卓球のトーナメント表の見方|シードとバイ(不戦勝)

【本記事について】
本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。

会場に貼り出されたトーナメント表。自分の名前の横に相手がいなくて、いきなり2回戦から——これがバイ(不戦勝の空き枠)です。そしてバイは、くじ運ではなく決まった順番で置かれます。ITTFの競技規定 3.6.1.2 は「バイは第1回戦にできるだけ均等に配り、シード順に、まずシード位置の相手に置く」と定めています。つまりシードの人から順にバイが当たります

この記事では、トーナメント表の枠の数がなぜ2の累乗なのか、バイと予選通過者の置き方、シードがどの位置に入るのか(1位は上半分の一番上、2位は下半分の一番下)、5〜8位・9〜16位がどこに散らばるのか、同じ学校・同じ地域の選手が分けられる仕組みまでをまとめます。出典はITTF Statutes 2025「Regulations for International Competitions」3.6で、条文番号を添えます。

リーグ戦(総当たり)の順位の決め方は卓球のリーグ戦、大会そのものの探し方は卓球の大会にあります。この記事はトーナメント表の読み方だけを扱います。

まず即答|バイはくじ運ではない

トーナメント表を読むときの4つ
  1. 枠の数は2の累乗——本戦1回戦の枠は 8・16・32・64… のどれか(ITTF 3.6.1.1)
  2. 足りない分はバイで埋める——エントリーが枠より少なければ、第1回戦にバイを入れる(3.6.1.1.1)
  3. バイはシードから順に当たる——「均等に配り、シード順に、まずシード位置へ」(3.6.1.2)
  4. 1位は上半分の一番上、2位は下半分の一番下——決勝まで当たらない位置(3.6.2.3)

トーナメント表は「運で決まる」と思われがちですが、大半の位置は規則で決まっています。くじで決まるのは、指定された枠の中のどこに入るかだけです。

今すぐ確かめる手順:手元にトーナメント表があるなら、1回戦で相手がいない枠(バイ)がいくつあるか数えてください。その数を、表全体の枠の数から引くと、実際の出場人数が分かります。例えば32枠でバイが7つなら、出場は25人です。

枠の数はなぜ8・16・32なのか

ITTF 3.6.1.1は、ノックアウト種目の本戦1回戦の枠の数は2の累乗でなければならないと定めています。2の累乗とは 2・4・8・16・32・64・128… のことです。

理由は単純で、そうでないと勝ち上がりがそろわないからです。32人なら16人→8人→4人→2人→優勝と、きれいに半分ずつ減っていきます。30人だと、どこかで人数が合わなくなります。

枠の数1回戦の試合数優勝までの試合数
84試合3試合
168試合4試合
3216試合5試合
6432試合6試合
12864試合7試合

この表から分かるとおり、枠が倍になっても、優勝までの試合数は1つしか増えません。64人の大会で優勝するのに必要なのは6試合です。

1試合にどれくらい時間がかかるかは卓球の試合時間は何分?にまとめています。

人数が合わないとき|バイと予選

エントリーの数がちょうど2の累乗になることは、まずありません。そこで2つの調整方法があります。

状況どうするか条文
エントリーが枠より少ない第1回戦にバイ(空き枠)を入れて、必要な数にするITTF 3.6.1.1.1
エントリーが枠より多い予選を行い、予選通過者と直接エントリーを合わせて必要な数にするITTF 3.6.1.1.2

バイの置き方が、いちばん知られていない決まり

ITTF 3.6.1.2
  • バイは第1回戦全体にできるだけ均等に配分し、シード順に、まずシード位置に置く

つまりバイはシードの選手から順に当たります。バイが1つしかなければ、それは第1シードの位置に入ります。5つあれば、第1〜第5シードの位置に入ります。

「シードは1回戦を戦わなくてよい」というのは、感覚ではなく条文に書かれた仕組みです。そして、これがシードが有利だと言われる実際の理由でもあります。

予選通過者の置き方

ITTF 3.6.1.3は、予選通過者はドローの半分・4分の1・8分の1・16分の1に、できるだけ均等に配分すると定めています。予選を勝ち上がった人が1か所に固まらないようにするためです。

今すぐ確かめる手順:トーナメント表を上下に真っ二つに折るつもりで見て、バイが上半分と下半分に何個ずつあるかを数えてください。ほぼ同じ数のはずです。偏っていたら、その大会は独自の組み方をしています。

シードはどこに入るのか

ITTF 3.6.2.1は、最上位のエントリーは、終盤のラウンドまで当たらないようにシードすると定めています。そのための具体的な位置が 3.6.2.3 に書かれています。

順位入る位置条文
1位ドローの上半分の、いちばん上3.6.2.3
2位ドローの下半分の、いちばん下3.6.2.3
3位・4位上半分のいちばん下と、下半分のいちばん上の2か所で抽選3.6.2.3.1
5〜8位4分の1ずつに分けたブロックの、奇数番は下、偶数番は上の位置で抽選3.6.2.3.2
9〜16位8分の1のブロックで、同じように抽選3.6.2.3.3
17〜32位16分の1のブロックで、同じように抽選3.6.2.3.4

