていれば相手にも見えています。
なぜ初心者に効くのか|3球目とセットで考える
巻き込みが効く理由は2つあります。1つは見慣れないこと。初心者どうしの試合では、逆横回転を受けた経験がある人がほとんどいません。もう1つは返球が自分のフォア側に来やすいことです。
相手がラケットを当てただけで返すと、逆横回転のボールは自分の右側(フォア側)へ飛んできます。つまり巻き込みを出したら、フォア側で待つ——これだけで3球目が打ちやすくなります。サーブと3球目をセットで考える理由は卓球のサーブの種類の最後の章に書きました。
| 自分のサーブ | 相手の返球が来やすい場所 | 3球目で待つ場所 |
|---|---|---|
| 巻き込み(逆横) | 自分のフォア側 | フォア側に半歩寄る |
| フォア横回転(順横) | 自分のバック側 | バック側に半歩寄る |
ただし、効くのは回転がかかっているときだけです。回転の薄い巻き込みは、ただ遅くて高い球です。相手が慣れてくれば、狙って打たれます。3球目の打ち方は卓球のドライブの打ち方、どこへ返すかの考え方は卓球の配球にまとめています。
今すぐ確かめる手順:練習相手に巻き込みを10本出して、返球が自分の右と左どちらに多く来たかを数えてください。右が多ければ回転がかかっています。左右が半々なら、回転がまだ薄い証拠です。
入らない原因は3つ
巻き込みが入らないときの原因は、ほぼ次の3つに分かれます。どこに落ちたかで原因が分かります。
| 落ちた場所 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| ネットにかかる | 面が立ちすぎている/打点が低い | 面を少し上に向ける。ボールがネットの高さ(15.25cm)より少し上に落ちてきたところで当てる |
| 台を越える(オーバー) | ボールの後ろを押している=厚く当たっている | 当てる場所をボールの右側に戻す。振りの大きさを半分にする |
| 入るが回転がない | ラケットが遅い/手首が固まっている | 当たる瞬間だけ手のひらを返す。握りを緩めて、当たる瞬間だけ握る |
3つめは「入っているから」見落としがちですが、回転のない巻き込みは相手にとっていちばん打ちやすい球です。入る・入らないより先に、音が「シュッ」になっているかを確かめてください。
ネットの高さは端から端まで15.25cm(ITTF 2.2.3)です。台とネットの寸法は卓球台の大きさと高さにあります。
今すぐ確かめる手順:10本出して、ネット・オーバー・入った(回転あり)・入った(回転なし)の4つに分けて数えてください。いちばん多いものが、いま直す1つです。2つ同時に直そうとすると、どちらも直りません。
ルールで注意すること|巻き込みは「隠しやすい」
巻き込みは、体の内側から振り始めるぶんボールが体や腕の陰に入りやすいサーブです。サーブの決まりは、打つまでボールが台の面より上・エンドラインより後ろにあり、相手から隠れていないこと(ITTF 2.6.4)。トスを上げたら、上げた側の腕と手をボールとネットの間から外すこと(ITTF 2.6.5)。この2つを、巻き込みは破りやすいのです。
| やりがちなこと | どの決まりに触れるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 体を深く横に向けて、体の陰で打つ | 相手から隠れている(2.6.4) | 相手から見てボールが最初から最後まで見える向きで構える |
| 上げた左手をそのまま残す | フリーアームがボールとネットの間にある(2.6.5) | トスを上げたら左手を体の横へ引く |
| 台の内側で打つ | エンドラインより後ろで打っていない(2.6.4) | 打点を台の外に。台の端に体が触れる距離なら近すぎます |
| トスが低い・横に流れる | 16cm以上・ほぼ垂直(2.6.2) | 巻き込みでもトスは基本と同じ。腕の動きに引きずられない |
