卓球部の顧問になったら|未経験の最初の1か月

【本記事について】
本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。記事内で紹介している商品には、当店で販売しているものが含まれます。

未経験で卓球部の顧問を任されたとき、最初の1か月で決めることは5つです。①安全 ②場所と時間 ③協会への登録 ④お金の線引き ⑤大会に出るか。打ち方を覚えるのは、この5つが決まったあとで構いません。

部が止まる原因は打ち方ではなく手続きの締切です。協会への登録は「原則として3月1日から6月30日までの間に、その手続きを完了しなければならない」と規程にあり(日本卓球協会 基本規程 第46条第3項)、外すと1年間、大会の話が動きません。

この記事は顧問が決めることだけを扱います。1人の部員に打ち方を教える順番と声のかけ方は卓球の教え方にあるので、打ち方の説明はしません。

最初の1か月で決める5つと、その順番

上から順に決めます。下から手をつけると、決めたことが上の都合でひっくり返ります。打ち方はこの5つに入っていません。

決めることいつまでに決まらないと
安全(台の出し入れ・床の球・台の状態)最初の練習の前けがが起きてから動く
場所と時間(台数・待ちの人・練習の型)1週目毎回その場で考える
協会への登録(選手・役職者)加盟団体の案内の締切1年間、大会の話が動かない
お金(部の予算/各家庭)2週目「聞いていない」が後から来る
大会(どこに・何人で)要項の申込締切ゼッケンと服装が間に合わない

今すぐ確かめる手順:紙に①〜⑤を縦に書き、決まっているものに丸を付けます。丸が付かなかった一番上が今日やることです。5つ全部を今日やらないでください。

① 安全|台を出す前に決めておくこと

けがが起きる場面は台の出し入れ、床に転がった球、状態の悪い台の3つです。どれも打つ前の準備で減らせます。

台の出し入れは手順を固定する

卓球台は天板が2枚に分かれ、キャスターと脚のロックが付いています。指を挟む、天板が落ちる事故はここで起きます。次の3つを紙に書いて壁に貼ります。新入部員が入る前に決めてください。

  • 1台を動かす人数(1人で動かさない)
  • 動かす向きと通る道(毎回同じ経路にする)
  • ロックをかける係と、確認する係(かけた人以外が見る)

床の球は「拾う順番」で減らす

直径40mmの球(ITTF 2.3.1)は靴の下でよく転がり、踏むと足首が横に流れます。「気をつける」では減らないので仕組みで減らします。

  • 球を入れるかごの位置を台ごとに固定する(毎回動かさない)
  • ラリーが切れたら、打った本人ではなく手前にいる人が拾う
  • 人が通る通路を1本決め、そこにはかごも荷物も置かない

台とネットの状態は最初の週に全部見る

引き継いだ台はネットがゆるんだり、天板が湿気で弾まなくなっていたりします。規則に数字があるので打てなくても判定できます。

  • 打球面は長さ2.74m・幅1.525m、床から76cm(ITTF 2.1.1)
  • 球を30cmの高さから落とすと約23cm跳ね返る弾み方(ITTF 2.1.3)
  • ネットの上端は打球面から15.25cm、支柱も15.25cm(ITTF 2.2.2・2.2.3)

ネットの高さは目分量では合いません。測る道具はVICTAS NET HIGH GAUGEが¥440、ネット・ゲージが¥1,650。1本で全台を測れます。ひもが切れた台にはネットひも ロングが¥165、ネットごと替えるならカラーネットが¥2,200です。

体の痛みは顧問が判断しないでください。痛みが数日続く・腫れているときは整形外科へ、と本人と家庭に伝える形でそろえます。

今すぐ確かめる手順:台1台につき球を1個、天板から30cmの高さで落とし、跳ね返りが約23cm(ITTF 2.1.3)戻るか見ます。極端に戻らない台には印を付け、試合形式の練習には使いません。

② 場所と時間|台の数から人の動きを決める

練習の中身より先に決めるのは台に入れない人が何をするかです。部員数を台数で割れば、同時に打てない人数が出ます。決めずに始めると、待つ人が座り、注意する時間で1時間が終わります。

台の後ろを優先して空ける

国際大会の規定では1台あたりの競技空間は長さ14m・幅7m・高さ5m以上です(ITTF 3.2.3.1)。学校の体育館では無理ですが、この数字はどこを優先して空けるかを教えます。台の長さは2.74m(ITTF 2.1.1)なので、14mのうち台以外は11.26m、前後に5.6mずつ。幅より奥行きに寄せた形です。

