本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。記事内で紹介している商品には、当店で販売しているものが含まれます。
売場で「木材5枚合板」「7枚合板」「カーボン」「インナー」「アウター」という表記を見て、手が止まった人へ。1本目は「木材5枚合板」でよい、が結論です。規則では板の厚さの85%以上が天然木と決まっていて(ITTF 2.4.2)、カーボン入りでも中身のほとんどは木です。それでも値段の帯ははっきり分かれ、当店で買えるシェークハンドの板184本を数えると、木材だけの板86本の中央値は¥9,240、特殊素材入り98本の中央値は¥19,800でした。
この記事では、板の中身(何枚重ねているか)、5枚と7枚の違い、特殊素材で何が変わるか、インナーとアウターの違い、そして商品ページのどこを見れば分かるかまでを、当店の実数とメーカーの説明文で確かめながら書きます。数字はすべて当店で買えるシェークハンドの板184本(ラバー2枚付きのセット・ラージボール用・柄が曲がった特殊な形のテナリー6本を除く)を数えたもので、価格は税込です。
ラケット選びの全体の順番(シェークかペンか・重さ・グリップ・ラバー)は卓球ラケットの選び方にあります。この記事は「板の中身」だけを掘り下げます。重さそのものと値段の相場は、それぞれ別の記事の主題なのでここでは扱いません。
まず即答|1本目は「木材5枚合板」。特殊素材は2本目から
- 1本目は木材5枚合板——当店で56本あり、いちばん安いものは¥3,850。40本が¥10,000未満で買えます
- 7枚合板は「もっと弾む木の板」——21本。¥10,000未満は5本だけ。強く打ちたくなってから
- 特殊素材(カーボンなど)は2本目から——98本のうち¥10,000未満は11本。1本目に選ぶ理由は、値段の面でも打ち方の面でも薄い
- インナーとアウターは「特殊素材の位置」——同じ素材でも、内側なら「つかむ感覚」、外側なら「反発」とメーカーが説明を分けている
「合板」は薄い木の板を何枚か重ねて接着したものです。卓球のラケットの板(ブレード)は、ほとんどがこの合板でできています。重ねる枚数が5枚か7枚か、そして木と木のあいだにカーボンなどの薄い繊維の層を挟むかどうか——商品名や商品説明に出てくる言葉は、ほぼこの2つの組み合わせです。
今すぐ確かめる手順:いま家にラケットがあれば、板の側面(ふち)を光にかざして見てください。色の違う層が縞のように重なって見えます。その縞を数えると、5本か7本のどちらかになっていることが多いはずです。ラバーが貼ってあって見えないときは、サイドテープをめくらずに、この記事の「商品ページのどこを見るか」の章でスペック表から確かめてください。
板(ブレード)の中身|木を何枚重ねているか
ラケットの木の部分をブレードと呼びます。ボールを打つ面のことで、ラバーはこの上に貼ります。ブレードは1枚の木を切り出したものではなく、厚さ1mm前後の薄い板を奇数枚重ねて接着したものが主流です。真ん中の1枚を「中芯(なかしん)」、いちばん外側を「表板(おもていた)」と呼びます。
| 構成 | 中身 | 当店で買える本数(184本中) | いちばん安いもの |
|---|---|---|---|
| 木材5枚合板 | 木の板を5枚重ねる | 56本 | ¥3,850 |
| 木材7枚合板 | 木の板を7枚重ねる | 21本 | ¥5,720 |
| 特殊素材入り | 木の板のあいだにカーボンなどの層を挟む(多くは木5枚+特殊素材2枚) | 98本 | ¥6,820 |
| 単板(たんばん) | 1枚の木を厚く切り出す。当店ではペンホルダー用だけ | (シェークでは0本) | —— |
木材だけの板は86本ありますが、上の表の5枚と7枚を足しても77本です。残りは枚数が商品説明に書かれていないものや、3枚合板です。枚数が書かれていない場合は、次の章の規則を知っていれば、大きく外すことはありません。表の数字は当店の商品説明を機械で数えた実数(2026年9月時点)で、価格は毎日自動で照合しています。
なお「弾む」という言葉がこの先に何度も出てきます。意味は同じ強さで振ったときに、打ったボールが速く・遠くまで飛ぶことです。弾むほど、台の中に収めるには振りを小さくする必要が出てきます。
規則で決まっていること|85%以上は木(ITTF 2.4.2)
板の中身には、規則の側から2つの決まりがあります。
- 2.4.1——ラケットの大きさ・形・重さは自由。ただしブレードは平らで硬いこと
- 2.4.2——ブレードは厚さの85%以上が天然木。中の接着層はカーボン繊維・ガラス繊維・圧縮紙などの繊維で補強してよいが、各層は全体の厚さの7.5%か0.35mmの薄いほうを超えてはいけない
