卓球の練習メニュー|限られた時間を何に割り振るか

【本記事について】
本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。記事内で紹介している商品には、当店で販売しているものが含まれます。

練習メニューを考えるとき、「何をやるか」より先に決まるのは「何分やるか」です。部活の時間は限られていて、やりたいことは全部入りません。だから時間の割り振りがそのままメニューになります。

この記事では、2時間の部活を例にした割り振り・6つの基本メニュー・人数が少ないときの回し方・続けるか難しくするかの判断を整理します。メニューを組む人にも、渡されたメニューをこなす人にも読めるように書きました。

メニューは「時間の割り振り」で決まる

メニューを作ろうとすると、つい種目を並べることから始めてしまいます。ところが実際に効いているのは、そのうち何にいちばん長く時間を使ったかです。

たとえば2時間の練習で、ゲームに1時間半使えば、それはゲーム中心の練習です。メニュー表にサーブ練習と書いてあっても、5分しかやっていなければ、それはやっていないのとほとんど変わりません

確かめ方
次の練習で、実際に何にどれだけ時間を使ったかを書き出してみてください。腕時計かスマホで、切り替わるたびに時刻をメモするだけです。思っていた配分と、実際の配分はたいていずれています。ずれが分かれば、直すのは配分だけで済みます。

2時間をどう割るか(例)

中学・高校の部活でよくある2時間を例にします。これは唯一の正解ではありません——部の方針や、次の大会までの日数で変わります。「どこに何分置くか」を考える出発点として見てください。

時間やることねらい
10分体を動かす・ストレッチけがを防ぐ
15分ラリー(フォア・バック)体を慣らす。フォームの確認
25分その日の課題(多球練習など)いちばん伸ばしたいところ
20分フットワーク動きながら打つ
20分サーブとレシーブ試合の最初の2球
25分ゲーム練習実戦で使えるか確かめる
5分片づけ・振り返り次回につなげる

この例で意識しているのは「サーブとレシーブに20分置く」ことです。試合の1点は必ずサーブかレシーブから始まります。にもかかわらず、練習では後回しになりがちで、時間が押すと真っ先に削られるのがここです。

削る順番を先に決めておく
練習は予定どおりに進みません。必ずどこかが押します。だから「押したときに何を削るか」を先に決めておくと、その場の勢いで大事なところが消えるのを防げます。削っていいのはどれか——これを決めるのがメニューを作るということです。

基本の6メニュー

やることの種類は、それほど多くありません。この6つの組み合わせでほとんどが説明できます。

メニュー中身何が身につくか
ラリー決まったコースで打ち合うフォームの安定
多球練習連続で球を出してもらう同じ形の反復。量が積める
フットワーク動きながら打つ実戦に近い形で打つ
サーブ一人で出し続ける回転・長さ・コース
レシーブ相手のサーブを返す判断の速さ
ゲーム練習試合形式覚えたものが使えるか

この中で一人でもできるのはサーブだけです。ほかは相手が要ります。だから台が空くのを待っている時間にサーブを練習すると、同じ2時間でも中身が変わります。

順番にも意味があります
やさしい形から、難しい形へ——これが基本です。ラリー(決まったコース)→ フットワーク(動く)→ ゲーム(何が来るか分からない)。逆順にすると、できないことをできないままやり続けることになります。

多球練習とは

かごに入れたたくさんのボールを、相手が次々に出してくれる練習です。ラリーと違って返球が返ってこないので、同じ形を続けて何本も打てます。

多球練習のしかたを示した図。左の人がかごから球を次々に送り、右の人が打ち返している
ラリー多球練習
球の出どころ相手の返球かごから次々
続く条件両方が返し続ける出し手が出し続ける
ミスしたときそこで止まる止まらず次が来る
1分あたりの打球数少ない多い
向いていること実戦に近い感覚同じ形の反復

多球練習の利点は量が積めることです。ラリーでは自分か相手がミスした時点で止まりますが、多球ならミスしても次の球が来ます。同じ動きを繰り返して体に入れたいときに向いています。

ボールの数がそのまま練習量になります
多球練習にはまとまった数のボールが要ります。10個しかなければ10球ごとに拾うことになり、拾っている時間のほうが長くなります。部にかごとボールがあるか、まず確かめてください。球の選び方は卓球の試合球と練習球の違いにまとめています。

