本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。
子どもの試合を初めて見に行く日。会場に着いてみると、あちこちの台で同時に試合が進んでいて、点数の数え方も、いつ終わるのかも、声を出していいのかも分からない——ここでとまどう保護者はとても多いです。
結論を先に書きます。1ゲームは11点先取、サーブは2点ごとに交代、ゲームとゲームの間は最大1分。そして個人戦でアドバイスできるのは、あらかじめ審判に届け出た1人だけです。この4つを知っているだけで、見ていて分からない場面がほとんど無くなります。
この記事は、プレーする側ではなく見る側のために書いています。試合をする本人向けの流れとマナーは卓球の試合の流れとマナー、当日の持ち物は卓球の試合の持ち物にまとめています。
まず即答|保護者が知っておく5つ
- 1ゲームは11点先取。10対10になったら2点差がつくまで続きます(ITTF 2.11.1)
- 何ゲーム先取かは大会の要項で決まります。規則は「奇数ゲームで争う」としか定めていません(同 2.12.1)
- サーブは2点ごとに交代。10対10からは1点ごとです(同 2.13.3)
- ゲームとゲームの間の休憩は最大1分(同 3.4.4.1.1)
- 個人戦でアドバイスできるのは、審判に届け出た1人だけ(同 3.5.1.2)
最後の1つがいちばん大事です。保護者が客席から作戦を伝えることは、原則としてできません。これを知らずに声をかけて、注意されてしまうことがあります。
今すぐ確かめる手順:会場に着いたら、まず子どもが何番の台で、何試合目に入るのかを確認してください。トーナメント表と台の番号は、たいてい入口に貼り出されています。
1試合の進み方——どこを見れば分かるか
卓球の試合は、ゲームを積み上げて1試合(マッチ)になります。バレーボールのセットや、テニスのセットと同じ考え方です。
| 単位 | 決まり | 条文 |
|---|---|---|
| 1ゲーム | 11点先取。10対10なら2点差がつくまで | ITTF 2.11.1 |
| 1試合(マッチ) | 奇数ゲームで争う。3ゲーム制か5ゲーム制が多い | ITTF 2.12.1 |
| サーブ | 2点ごとに交代。10対10からは1点ごと | ITTF 2.13.3 |
| コート | ゲームごとに入れかわる。最終ゲームは、どちらかが5点で入れかわる | ITTF 2.13.7 |
| ゲーム間 | 最大1分の休憩 | ITTF 3.4.4.1.1 |
何ゲーム制かは規則では決まっていません。大会の実施要項で決まるので、「3ゲームのうち2つ取ったら勝ち」なのか「5ゲームのうち3つ」なのかは要項を見てください。同じ大会でも、予選と決勝で変わることがあります。
コートが入れかわったら、次のゲームです
見ていて分かりやすい目印がコートの入れかわりです。2人が台の反対側へ移動したら、そこでゲームが1つ終わっています。最終ゲームだけは途中(どちらかが5点になったとき)でも入れかわるので、ここで「もう終わり?」と勘違いしやすくなります。
点数の数え方や呼び方は卓球の点数の数え方・カウントの仕方、10対10からの延長は卓球のデュースとは?にまとめています。
1試合は何分かかるのか
よく聞かれるのがこれですが、規則には「1試合◯分」という定めがありません。実際の時間は、ゲーム数と、1点あたりのラリーの長さで変わります。
ただし長引きすぎないための仕組みはあります。1ゲームが10分続くと「促進ルール」に入り(ITTF 2.15.1)、サーブは1点ごとの交代になり、レシーブ側が13回返すとレシーブ側の得点になります(同 2.15.4)。つまり1ゲームが延々と続くことはありません。なおすでに合計18点入っていれば促進ルールは入りません(同 2.15.2)。
待ち時間の目安については卓球の試合時間で扱っています。会場に何時までいることになるかは、要項の進行予定を見るのがいちばん確実です。
アドバイスのルール——ここがいちばん大事
保護者にとって、知らないと困るのがこれです。
- 個人戦——アドバイスできるのは、あらかじめ審判に届け出た1人だけ(ITTF 3.5.1.2)
- 団体戦——競技領域にいることを認められた人ならアドバイスできます(同 3.5.1.1)
- いつでもよいが、ラリー中はだめ。進行を遅らせない範囲で(同 3.5.1.3)
- 違反すると審判からイエローカードが出て、繰り返すと退場になります(同 3.5.1.3)
つまり客席から「バックを狙え」「もっと前で打て」と伝えるのは、個人戦では原則できません。届け出た1人は、たいてい顧問の先生かコーチです。
「がんばれ」「ナイス」といった作戦の内容を含まない声援は、アドバイスにはあたりません。ただし会場によって運用が違うので、迷ったら周りに合わせるのが安全です。
今すぐ確かめる手順:試合が始まる前に、顧問の先生に「声を出しても大丈夫ですか」と一言聞いておくとその日は迷いません。大会によって雰囲気がまったく違います。
応援でやっていいこと・避けること
規則は、選手だけでなくコーチやアドバイザーの振る舞いについても定めています。相手に不当な影響を与えたり、観客を不快にさせたり、競技の評判を落とすような行為をしてはならない、という書き方です(ITTF 3.5.2.1)。
| 場面 | してよいこと | 避けること |
|---|---|---|
| 得点が入ったとき | 拍手、「ナイス」などの短い声援 | 相手のミスで入った点で大きく喜ぶ |