つまり「カーボンラケット」と呼ばれていても、木の割合は85%以上です。当店の板で板厚が公表されているものは中央値が5.8mmなので、その7.5%は約0.44mm。規則は「0.35mmとの薄いほう」なので、特殊素材の層は1枚あたり0.35mmまでということになります。木の板5枚のあいだに、紙のように薄いカーボンの層を2枚——それが「特殊素材入り」の正体です。
ここから言えるのは、特殊素材入りを「規則ぎりぎりの道具」だと心配する必要はないということと、逆に特殊素材がラケットの性格を一変させるほど厚く入っているわけでもないということです。メーカーが公表している板の構成は、この規則の範囲で作られています。
今すぐ確かめる手順:気になる商品の商品説明で「木材5枚+◯◯2枚」のような構成の記載を探してください。「+」のあとに書かれているのが特殊素材です。書かれていなければ、規則上どのみち85%以上は木なので、「木材だけ」として読んで差し支えありません。
5枚合板と7枚合板の違い|枚数が増えると厚く・硬く・弾む
木材だけの板で枚数が違うと、何が変わるのか。当店の商品説明で公表されている数字を並べると、差が2つ見えます。
| 項目 | 木材5枚合板 | 木材7枚合板 | 出どころ |
|---|---|---|---|
| 本数(買えるもの) | 56本 | 21本 | 当店の実数 |
| 板厚の中央値 | 5.8mm(42本) | 6.3mm(15本) | 商品説明のブレード厚 |
| メーカーのスピード表記 | ミッドスロー15・ミッド10・スロー5 | ミッドファースト7・ミッド3・ミッドスロー2 | ニッタクなど、表記のある商品だけ |
| いちばん安いもの | ¥3,850 | ¥5,720 | 当店の税込価格 |
板厚は5枚より7枚のほうが約0.5mm厚く、スピード表記は5枚が「ミッドスロー」中心、7枚が「ミッドファースト」中心に寄っています。枚数が増えるほど、厚く・硬く・弾む方向に動く、と読んでください。「スピード表記」はメーカーが自社製品のなかで速さの目安として付けている言葉で、他社の表記とそのまま比べることはできません。
5枚合板の例=エクスターV ¥3,850(バタフライ・板厚5.6mm)/スタリア FL ¥4,950(ニッタク)/コルベル ¥6,050(バタフライ・板厚5.9mm)。7枚合板の例=アーレスト7+ ¥5,720(ヤサカ)/ファクティブ7 FL ¥6,820(ニッタク)/スワット FL ¥7,150(ヴィクタス)。
1本目に5枚をすすめるのは、弾みが穏やかなほうが「当てて返す」練習がしやすいからです。7枚は弾むぶん、打った球が台から出やすくなります。出ないように振りを小さくすると、振る動作そのものが身につきません。ラリーが続かない原因の切り分けは卓球でラリーが続かないにあります。
今すぐ確かめる手順:商品説明に「板厚」「ブレード厚」の数字があれば見てください。5.5〜6.0mmなら5枚合板と同じ帯です。6.3mmを超えていたら、7枚か特殊素材入りの厚い板だと考えて、弾みの表記も合わせて見ます。
特殊素材(カーボンなど)で何が変わるか
「特殊素材」は、木と木のあいだに挟む繊維の層の総称です。当店の商品名や商品説明に出てくる名前を並べると、次のようになります。
| 商品名・説明に出る言葉 | 何か | 例 |
|---|---|---|
| カーボン | 炭素の繊維。いちばん多い | イーズカーボン、フライアットカーボン、SKカーボン |
| ALC(アリレートカーボン) | アリレートという繊維とカーボンを組み合わせたもの(バタフライの呼び方) | ビスカリア、張本智和インナーフォースALC |
| ZLC・ZLF | ZLファイバーという繊維(バタフライの呼び方)。Cはカーボンと組み合わせ、Fは繊維だけ | ティモボルZLC、インナーシールドレイヤーZLF |
| KVC・PKC・CNF など | 各社が名前を付けた繊維。ケブラー(アラミド繊維)やセルロースナノファイバーを含む | 蒼天(KVC3)、HINA H2(PKC)、レボルディアCNF |
| ファイバー | 繊維の総称。カーボン以外の繊維(ガラス繊維など)も含む | エクスファイバー、ZX-GEAR FIBER |
名前は多いですが、規則のうえではどれも「2.4.2の繊維で補強した接着層」です。メーカーが説明文で共通して書いているのは、「弾み(反発)が増す」「手に響く振動が変わる」「スイートスポット(うまく当たる範囲)が広がる」の3つです。当店の商品説明でスピード表記のある特殊素材入り30本を数えると、ミッドファーストが21本、ミッドが5本、ファーストが2本、スローが2本でした。木材5枚合板の中心が「ミッドスロー」だったのと比べると、1〜2段階速い側に寄っています。