球を出す側の手順だけを詳しく知りたい方へ。立ち位置・テンポ・区切り方・必要な球数・集め方は卓球の多球練習|球出しの手順とデメリットにまとめています。

1つのドリルをどこで切り上げるか

ここが、メニューを作るうえでいちばん実務的なところです。同じ練習を続けすぎると、途中から体が勝手に振るようになります。そうなると、直そうとしていたことを確かめられません。

目安
1ブロックの長さ20本、または5分まで
そのあとにやることコースが決まっていない形を少し混ぜる
難しくする条件10本中9本入るようになったら
やさしくする条件10本中5本を下回ったら
記録すること入った本数(正の字で足りる)

大事なのは「決まったコースで9割入る」ことが目的ではないという点です。試合では、どこに来るか分かりません。だから決まった形で入るようになったら、すぐに「どこに来るか分からない形」を混ぜます

混ぜると成功率は下がります。それが正常です
決まったコースで9割入っていた人が、ランダムにした瞬間に5割まで落ちる——これはよく起こります。落ちたからといって、決まった形に戻す必要はありません。その落ち込みこそが、いま埋めるべき差だからです。先にそう分かっていれば、落ち込んでも慌てずに済みます。

人数が少ないときの回し方

部員が少ない、台が足りない——これは多くの部が抱えている条件です。人数に応じた回し方を決めておくと、待ち時間が練習時間に変わります。

人数回し方待っている人がやること
1人サーブ練習・素振り・壁打ち——
2人ラリーと多球を交代で球拾いをしながら見る
3人2人が打ち、1人が出し手か記録数を数える役
4人2人ずつ、時間で交代サーブ練習かフットワーク
5人以上台を分けて時間で回す台の外でできることを決めておく

待ち時間でいちばんもったいないのは何も決まっていないことです。「待っている人はサーブ練習」と決めておくだけで、2時間のうち30分以上が変わります

数える役は、打つのと同じくらい役に立ちます
3人以上いるなら、1人を「数える役」にするのがおすすめです。入った本数を数えて伝えるだけですが、打っている本人は自分が何本入ったかを正確には覚えていません。数字があると、難しくするか、やさしくするかの判断ができます。

週の組み立て

1日のメニューだけでなく、週で見るとバランスが取りやすくなります。毎日同じことをやるより、日によって重点を変えるほうが積み上がります。

曜日の例重点理由
週のはじめ基本の反復(ラリー・多球)疲れが少ないうちに形を整える
週の半ばフットワーク・課題の練習体が動く時期に負荷をかける
週の終わりゲーム練習1週間でやったことを試す
大会の前サーブとレシーブ試合で最初に来る2球を確かめる
大会の翌週基本に戻る試合で崩れたところを直す

「大会の前にゲーム練習を増やす」という組み方をよく見かけますが、直前に増やして伸びるのはサーブとレシーブのほうです。ゲームは実力がそのまま出るのに対し、サーブは数日でも本数を積めば安定します

入部したばかりの人がいるとき

4月や、途中入部の時期には、ラケットを持ったことがない人が混ざります。このとき、経験者と同じメニューに入れても互いに得をしません。

時期の目安やること入れないほうがよいもの
最初の1〜2週握り方・構え・ボールに当てるゲーム練習(打てないので待つだけになる)
3〜4週目フォアハンドのラリー(近い距離から)フットワーク(打てる前に動かさない)
2か月目バックハンド・サーブを1種類複数のサーブ
3か月目短い時間のゲーム練習——

よくあるのが、初日から先輩とラリーをさせることです。当たらないまま時間が過ぎるので、本人は「向いていない」と思ってしまいます。最初の数回は台の近くから、山なりの球を手で投げてもらって打つだけでも、当たる感覚がつかめます。

確かめ方
始めたばかりの人には、「10球のうち何球当たったか」を数えてあげてください。入ったかどうかではなく、ラケットに当たったかです。3球が5球になれば、それははっきりした前進です。数字があると、本人が自分の変化に気づけます。

教えてくれる人がいないとき

顧問の先生が卓球経験者でない、上級生も少ない——という部は珍しくありません。このときにやりやすいのは、「正しさ」を人ではなく、記録と映像に求めるやり方です。

困ること代わりになるもの
フォームが正しいか分からないスマホで自分を撮って見る
何を練習すべきか分からない入った本数の記録(低いものが課題)
教えてくれる人がいない部員同士で数える役を交代する
正しい形を知らない解説の図や動画と、撮った自分を見比べる
判断がつかない近くの卓球場や教室に一度だけ行く

