本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。記事内で紹介している商品には、当店で販売しているものが含まれます。
左利きの子が卓球部に入った。あるいは自分が左利きで、これから始める。「左利き用のラケットを買うのか」「教わる内容が違うのか」「有利だと聞いたけれど本当か」——始める前に確かめておきたいことが、いくつも出てきます。
結論を先に書きます。ルールにも用具にも、左右の区別は一つもありません。競技規則には利き手について書かれた条文がなく、ラケットにもラバーにも「左利き用」という区分は存在しません。買うものは右利きの人とまったく同じです。
そのうえで、実際に変わることは3つだけあります。①コースの見え方 ②ダブルスの並び ③練習相手の数——この記事ではこの3つを順に説明します。ラケットそのものの選び方は卓球ラケットの選び方にまとめています。
まず即答|左利きで変わるのは3つだけ
| 項目 | 右利きと違うか | 中身 |
|---|---|---|
| ルール | 同じ | 競技規則に利き手の規定はありません |
| ラケット・ラバー | 同じ | 「左利き用」という商品区分がありません |
| 握り方・打ち方 | 同じ | 左右が入れ替わるだけで、教わる内容は変わりません |
| ①コースの見え方 | 変わる | 右利き相手だとクロスとストレートが入れ替わります |
| ②ダブルスの並び | 変わる | サーブは規則で「右半面から右半面へ」と決まっています |
| ③練習相手の数 | 変わる | 同じ利き手の練習相手が見つかりにくくなります |
用具を買い直す必要も、特別な教わり方をする必要もありません。変わるのは、打ち始めたあとの「向き」の話だけです。
今すぐ確かめる手順:用具をそろえる段階なら、利き手のことは一度忘れてかまいません。重さと予算で選んで問題ありません。
ルールに利き手の規定はない
競技規則を最初から最後まで読んでも、「右利きは」「左利きは」と書かれた条文は出てきません。有利にする決まりも、不利にする決まりも存在しないということです。
| ルール | 中身 | 左利きでの違い |
|---|---|---|
| サーブのトス | 手のひらから16cm以上、ほぼ垂直に上げる(ITTF 2.6.2) | なし |
| サーブを隠さない | 相手から見えるように出す(ITTF 2.6.4) | なし |
| サーブ交代 | 2点ごと。10オール以降は1点ごと(ITTF 2.13.3) | なし |
| ラバーの色 | 片面は黒、もう片面は区別できる鮮やかな色(ITTF 2.4.6) | なし |
| 最終ゲームのエンド交代 | どちらかが5点に達したとき(ITTF 2.13.7) | なし |
「左利きは審判のコールが違う」「サーブの位置が違う」といった話はありません。ルールの面では、完全に同じ条件です。基本のルールは卓球のルールを簡単ににまとめています。
用具にも左右の区別はない
ラケットについて、規則は「大きさ・形・重さは自由。ただし板は平らで硬いこと」と定めているだけです(ITTF 2.4.1)。左利き用・右利き用という分け方そのものが存在しません。
グリップの形も左右共通
シェークハンドのグリップには、握りの形がいくつかあります。当店で扱うラケット299商品の変種を数えると、フレア88・ストレート57・中国式26・角型5・アナトミック3・角丸3でした(2026年9月時点。変種の名前がその表記どおりのものだけを数えています。「FL」「ST」のような略記も合算した数え方は卓球ラケットの選び方にあります)。このどれも、左右で形が違うものではありません。同じ商品を、左利きの人も右利きの人も同じように買います。
| 形 | 特徴 | 左利きでの注意 |
|---|---|---|
| フレア(FL) | 手前が広がった形。握る位置が決まりやすい | なし |
| ストレート(ST) | 太さが一定。握り替えがしやすい | なし |
| アナトミック(AN) | 真ん中がふくらんだ形 | なし |
| 中国式ペン | ペン握り用。裏面にも貼れる | なし |
形の選び方そのものは卓球ラケットの選び方、握り方はラケットの正しい握り方にあります。入り口の1本はエクスターV(税込¥3,850)やアミン FL(税込¥4,180)のあたりからです。どちらも板だけの商品で、打てるようにするにはラバー2枚と貼るものが別に要ります——この点も右利きと同じです。
ラバーも同じ
ラバーにも左利き用はありません。色の決まり(片面は黒、もう片面は黒ともボールとも区別できる鮮やかな色)も同じです。どちらの面を黒にするかも自由で、利き手とは関係ありません。色の規則は卓球ラバーの色のルールにまとめました。
変わること①|クロスとストレートが入れ替わる
ここからが実際に違うところです。右利き同士なら、フォア側から斜めに打った球は相手のフォア側へ行きます。ところが右利き対左利きだと、同じように打った球は相手のバック側へ行きます。
| 自分 | 相手 | フォアから斜めに打つと | まっすぐ打つと |
|---|---|---|---|
| 右 | 右 | 相手のフォア側 | 相手のバック側 |
| 左 | 右 | 相手のバック側 | 相手のフォア側 |
| 左 | 左 | 相手のフォア側 | 相手のバック側 |
つまり左利きの人は、いつも打っている「いちばん打ちやすい斜めの球」が、右利きの相手のバック側(弱い側になりやすいほう)へ自然に入っていくということです。これが「左利きは有利」と言われるときの中身です。