横の間隔を詰めてでも台の後ろを長く取ります。後ろが壁だと、下がって打つ練習ができません。

待ちの3つと、練習の型を固定する

待ちの時間にやることは毎回同じ3つでいいです。「素振り」「体づくり」「記録係」を決めて順に回します。何を何分やるかの割り振りは卓球の練習メニュー|限られた時間を何に割り振るかにあります。

未経験の顧問がいちばん消耗するのは毎回メニューを考えることです。最初の1か月は型を1つ決めて変えません。準備・基本練習・課題練習・ゲーム・片づけの並びと時間配分を1枚にして壁に貼れば、顧問がいない日も同じ形が回ります。

今すぐ確かめる手順:台の数を数え、部員数を台数で割ります。答えが4を超えたら、待つ人がやることを紙に3つ書き出し、次の練習で読み上げます。

③ 登録|期間も金額も規程で決まっている

ここが未経験の顧問にいちばん見えにくい部分です。日本卓球協会への登録は各都道府県の加盟団体を通じて行います(基本規程 第46条)。学校から直接申し込むのではありません。

期間は2種類ある。混同しない

  • 登録が有効な期間=毎年4月1日から3月31日まで(第45条)
  • 手続きをする期間=毎年行い、原則として3月1日から6月30日までに完了(第46条第3項)

見落とすのは後者です。手続きの期間は3月1日から始まっていて、4月の着任時点ですでに動いています。実際の受付日と締切日は加盟団体が案内するので、6月30日だけを見て動かないでください。

種別と登録料(第40条)

  • 第1種 一般 1,500円/人
  • 第2種 日学連 1,100円/人
  • 第3種 高体連 900円/人
  • 第4種 中学生 700円/人
  • 第5種 小学生以下 700円/人
  • 第6種 教職員 1,500円/人
  • 第7種 日本リーグ 1,500円/人
  • 第8種 役職者(19歳以上の顧問・部長・監督・コーチ等) 1,500円/人

顧問は第8種です。「役職者登録のみでは選手活動はできない」ので(第39条第1項2号)、自分も試合に出るなら役職者と選手を兼ねて登録します(第43条第4項)。登録料とは別に、加盟団体が定める所属会費がかかります(第46条第2項)。

納入するとゼッケンが届く/返金はされない

登録料は加盟団体に納めます(第44条)。納入後、選手登録者には協会指定のゼッケンが、役職者登録者には役職者章が提供されます(第44条第2項)。学校で作るものではありません。一度納めた登録料は原則返金されません(第44条第4項)。仮入部の生徒をまとめて登録すると、退部したぶんは戻りません。

クラブチームに通っている部員

選手登録は原則として一人につき一つのチームに限られます(第39条第2項)。ただし中学生(第4種)と小学生(第5種)は、所属学校以外に同一都道府県内の一つのチームへ二重登録できます(第43条第2項)。この場合は登録数の分だけ登録料を納めます(第44条第3項)。登録する都道府県は居住地・勤務先・学籍地のいずれかがある都道府県で、学籍地とは在学する学校の所在地です(第41条)。

登録で押さえる5点(日本卓球協会 基本規程)
  1. 窓口は都道府県の加盟団体(第46条)
  2. 手続きは原則3月1日〜6月30日、有効期間は4月1日〜3月31日(第45条・第46条第3項)
  3. 顧問は第8種 1,500円/人。選手活動には別に選手登録が要る(第40条・第39条)
  4. 納入後に協会指定のゼッケンが渡される(第44条第2項)
  5. 納めた登録料は原則返金されない(第44条第4項)

今すぐ確かめる手順:「都道府県名+卓球協会」で出る加盟団体のサイトを開き、受付開始日・締切日・所属会費の3つをカレンダーに書き写します。それが規程の期間より早ければ、そちらが自分の締切です。

④ お金|部で買うものと個人が買うものを分ける

基準は1つ。体に合わせるもの・持ち帰るものは個人、全員が同じだけ減らすものは部。この基準なら、家庭からの問い合わせにも同じ答えを返せます。

部の予算で買う各家庭が買う
練習球・試合球ラケット・ラバー
ネット・ネットひも・ゲージシューズ・ウェア・ソックス
集球用具ラケットケース・タオル
共用のクリーナー・ブラシ保護シート・ゼッケンピン
サイドテープ・エッジ保護(箱で)接着剤(自分で貼り替える場合)

消耗品は箱で買うと1個あたりが下がります。予算を通すときは箱の値段ではなく1個あたりを書くと説明が早く済みます。

試合形式に使う球は練習球と分けます。3スターならバタフライスリースターボールA40+【12球入り】が¥3,696。混ぜると見分けがつかなくなるので、入れ物を分けます。