特殊素材入りにも安いものはあります。アーレストカーボン+ ¥6,820(ヤサカ)は、商品説明で「コストパフォーマンスに優れたインナーカーボン」と書かれています。イーズカーボン FL ¥8,580(ニッタク)は「カーボンラケットとして初心者が扱いやすいエントリーモデル」という説明です。特殊素材入りが98本のうち¥10,000未満は11本なので、この帯は例外的な入口だと考えてください。
1本目に特殊素材入りをすすめない理由は、値段よりも順番の問題です。力の加減がまだ定まっていない段階で弾む板を持つと、ミスの幅が広がります。中学生の場合の考え方は中学生の卓球ラケットの選び方の「カーボン入りは中学生に要るのか」にまとめています。
今すぐ確かめる手順:特殊素材入りを検討している人は、商品説明のスピード表記と板厚を、いま使っている板と並べて書き出してください。「ミッドスロー→ミッドファースト」のように2段階以上跳ぶなら、いったん1段階だけ上の板(7枚合板や、インナータイプの特殊素材)を挟むほうが、感覚のずれが小さくて済みます。
インナーとアウター|同じカーボンでも「位置」で変わる
特殊素材入りの商品説明には「インナー」「アウター」という言葉が出てきます。これは特殊素材の層をどこに挟むかの違いです。
| 言葉 | 特殊素材の位置 | メーカーが説明文に書いていること | 当店で買える本数・最安 |
|---|---|---|---|
| インナー | 中芯のすぐ隣(内側) | 「ボールをつかむ感覚」「球持ちのよさ」 | 34本・¥6,820から |
| アウター | 表板のすぐ下(外側) | 「より高い反発」「高いスピード性能」 | 26本・¥8,580から |
同じメーカーが同じ素材で作り分けている例が分かりやすいです。ニッタクの「蒼天(そうてん)」は特殊素材KVC3をインナーに配置し「球持ちのよさ」を、「暁炎(ぎょうえん)」は同じKVC3をアウターに配置し「より高い反発」を、それぞれ商品説明でうたっています。バタフライの張本智和インナーフォースALC ¥19,800も、「木材5枚合板の内側にアリレートカーボンを2枚挟み込んだ」「弾みを確保しつつ、打球時に『ボールをつかむ感覚』を残す」という説明です。
つまり木材の板に近い感覚から特殊素材に移りたいならインナー、弾みを優先するならアウター、というのがメーカーの分け方です。ニッタクのトリバスカーボン FL ¥9,350は「木材5枚にアウタータイプの極薄カーボン2枚を組み合わせ、木材の打球感を活かしながら適度な弾みを実現」と書かれていて、アウターでも薄い層で弾みを抑えた作りがあることが分かります。
今すぐ確かめる手順:商品名に「インナー」と入っていなくても、商品説明の本文に「インナーに配置」「アウターに搭載」と書かれていることが多いです。検討中の商品ページで、その2語を探してください。どちらも無ければ、位置は公表されていないと考えます。
値段はどこで分かれるか|当店184本を数えた
板の中身と値段の関係を、当店で買えるシェークハンドの板184本で数えました。値段の帯ごとに、特殊素材入りが何本あるかです。
| 税込価格の帯 | 本数 | うち特殊素材入り | 読み方 |
|---|---|---|---|
| ¥5,000未満 | 5本 | 0本 | 木材だけ |
| ¥5,000〜8,000 | 28本 | 1本 | ほぼ木材だけ。1本目の帯 |
| ¥8,000〜10,000 | 24本 | 10本 | 特殊素材の入口 |
| ¥10,000〜15,000 | 38本 | 18本 | 半々 |
| ¥15,000〜20,000 | 31本 | 22本 | 特殊素材が多数 |
| ¥20,000〜30,000 | 36本 | 28本 | 特殊素材が多数 |
| ¥30,000以上 | 22本 | 19本 | ほぼ特殊素材 |
¥8,000未満の33本のうち、特殊素材入りは1本だけです。逆に¥15,000以上の89本では69本が特殊素材入りでした。値段の差の大きな部分は、木の枚数ではなく特殊素材が入っているかどうかで決まっている、と読めます。木材だけの板にも¥30,000を超えるものはありますが(剛力シリーズなど)、本数としては少数です。
ペンホルダーも含めた値段の全体像や、値段で「変わるもの・変わらないもの」は、この記事の主題から外れるので、卓球ラケットの選び方の「予算別:実際に買えるモデル」を見てください。打ち始めるまでには板のほかにラバー2枚と貼るための用品が要ります。合計で考えるなら、ラバー2枚が付いたジュニアセット ¥9,200や初心者おすすめセット ¥10,900のほうが、単品でそろえるより安くなります。中身と差額は卓球の初心者セットは買っていい?で確かめてください。
