本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。
卓球の試合で審判が掲げるカードは3色あります。イエロー(警告)・レッド(退去や失格)・ホワイト(タイムアウト)。このうち白は罰ではなく、タイムアウトが認められた合図です(ITTF 3.4.4.2.4)。そして、よく聞かれる「大きな声を出すのは反則か」への答えは声を出すこと自体を禁じた条文はありません。禁じられているのは、条文が名指しした4つの行為です。
この記事では、カード3色の意味、何をすると出るのか(ITTF 3.5.2.1が挙げる具体例)、罰が重くなる順番(警告 → 相手に1点 → 2点 → 報告)、ベンチからのアドバイスの決まり、ダブルスでの扱い、失格になった場合までをまとめます。出典はITTF Statutes 2025「Regulations for International Competitions」で、条文番号を添えます。
試合の流れとマナーは卓球の試合の流れとマナー、保護者の応援は卓球の試合の見方にあります。この記事はカードと罰点の決まりだけを扱います。
まず即答|カードは3色。白は罰ではない
| 色 | 意味 | 条文 |
|---|---|---|
| イエロー | 警告。次に同じことをすれば罰点になる、という知らせ | ITTF 3.5.2.2 |
| イエロー+レッドを同時に | 罰点。相手に1点(さらに繰り返すと2点)が入る | ITTF 3.5.2.3 |
| レッド単独 | 退去・失格。アドバイスをする人を競技領域から出す、または選手を失格にする | ITTF 3.5.1.2/3.5.2.8 |
| ホワイト | 罰ではない。タイムアウトが認められた合図 | ITTF 3.4.4.2.4 |
サッカーのカードと違い、卓球には「イエロー+レッドを同時に掲げる」という出し方があります。これは退場ではなく相手に点が入るという意味です。
今すぐ確かめる手順:試合を見に行ったら、審判の手元にカードがあるかを見てください。白いカードは、タイムアウトを取った側のコートに置かれます(ITTF 3.4.4.2.4)。置かれている間は、その側が1分の休みを取っているところです。
何をすると出るのか
ITTF 3.5.2.1は、選手・コーチ・その他の助言者について「相手に不当な影響を与える、観客の気分を害する、または競技の評判を落とすような行為を慎まなければならない」と定め、具体例を4つ挙げています。
- ののしる言葉(abusive language)
- 故意にボールを壊す、または競技領域の外へ打ち出す
- 台や囲い(サラウンド)を蹴る
- 審判員に対する不敬
この4つは、どれも「怒りの出し方」にあたる行為です。負けたときにボールを場外へ打つ、台を蹴る、審判に食ってかかる——この形が禁じられています。
では、掛け声はどうなのか
声を出すこと自体を禁じた条文はありません。得点したときに声を出すのは、条文の4つのどれにも当たりません。
問題になるとすれば、次の2つの場合です。
| 場面 | 条文上の扱い |
|---|---|
| ののしる言葉を使った | 3.5.2.1に当たる。内容の問題であって、声の大きさの問題ではない |
| ラリー中に相手を妨げた | ITTF 2.5.8/2.10.1.6の「妨げ(オブストラクト)」はボールに触れる行為のこと。声については、3.5.2.1の「相手に不当な影響を与える」に当たるかを審判が判断する |
つまり「うるさいから反則」ではなく、「何を言ったか」「どの場面か」で判断されます。中学・高校の大会で問題になるのは、ほぼ1つ目(言葉の内容)です。
罰が重くなる順番
同じ試合の中で、違反が重なると罰が段階的に重くなります。ITTF 3.5.2.2〜3.5.2.4の定めです。
| 回数 | 審判がすること | 結果 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 1回目(軽い違反) | イエローカードを掲げて警告 | 点は動かない | 3.5.2.2 |
| 2回目 | イエローとレッドを同時に掲げる | 相手に1点 | 3.5.2.3 |
| 3回目 | 同じくイエローとレッドを同時に | 相手に2点 | 3.5.2.3 |
| それ以上 | 試合を止めて審判長に報告 | 審判長が判断する | 3.5.2.4 |
注意してほしいのは、重大な違反は1回目から審判長に報告されることです(3.5.2.2)。「1回目は必ず警告で済む」わけではありません。
ラケットを替えたときの決まり
もう1つ、知られていない条文があります。ITTF 3.5.2.5は、壊れていないのに試合中にラケットを替えた場合、審判は試合を止めて審判長に報告する、と定めています。ラケットの交換そのものが自由ではない、ということです。
なお、試合前と、試合中にラケットを替えるときは、相手と審判にラケットを見せて調べさせます(ITTF 2.4.8)。この点は卓球のブースターとはでラケット検査とあわせて書きました。
ベンチからのアドバイス|個人戦は1人だけ
カードが出るもう1つの場面がアドバイスです。ITTF 3.5.1は、誰がいつアドバイスできるかを細かく定めています。
| 場面 | 誰からアドバイスを受けられるか | 条文 |
|---|---|---|
| 団体戦 | 競技領域にいることを認められた人なら誰でも | ITTF 3.5.1.1 |
| 個人戦 | あらかじめ審判に届け出た1人だけ(ダブルスで所属が異なる場合は各自が1人ずつ届け出られる) | ITTF 3.5.1.2 |