個人が買うものは、顧問が機種を指定しないでください。決めるのは予算の上限と期限の2つだけです。品名まで指定すると、手の大きさや家庭の事情に合わない道具を買わせることになります。

今すぐ確かめる手順:かごの練習球を全部出し、割れ・へこみ・変色をより分けて残りの数を紙に書きます。次の練習の終わりに数えれば、1回で何球減るか分かります。その数×週の練習回数が、月に補充する量です。

試合で止められる用具の落とし穴

会場で用具を止められる原因は、ほぼラバーの色、ITTFのロゴ、シャツの色の3つ。どれも打てなくても目で確認できます。

見る場所規則条文止められる例
ラバーの色つや消し。片面は黒、もう片面は黒とも球の色とも区別できる鮮やかな色ITTF 2.4.6もらい物で両面が同じ色
ラバーのロゴITTF認証のラバーを、ロゴ・番号・供給者名・ブランド名がハンドル側で見えるように貼るITTF 3.2.1.3切るときロゴまで落とした
ラバーの厚さ接着剤込みで表ソフト2.05mm未満、スポンジ付き4.05mm未満ITTF 2.4.3接着剤の重ね塗りで厚い
ラバーの加工物理的・化学的な処理をせずに使う(添加物も不可)ITTF 2.4.7・3.4.2.2表面に何かを塗った
シャツの色シャツ・ショーツ等の主な色(袖と襟を除く)は使う球の色と違うことITTF 3.2.2.2白い球の大会に白いシャツで行った
チームの服装団体戦のチームは服装をそろえる。靴下・靴・広告は例外ITTF 3.2.2.71人だけ違うシャツで来た
上着レフェリーの許可がないと着てプレーできないITTF 3.2.2.1寒いのでジャージのまま台に入った

条文番号の読み分けだけ補足します。2で始まる番号は競技規則そのもの、3で始まる番号は国際大会の規定です。国内大会でどこまで同じ求めをするかは要項に書かれているので、申し込む前に要項を読んでください。

シャツを2着、ラケットを2本持たせる理由

対戦する選手・ペアは、観客が見分けられるだけ色の違うシャツを着ます(ITTF 3.2.2.8)。似た色でどちらが着替えるか決まらないときは審判のくじになり、負けた側が着替えます(ITTF 3.2.2.9)。替えがないと詰みます。全日本卓球選手権の実施要項にも「競技用シャツは明らかに異なった色のものを2着以上持参すること」とあります。

ラケットは試合中に替えられません。例外は事故で使えないほど壊れたときだけで、交換できるのはその場に持ち込んでいた別のラケットです(ITTF 3.4.2.4)。古いラケットを捨てずに持たせておくと、ここで効きます。なお試合前には、使うラケットを相手と審判に見せて確かめさせます(ITTF 2.4.8)。

今すぐ確かめる手順:部員のラケットを1本ずつ受け取り、(1)両面の色(片面が黒で、もう片面が黒と区別できる色か)、(2)ハンドル側にITTFのロゴが見えているか、の2点を見ます。これだけで会場のトラブルは減ります。

大会に出るまでの7段階

初めて大会に出すときの流れです。4番を飛ばすと、あとの3つがやり直しになります

  1. 学校が都道府県の加盟団体に登録されているか確認(第38条・第46条)。前任者名義なら変更が要る
  2. 選手登録と役職者登録を、加盟団体を通じて行う(第46条)
  3. 登録料と所属会費を納める(第44条・第46条第2項)。納入後に協会指定のゼッケンが渡される
  4. 要項を読む。使うテーブル・ネット・床・球の銘柄と色は要項に書くことになっている(ITTF 3.2.1.2)ので、球の色もここで分かる
  5. 申し込む。団体戦なら人数とオーダーが要る
  6. ゼッケンを付ける。寸法は大会ごとに違い、全国中学校卓球大会の要項では25.5cm×21cm(上段12.5cm・中段4cm・下段4.5cm)
  7. 当日。審判を選手側が担当する大会が多いので、手順を覚えさせておく

審判の手順は卓球の審判のやり方にあります。前日に説明するより、練習のゲームで審判をやらせておくほうが当日に慌てません。1年の大会の並びは卓球部の1年間で見通しが立ちます。

要項で必ず線を引く4か所
  1. 申込の締切日と申込先(ここだけは代わりがきかない)
  2. 使う球の銘柄と色(シャツの色が決まる/ITTF 3.2.1.2・3.2.2.2)
  3. ゼッケンの寸法と記入内容(大会ごとに違う)
  4. 服装の指定(公認マークの要不要・団体戦のそろえ方)