審判のいる試合でこれらを取られると、そのまま相手の得点です。練習試合で注意されないまま覚えると、大会で初めて取られて崩れます。サーブの決まり全体は卓球のサーブのルール、よく迷う判定は卓球のエッジ・ネットイン・レットにあります。
今すぐ確かめる手順:相手の側に立ってもらい、「打つ瞬間までボールが見えていたか」を毎回聞いてください。自分では絶対に分かりません。見えていなかった回数が0になるまで、構えの向きを少しずつ開きます。
巻き込みサーブの返し方|レシーブする側
返す側の考え方は1つです。ボールは、サーバーのラケットが動いた方向へ弾かれる——だから、面をその逆へ向けます。
- ①サーバーのラケットの動く向きを見る——巻き込みなら、自分から見て右から左へ動く
- ②面をその逆=自分の右へ向ける——当てただけだと左へ飛ぶぶんを、先に打ち消す
- ③下回転が混ざっていたら面を上に——ツッツキで返す。面の向きはツッツキの章のとおり
- ④長く来たら打つ——台から出るサーブなら、回転を気にせずドライブで持ち上げる
「わかりにくい」と言われるのは、ラケットの動きが順横回転と逆なのに、フォームが似ているからです。見るところをラケットの先がどちらへ動いたかに絞ると、迷わなくなります。レシーブの構えと基本は卓球のレシーブにまとめています。
今すぐ確かめる手順:相手に巻き込みを出してもらい、面を右に向けるだけで10本返してください。台に入る本数が増えれば、向きは合っています。まだ左へ出るなら、もう少し右へ向けます。
巻き込みの逆の回転も出したい方へ。手の甲側を相手に向けて内から外へこするYGサーブの出し方6手順、相手のツッツキがバック側へ流れること、落とされやすいITTF 2.6.4は卓球のYGサーブ|出し方と巻き込みとの違い・返し方にまとめています。
練習の順番|先に覚えるもの
巻き込みは3番目以降に覚えるサーブです。順番を守らないと、形だけの回転のないサーブが増えます。
| 順番 | 覚えること | 次に進む目安 |
|---|---|---|
| ① | フォアの基本サーブで薄くこする | 10本中7本が「シュッ」の音 |
| ② | 下回転サーブを短く出す | 2バウンドが10本中7本 |
| ③ | 巻き込みで横回転だけ | 相手の返球が右に偏る |
| ④ | 巻き込みの横下回転 | 相手がネットに落とす |
| ⑤ | 同じ振りから横下と横上 | 相手が「どっち?」と聞いてくる |
練習の道具は、ボールをまとめて用意することです。3個で練習すると拾う時間のほうが長くなります。数え方と記録のしかたは卓球のサーブの種類の「練習のしかた」、練習球の選び方は卓球の試合球と練習球の違いにあります。
回転のかかりやすさはラバーでも変わります。表面の引っかかりが強い裏ソフトほど、薄くこすったときの回転量が出ます。種類の違いは卓球ラバーの種類と選び方にまとめています。
まとめ
巻き込みサーブは出し方の名前で、中身は逆横回転です。ラケットを体の内側から外側へ、ボールの外側を巻きつけるようにこすります。
効く理由は相手のフォア側へ逃げることと、返球が自分のフォア側に来やすいこと。入らないときは、ネット・オーバー・回転なしのどれかを数えて、1つずつ直します。
先に覚えるのは基本のフォアサーブで薄くこすること。「シュッ」の音が出せるようになってから、巻き込みに進んでください。そして、相手から見えているかを必ず人に確かめてもらうこと——審判のいる試合で困らないための、いちばん大事な確認です。
用具えらびのチェックリスト(PDF)をお送りします
はじめて道具をそろえるときに「何を・どの順番で決めるか」を1枚にまとめたものです。印刷して、そのままお店で使えます。あわせて、ラバーを貼った状態で届く貼り上がり完成ラケット(来春の予約企画)の先行案内もお届けします。