とくに効くのが自分を撮ることです。打っている本人の感覚と、実際の動きはかなり違います。「振り切っているつもり」が途中で止まっている、「膝を曲げているつもり」が伸びている——撮ってみると一度で分かります

部として1つだけ決めるなら
「本数を数える」を部のルールにすることをおすすめします。道具も費用も要らず、指導者がいなくてもできて、全員が自分の位置を数字で持てるようになります。数字があれば、次に何をやるかは自分たちで決められます。

記録をつける

メニューを作っても、やった結果を残していないと、次にどう変えるかが決められません。難しいことは要りません。本数だけで足ります。

書くこと書き方使い道
やったメニュー種目名だけ偏りが分かる
本数と入った数「20本中14本」難易度を上げるか決める
気づいたこと1行でよい次回の出発点
できなかったこと1つだけ書く次の課題になる
確かめ方
今日の練習で、1つのメニューだけ本数を数えてみてください。全部は要りません。1つで十分です。次に同じメニューをやったとき、その数字と比べられます。「なんとなく上手くなった気がする」より、14本→17本のほうが、次に何をするかを決められます

よくある失敗

失敗何が起きるか直し方
種目を詰め込みすぎる1つあたりが5分で終わり、何も残らない3つに絞って時間を長くする
同じドリルを長くやりすぎる体が勝手に振り、直したいことを確かめられない20本か5分で区切る
ゲームばかりやる楽しいが、できない形は避けて通る苦手な形を練習に入れる
サーブ・レシーブを最後に置く時間が押して毎回削られる先に置くか、削らないと決める
記録しない前回と比べられず、判断ができない本数だけ書く

とくに多いのが「ゲームばかり」です。ゲームは楽しく、やった気になります。ただ、試合では自分ができる形しか出しません。できない形は避けて通るので、ゲームを何時間やっても、できないことはできないままです。

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よくある質問

Q練習メニューは何種目くらい入れればいいですか?
A.1回の練習で3つくらいに絞ると、1つあたりに時間を割けます。種目を詰め込むと1つが5分で終わり、体に入る前に次へ移ってしまいます。
Q多球練習は何本くらいやればいいですか?
A.1ブロック20本、または5分を目安に区切ってください。長く続けると体が勝手に振るようになり、直そうとしていたことを確かめられなくなります。区切ったあとに、コースの決まっていない形を少し混ぜると定着しやすくなります。
Q決まったコースだと入るのに、試合だと入りません
A.それが普通です。決まった形で9割入るようになったら、すぐに「どこに来るか分からない形」を混ぜてください。混ぜると成功率は落ちますが、その落ち込みが、いま埋めるべき差です。
Q部員が少なくて練習になりません
A.待っている時間に何をするかを決めておくだけで変わります。サーブ練習は一人でできます。3人以上いるなら、1人を「入った本数を数える役」にすると、打っている人の判断材料が増えます。
Q大会の前は何を練習すればいいですか?
A.サーブとレシーブです。試合の1点は必ずここから始まります。ゲーム練習は実力がそのまま出ますが、サーブは数日でも本数を積めば安定します。
Q練習ノートには何を書けばいいですか?
A.やったメニューと、入った本数だけで足ります。「20本中14本」と書いてあれば、次に同じことをやったときに比べられます。感想より数字のほうが、次に何をするかを決められます。
Q毎日同じメニューでもいいですか?
A.基本の反復は毎日やって構いませんが、重点は日によって変えたほうが積み上がります。週のはじめは基本、半ばは負荷をかける練習、終わりにゲームで試す——という組み方が作りやすい形です。

まとめ

練習メニューは種目の並びではなく、時間の割り振りで決まります。まず実際に何に何分使ったかを書き出すところから始めてください。思っていた配分とずれていることがほとんどです。

1回の練習は3つくらいに絞る。1つのドリルは20本か5分で区切り、そのあとにコースの決まっていない形を混ぜる。10本中9本入るようになったら難しく、5本を下回ったらやさしく——これが判断の目安です。

そして、サーブとレシーブの時間を削らないこと。試合の1点は必ずここから始まります。時間が押したときに何を削るかを先に決めておけば、大事なところが勢いで消えることはありません。

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