今すぐ確かめる手順:検討中の板の税込価格を上の表に当てはめてください。¥8,000未満なら木材だけと考えて読み進めて差し支えありません。¥10,000を超えていたら、商品名と商品説明で特殊素材の有無を確かめます。
商品ページのどこを見るか|構成・板厚・スピード表記
ここまでの話は、商品ページの3か所を見れば自分で確かめられます。
| 見る場所 | 書き方の例 | 読み方 |
|---|---|---|
| 構成(合板構成) | 「木材5枚合板」「木材5枚+カーボン2枚(インナー)」 | 「+」の後ろが特殊素材。無ければ木材だけ |
| 板厚(ブレード厚) | 「5.7mm」 | 5.5〜6.0mmが5枚合板の帯。6.3mm以上は厚い板 |
| スピード表記 | 「ミッドスロー」「OFF-」「ALL」 | メーカー内での速さの目安。他社とは比べない |
スピード表記はメーカーごとに言葉が違います。ニッタクは「スロー/ミッドスロー/ミッド/ミッドファースト/ファースト」、ヴィクタスやスティガは「DEF/ALL/OFF」に「+」「−」を付けた書き方です。同じ「ミッド」でも、会社が違えば同じ速さとは限りません。比べるのは同じメーカーの中だけにしてください。
商品説明に合板の枚数(構成)が書かれていない商品は、当店でも39本あります。その場合は商品名(「カーボン」「ALC」などが入っていないか)と、規則の「85%以上は木」を手がかりにしてください。メーカーの一覧と、入門帯があるメーカー・ないメーカーは卓球用品のメーカーにまとめています。
今すぐ確かめる手順:検討中の商品ページを開いて、構成・板厚・スピード表記の3つを紙に書き写してください。3つとも書けたら、この記事の表と照らして「5枚の帯か・7枚の帯か・特殊素材か」を自分で判定できます。1つも書けなければ、その商品は判断材料が足りないので、1本目には選ばないほうが無難です。
1本目の決め方|3つの場面で
板の中身だけで決めるなら、場面は3つに分かれます。
- これから始める・部活1年目——木材5枚合板。¥3,850〜¥8,000の帯に27本あります。ラバー2枚付きのセットで買うと手順が短い
- 1本目を1年以上使って、強く打ちたくなった——木材7枚合板か、インナータイプの特殊素材入り。感覚のずれが1段階で済む
- 部で指定がある・先輩と同じにする——指定に従う。ただし特殊素材入りを指定されたら、板厚とスピード表記を自分の1本目と比べて「2段階跳んでいないか」だけ確かめる
小学生や、力に自信のない大人の場合は、枚数より先に重さと大きさが効きます。小学生の卓球ラケットの選び方と大人から卓球を始めるにはを先に読んでください。ペンホルダーを選ぶ人は、板の考え方は同じですが本数がぐっと減ります。卓球のペンホルダーにまとめています。
質問に答えるだけで板とラバーの候補を絞りたい人は、卓球ラケット診断が使えます。板の中身(木材だけか特殊素材入りか)も判定に入っています。
今すぐ確かめる手順:自分がどの場面かを上の3つから1つ選んでください。1つ目なら木材5枚合板で候補を3本まで書き出し、2つ目ならいまの板の板厚とスピード表記を書き出してから探します。
よくある質問
まとめ
卓球ラケットの板は「木材だけ」か「特殊素材入り」かで値段の帯が分かれます。当店で買えるシェークハンドの板184本では、¥8,000未満の33本のうち特殊素材入りは1本、¥15,000以上の89本のうち69本が特殊素材入りでした。
規則では板の厚さの85%以上が天然木(ITTF 2.4.2)。カーボン入りでも中身のほとんどは木で、特殊素材の層は1枚0.35mmまでです。5枚合板は板厚5.8mm・ミッドスロー中心、7枚合板は6.3mm・ミッドファースト中心。枚数が増えるほど厚く・硬く・弾む方向です。インナーは「つかむ感覚」、アウターは「反発」——同じ素材でも位置で説明が分かれます。
1本目は木材5枚合板。¥3,850から選べて、¥8,000未満に27本あります。特殊素材入りは、1本目を1年以上使って強く打ちたくなってから。そのときも、スピード表記が2段階跳ばないように、インナータイプか7枚合板を挟んでください。
用具えらびのチェックリスト(PDF)をお送りします
はじめて道具をそろえるときに「何を・どの順番で決めるか」を1枚にまとめたものです。印刷して、そのままお店で使えます。あわせて、ラバーを貼った状態で届く貼り上がり完成ラケット(来春の予約企画)の先行案内もお届けします。