今すぐ確かめる手順:出たい大会の要項を1部印刷し、上の4か所に線を引きます。その4つを1枚に書き写せば、部員と家庭に配る連絡文になります。要項にない点は加盟団体に確認してください。

打ち方は教えなくていい

顧問の仕事は決めること・見ること・記録することの3つです。打ち方を教えるのは経験のある部員か外部の指導者の役目にします。見よう見まねのフォームを教えると、直すのに何倍も時間がかかります。

経験のある部員がいるなら「今週の教え役」を1人決めて名前を紙に書きます。全員に教えさせると言うことが人によって変わり、新入部員が混乱します。教える側の手順と声のかけ方は卓球の教え方教える本人に読ませてください。顧問が伝え直すより早く回ります。

経験者が1人もいないときは、教える人を作ろうとせず型を固定します。同じ練習を4週間続けると、部員が慣れて自分たちで回し始めます。顧問は時間を計る・出席を取る・球を補充するの3つで足ります。

やらないほうがいい3つ

  • 自分の見よう見まねのフォームを教える(直す手間のほうが大きい)
  • 全員に同じ声をかける(経験差があるので、同じ言葉が真逆に届く)
  • その日の思いつきでメニューを変える(部員が準備できなくなる)

今すぐ確かめる手順:部員名簿に一人ずつ経験年数を書き込みます。経験のある部員が1人でもいれば、その人を今週の教え役と決めて名前を貼り出します。1人もいなければ、練習の型を1つ決めて4週間変えないと決めます。

打てなくてもできる、顧問だけの仕事7つ

未経験は弱点ではなく担当の分かれ目です。次の7つは打てる人より、規則と書類を読める人のほうが速い仕事で、部員から見れば「顧問が見てくれている」形になります。

  1. 役職者登録をして研修会に出る。登録会員は「本協会及び加盟団体が行うすべての競技会、検定会、研修会等に参加することができる」(第42条)。第8種1,500円/人(第40条)
  2. ネットの高さを全台そろえる。上端は打球面から15.25cm(ITTF 2.2.3)。ゲージ1本で測れる
  3. 台の弾みを確かめる。30cmから落として約23cm(ITTF 2.1.3)
  4. 部員のラケットを1本ずつ見る。色(ITTF 2.4.6)とロゴの見え方(ITTF 3.2.1.3)の2点
  5. 大会要項を読み切って一覧にする。締切・球の色・ゼッケン・服装の4項目を1枚に
  6. 記録をつける。出席、その日のメニュー、けがの申し出。3列の表で足りる
  7. 消耗品の数を管理する。減る速さが分かると予算の要求が通る

今すぐ確かめる手順:7つのうち今日中に終わるものを1つだけ選んで、今日やります。全部を今週に詰め込むと途中で止まります。

よくある質問

Q. まず自分が打てるようになるべきですか?
A. 最初の1か月では要りません。同じ時間を使うなら、ネットの高さを測る・要項を読む・登録の締切を確認するほうが役に立ちます。打てるようになるのは5つが片づいてからで間に合います。

Q. 顧問も協会に登録するのですか?
A. 顧問は第8種(役職者)で、当該年度19歳以上、登録料1,500円/人です(日本卓球協会 基本規程 第40条)。役職者登録だけでは選手として活動できません(第39条第1項2号)。自分も試合に出るなら、役職者と選手を兼ねて登録できます(第43条第4項)。

Q. クラブチームに通う部員は両方に登録できますか?
A. 中学生(第4種)と小学生(第5種)は、所属学校以外に同一都道府県内の一つのチームへ二重登録できます(第43条第2項)。登録数の分だけ登録料を納めます(第44条第3項)。高校生や一般は原則一つのチームに限られます(第39条第2項)。

Q. 予算が少ないです。何から買いますか?
A. 練習球です。ラケットは個人が体に合わせて買うものですが、球は全員が同じだけ減らすので部で持ちます。100球入りで¥3,850(1球あたり約38円)。次に切れたネットひも、そのあとネット本体です。

まとめ

最初の1か月で決める5つ
  1. 安全=出し入れの手順、かごの位置、全台のネットの高さ(ITTF 2.2.3)
  2. 場所と時間=台数から待ちの人数を出し、待ちの3つと練習の型を固定
  3. 登録=加盟団体を通じて、原則3月1日〜6月30日(基本規程 第46条第3項)
  4. お金=体に合わせるものは個人、全員が減らすものは部。1個あたりで比べる
  5. 大会=要項の締切・球の色・ゼッケン・服装の4か所に線を引く

この5つが決まれば、打ち方を知らなくても部は回ります。逆に打ち方を先に覚えても、登録の締切を外した年は大会に出られません。順番を入れ替えないのがいちばん効きます。

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