「有利」の正体は、相手が慣れていないこと
ただし、ルールの上で有利になる要素は一つもありません。起きているのは相手が左利きと打ち慣れていないという一点です。相手にとっては、来るコースも、サーブの回転の向きも、普段と左右が逆になります。
この「慣れ」は相手が左利きと何回打ったかで消えます。左利きだから勝てる、という話ではありません。逆に言えば、左利きの側も右利きの相手に慣れる必要があります——そしてこちらは、相手が多いぶん自然に慣れていきます。
どこへ返すかを決める考え方は卓球の配球で扱っています。左利きの場合、「相手のバック側へ返す」がフォアの斜め打ちで作れるので、この記事の内容がそのまま使えます。
今すぐ確かめる手順:練習で1本打つたびに、その球が相手のフォア側とバック側のどちらへ行ったかを口に出してみてください。左右が逆になる感覚は、これで数回のうちにつかめます。
変わること②|ダブルスは規則の側で「右半面から右半面へ」
ダブルスだけは、規則が場所を固定しています。サーブは自分の右半面から、相手の右半面へ入れると決まっています(ITTF 2.6.3)。利き手に関係なく、全員この向きです。
コートは真ん中の3mm幅のセンターラインで左右に分けられ、このラインは両方の右半面の一部として扱われます(ITTF 2.1.6)。ライン上に落ちた球はセーフです。
打つ順番は交互——ここも同じ
ダブルスではサーバー→レシーバー→サーバーのパートナー→レシーバーのパートナーの順に1本ずつ交互に打ちます(ITTF 2.8.2)。順番を飛ばすと相手の得点になります(ITTF 2.10.1.12)。この決まりも利き手とは無関係です。
動き方だけが変わる
変わるのは2人の動線です。右利き2人のペアは、打ったあと同じ方向へ抜けるので、お互いの体がぶつからないよう順番に外れる動きが要ります。右利きと左利きのペアは、打ったあとに抜ける方向が左右に分かれます。
どちらが良いという話ではなく、抜け方の型が違うということです。ペアの動き方は卓球のダブルスの動き方、サーブの順番やコートの決まりは卓球のダブルスのルールにまとめています。
変わること③|同じ利き手の練習相手が少ない
現実に効いてくるのは、たぶんこれです。部内に左利きが自分ひとりだと、左利き相手の練習がほぼできません。
見落とされがちですが、これは両側の問題です。
- 左利きの本人——右利き相手の練習は毎日できる。左利き相手は大会で初めて当たる
- 周りの右利き——左利き相手の練習が、その1人としかできない
やることは決まっています。左利きの人を「練習相手として順番に回す」——これだけです。部として意識的に組まないと、いつも同じ人としか打たない形になります。
- 週に1回は、左利きの人と全員が打つ日を作る
- 球出しの人が左手で出す——多球練習なら利き手を変えて再現できます
- コースを口で伝えてから打つ——慣れていない側は、まず場所を予告してもらう
球を出して打たせる練習のやり方は卓球の多球練習にあります。球出しは利き手を変えても成立するので、左利き相手の球筋を作るのにいちばん現実的な方法です。
やらなくていいこと
左利きだからと、余計にやる必要のないことを挙げておきます。
- 右手に持ち替えて練習する——必要ありません。利き手で始めてください
- 左利き用の用具を探す——存在しません。同じものを買います
- 左利き専用の教え方を探す——同じ内容を左右逆にするだけです
- 戦型を先に決める——利き手と戦型は関係しません
戦型(ドライブ型・前陣速攻型・カット型など)の決め方は卓球の戦型にまとめています。左利きだからこの型、という対応はありません。
教わるときは「鏡で見せてもらう」
指導する側が右利きだと、お手本が左右反対になります。このとき有効なのは、指導者に向かい合って(鏡になるように)見せてもらうことです。横に並んで見ると、左右を頭の中で入れ替える手間が増えます。
教える側の順番と声のかけ方は卓球の教え方にまとめました。
子どもが左利きのとき、親が確かめること
用具の面で追加の出費はありません。右利きの子と同じものを、同じ予算で買えます。確認したほうがよいのは、次の3点です。
- ラケットの指定があるか——あっても利き手とは無関係です
- 練習の組み方——左利きが本人だけかどうか
- ダブルスを組む予定があるか——組み方で動き方の練習が変わります
小学生・中学生の1本目の選び方は小学生の卓球ラケットの選び方、中学生の卓球ラケットの選び方にあります。部活の1年目にかかる費用は中学の卓球部の費用にまとめました。
まとめ
卓球のルールにも用具にも、左右の区別は一つもありません。ラケットもラバーも右利きの人と同じものを買いますし、握り方も打ち方も、教わる内容は同じです。
実際に変わるのは3つです。①右利き相手だとコースが左右逆になる ②ダブルスのサーブは全員「右半面から右半面へ」(ITTF 2.6.3)③同じ利き手の練習相手が見つかりにくい。
このうち手を打てるのは③です。週に1回、左利きの人と全員が打つ日を作る——部としてそれを決めておけば、左利きの本人も、周りの右利きも、両方が困らなくなります。
用具えらびのチェックリスト(PDF)をお送りします
はじめて道具をそろえるときに「何を・どの順番で決めるか」を1枚にまとめたものです。印刷して、そのままお店で使えます。あわせて、ラバーを貼った状態で届く貼り上がり完成ラケット(来春の予約企画)の先行案内もお届けします。