- ラリー中を除いていつでも——ただし、それで試合の進行を遅らせないこと
- ラリー中はだめ——ここが唯一はっきり切られている線
違反したときの扱いは、認められた人かどうかで変わります。
| 誰が | 1回目 | 2回目 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 認められていない人 | いきなりレッドカードで競技領域から退去 | —— | 3.5.1.2 |
| 認められた人 | イエローカードで警告 | レッドカードで退去 | 3.5.1.3/3.5.1.4 |
保護者が観客席から声をかける場面については、卓球の試合の見方に実際の場面に即してまとめています。団体戦のベンチの使い方は卓球の団体戦の人数は何人?にあります。
なおITTF 3.5.1.7は、これらの決まりはプレーに関するアドバイスにだけ適用されるとし、正当な異議申し立てや、判定の説明についての相談を妨げるものではないとしています。
ダブルスでの扱い
ITTF 3.5.2.6は、ダブルスの警告と罰点についてこう定めています。
- どちらかが受けた警告・罰点は、ペアに適用される
- ただし、違反していないほうの選手には、同じ団体戦の後の個人マッチには引き継がれない
- ダブルスの開始時点では、2人のうち高いほうの警告・罰点を受けているものとして扱う
3つ目が実際に効いてきます。団体戦で、片方の選手が先の試合で警告を受けていたら、ダブルスはその警告を持った状態で始まります。つまり次の違反で、いきなり相手に1点が入ります。
ダブルスの決まりは卓球のダブルスのルールにまとめています。
失格になった場合
審判長は、著しく不公正または不快な行為に対して、試合・種目・大会から選手を失格にする権限を持ちます(ITTF 3.5.2.8)。そのときレッドカードを掲げます。
| 起きること | 結果 | 条文 |
|---|---|---|
| 1つの種目で2試合失格になった | その種目・大会から自動的に失格 | 3.5.2.9 |
| 大会中に2回、競技領域から退去させられた | 審判長が大会の残りから失格にできる | 3.5.2.10 |
| 種目・大会から失格になった | タイトル・メダル・賞金・ランキングポイントを自動的に失う | 3.5.2.11 |
| 非常に重大な不適切行為 | その選手の所属協会に報告される | 3.5.2.12 |
もう1つ、知っておきたい条文があります。ITTF 3.5.3.1.1は「選手は勝つために最善を尽くさなければならず、病気や怪我以外の理由で棄権してはならない」と定めています。手を抜くこと、意図的に負けることが明文で禁じられている、ということです。
白いカードはタイムアウトの合図
罰ではないカードもあります。ITTF 3.4.4.2.4は、タイムアウトの有効な要求を受けたとき、審判は試合を止めて要求した側の手で白いカードを掲げると定めています。そしてその白いカード(または適切な標識)を、その選手のコートに置きます。
ITTF 3.4.4.2.5は、白いカードはその選手の準備ができるか、1分が過ぎるか、早いほうで取り除き、試合を再開すると定めています。
- 1マッチに1回・最大1分(ITTF 3.4.4.2)
- ラリーの合間にだけ要求できる。手で「T」の形を作る(3.4.4.2.3)
- 個人戦は選手または届け出たアドバイザー、団体戦は選手またはチームキャプテンが要求できる(3.4.4.2.1)
タイムアウトの使いどころは卓球の試合で緊張する、団体戦での扱いは卓球の団体戦の人数は何人?にまとめました。
中学・高校の大会では
地域の大会では、カードが出る場面はほとんどありません。それでも知っておくと役に立つのは、次の2つです。
- 禁じられているのは「怒りの出し方」——ののしる言葉、ボールを場外へ打つ、台を蹴る、審判への不敬(ITTF 3.5.2.1)
- ラリー中のアドバイスはだめ——ベンチからでも保護者席からでも、ラリーが続いている間は声をかけない(ITTF 3.5.1.3)
この2つを部の約束にしておけば、大会で指摘される場面はまず起きません。「負けたときに何もしない」——条文をひと言でまとめると、そうなります。
審判を任されたときの手順は卓球の審判のやり方、試合の流れは卓球の試合の流れとマナーにまとめています。
今すぐ確かめる手順:次の練習試合で、ラリーが終わってから声をかけることを1日だけ徹底してみてください。ラリー中に声をかけない、という線がどれくらい難しいかが分かります。ここが実際にいちばん守られていない条文です。
よくある質問
まとめ
卓球のカードは3色です。イエロー=警告、イエロー+レッドを同時=相手に1点(さらに繰り返すと2点)、レッド単独=退去または失格。そしてホワイトは罰ではなく、タイムアウトの合図です。
何をすると出るのかは、ITTF 3.5.2.1が4つを名指ししています。ののしる言葉・故意にボールを壊すか場外へ打つ・台や囲いを蹴る・審判員への不敬。どれも「怒りの出し方」にあたる行為です。
声を出すこと自体を禁じた条文はありません。問われるのは声の大きさではなく、言葉の内容と場面です。
アドバイスは、団体戦は認められた人なら誰でも、個人戦は届け出た1人だけ。そしてラリー中はだめ——ここが唯一はっきり切られている線です。
用具えらびのチェックリスト(PDF)をお送りします
はじめて道具をそろえるときに「何を・どの順番で決めるか」を1枚にまとめたものです。印刷して、そのままお店で使えます。あわせて、ラバーを貼った状態で届く貼り上がり完成ラケット(来春の予約企画)の先行案内もお届けします。