| ラリーの最中 | 静かに見る | 声を出す(プレーの妨げになります) |
| 判定が微妙なとき | 見守る | 客席から判定に口を出す |
| 負けたとき | 最後まで見る、拍手 | その場で技術的な指摘をする |
とくに1つ目は見落とされます。相手が打ち損じて入った点で大きな歓声が上がると、相手の選手にも、その保護者にも良い場面にはなりません。自分の子どもが決めた点と、相手のミスで入った点を同じ大きさで喜ばない——これだけで印象が変わります。
写真と動画は、会場の指示に従う
撮影の可否は大会ごとに決められています。禁止されている大会、フラッシュだけ禁止の大会、本部への申し出が要る大会——運用はさまざまです。要項か、会場の掲示で確認してください。他の子どもが写り込む撮影については、とくに慎重に扱うのが無難です。
見ていて分かりにくい場面
試合が急に止まったり、点数が入らずにやり直しになったりする場面があります。代表的なものを並べます。
| 起きたこと | 何が起きているか | 条文 |
|---|---|---|
| サーブがネットに触れて入った | やり直し(レット)。得点は動きません。何度でも | ITTF 2.9.1.1 |
| 台の角に当たって入った | 有効(エッジ)。台の上の面に触れているためです | ITTF 2.1.2 |
| 台の横に当たった | 失点(サイド)。垂直な側面は台の面に含まれません | ITTF 2.1.2 |
| 6点ごとに2人が台から離れる | タオルを使う時間。各ゲームの6点ごとに認められています | ITTF 3.4.4.1.2 |
| 手で「T」の形を作って試合が止まった | タイムアウト。1試合に1回・最大1分 | ITTF 3.4.4.2/3.4.4.2.3 |
| サーブが1点ごとの交代になった | 10対10になったか、促進ルールに入ったかのどちらか | ITTF 2.13.3/2.15.1 |
判定の細かい見分け方は卓球のエッジ・ネットイン・レット、審判の進め方は卓球の審判のやり方にまとめています。
子どもが審判をしていることがあります
中学・高校の大会では、試合を終えた選手が次の試合の審判をするのが普通です。自分の子どもが台の横に座って数えていたら、それは仕事をしている最中です。声をかけずに、そっと見ていてください。
会場の表の読み方を知りたい方へ。枠の数が8・16・32になる理由、バイ(不戦勝)がシード順に置かれること(ITTF 3.6.1.2)、1位は上半分の一番上・2位は下半分の一番下というシードの位置は卓球のトーナメント表の見方|シードとバイ(不戦勝)にまとめています。
会場での過ごし方
大会の1日は、思ったより長くなります。試合そのものより、待ち時間のほうが長いのが普通です。
- 受付・練習——選手は決められた時間に集合します
- 開会式——ある大会と無い大会があります
- 予選——リーグ戦(総当たり)で行われることが多い形です
- 決勝トーナメント——予選を通った選手で行います
- 表彰・閉会——終了時刻は進行しだいで前後します
予選がリーグ戦かトーナメントか、何人で1組かは大会ごとに違います。要項に書かれているので、当日の朝に一度目を通しておくと予定が立てやすくなります。
どこで見るか
体育館では台のまわりが「競技領域」として区切られています。1台あたり長さ14m・幅7m・高さ5m以上を確保することになっているので(ITTF 3.2.3.1)、思ったより広く場所を取ります。台のすぐ横は通路や選手の動線になるので、観覧席か、指定された場所から見てください。台やネットの寸法は卓球台の大きさと高さにまとめました。
持っていくもの
体育館は夏は暑く、冬は底冷えします。保護者側も、飲み物と、座って待てる用意があると楽になります。選手が持っていくものの一覧は卓球の試合の持ち物にまとめました。試合球は主催者が用意するのが普通なので、球の持参は基本的に要りません。
試合の前後に、何と言えばいいか
ここは規則の話ではありませんが、いちばん聞かれるところです。技術の指摘は、その場ではしない——これが基本になります。
| 場面 | 言いやすい言葉 | 避けたい言葉 |
|---|---|---|
| 試合前 | 「いってらっしゃい」「見てるよ」 | 「絶対勝ってね」 |
| ゲームを落としたあと | (声をかけない。目が合ったらうなずく) | 「なんであそこで打つの」 |
| 勝ったあと | 「よかったね」「どこがうまくいった?」 | (次の試合の作戦を伝える) |
| 負けたあと | 「おつかれさま」 | 「あそこでミスしたから」 |
負けた直後は、本人がいちばん分かっています。その場で原因を言われると、次の試合に響きます。話すなら、帰ってから、本人が話し始めたときで十分です。
練習の組み立てや上達の順番は卓球初心者は何から始める?、子どもに教えるときの言い方は卓球の教え方にまとめています。
まとめ
見る側が知っておくことは4つです。1ゲームは11点先取、何ゲーム制かは要項しだい、サーブは2点ごとに交代、ゲーム間は最大1分。これだけで、試合の流れが読めるようになります。
そしていちばん大事なのがアドバイスのルールです。個人戦で作戦を伝えられるのは、審判に届け出た1人だけ(ITTF 3.5.1.2)。客席からできるのは、内容を含まない短い声援までだと考えてください。
もうひとつ。相手のミスで入った点で大きく喜ばない——これは規則ではありませんが、会場での印象がいちばん変わるところです。
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