読み方のこつは、「半分 → 4分の1 → 8分の1」と細かく割っていくことです。上位2人はまず決勝でしか当たらない位置に置かれ、3位と4位は準決勝で当たる位置、5〜8位は準々決勝で当たる位置に散ります。

つまり、シード順で当たるラウンドが決まっている
  1. 1位と2位——決勝まで当たらない
  2. 1〜4位——準決勝まで当たらない
  3. 1〜8位——準々決勝まで当たらない
  4. 1〜16位——その前のラウンドまで当たらない

シードする人数の上限

ITTF 3.6.2.2は、シードする人数は本戦1回戦のエントリー数を超えてはならないと定めています。当たり前に見えますが、「シードを何人にするか」は主催者が決めることなので、上限だけが条文で決まっているという形です。

シードの順番は何で決まるか

ITTF 3.6.2.5は、ITTFが公表した最新のランキングリストの順に従うとしています。ただし例外があり、出場者が全員同じ大陸連盟に属する協会からならその連盟のリストが、シードの対象者が全員同じ協会からならその協会のリストが優先されます(3.6.2.5.1/3.6.2.5.2)。

国内の大会では、この「協会のリスト」にあたるものが使われます。前年度の成績や県のランキングが根拠になることが多く、実際に何を使うかは大会の要項に書かれます

同じ学校の選手が1回戦で当たらない理由

ITTF 3.6.3(協会の指名によるシード)は、同じ協会の指名選手・ペアは、できる限り分けると定めています。国際大会では「同じ国の選手」を指しますが、国内の大会では同じ学校・同じクラブに置き換えて運用されるのが一般的です。

だから「部内の対戦が1回戦で起きない」のは偶然ではなく、そうなるように組まれていることが多い、と考えてください。ただしこれは大会の要項しだいなので、要項に書いていなければ保証はありません

分けられることが多い組み合わせ根拠の考え方
同じ学校の選手どうしITTF 3.6.3を国内向けに置き換えた運用
同じクラブの選手どうし同上
ダブルスの同じ所属のペアどうし3.6.3.1が「選手およびペア」を対象にしている

予選リーグ+決勝トーナメントの大会

中学・高校の大会でよくある形です。ITTF 3.7.4.4は、個人戦の本戦はノックアウト(勝ち抜き)で行い、団体戦と個人戦の予選はノックアウトでもグループ(リーグ)でもよいとしています。

つまり予選リーグ → 決勝トーナメントという形は、この条文に沿った組み方です。このとき、予選リーグの順位の決め方が別の条文(3.7.5)で決まっています。三つ巴になったときの計算は卓球のリーグ戦にまとめました。

この形の大会で、選手が見ておくこと
  1. 何人が決勝トーナメントに上がるか——通過人数でリーグの最終戦の組み合わせが変わる(ITTF 3.7.5.5)
  2. リーグの順位が決勝トーナメントのどこに入るか——1位通過と2位通過で山が変わる
  3. 予選リーグのゲームカウント——順位計算に使われるので、負ける試合も1ゲームは取っておく

表を見たときに、まず確かめる3つ

確かめることやり方分かること
枠の数一番左の列の枠を数える(8・16・32…)優勝までに何試合あるか
自分の位置上半分か下半分か、どのブロックか誰と当たる可能性があるか。上半分の1位シードとは決勝まで当たらない
バイの数と場所相手のいない枠を数える実際の出場人数と、シードがどこにいるか

この3つを見れば、「自分は何試合勝てばどこまで行けるか」が分かります。試合の前にこれを知っておくと、当日の体力配分と持ち物の見当がつきます。

当日の流れは卓球の試合の流れとマナー、持ち物は卓球の試合の持ち物、保護者の観戦は卓球の試合の見方にまとめています。

今すぐ確かめる手順:次の大会の表が貼り出されたら、自分の枠から決勝までの線を、指でたどってください。何回勝てば決勝かが、数えるだけで分かります。その数が、その日の目標になります。

組み合わせ表をスマホで写して進めたい方へ。空欄をバイとして自動で上げる勝ち上がり図、シード配置、知りたい選手だけの絞り込みができる無料ツールの使い方は卓球の試合記録アプリ|団体戦・トーナメント表・星取表をスマホでにまとめています。

よくある質問

Qバイ(不戦勝)は運がいいだけですか
A.運ではありません。ITTF 3.6.1.2は「バイは第1回戦にできるだけ均等に配分し、シード順に、まずシード位置に置く」と定めています。バイが当たるのはシードの選手からです。
Qシードは誰が決めますか
A.シードの順番は、ITTF 3.6.2.5により公表されたランキングリストに従います。出場者が全員同じ協会からなら、その協会のリストが優先されます(3.6.2.5.2)。国内の大会では、前年度の成績や県のランキングが根拠になることが多く、実際の基準は要項に書かれます。
Q第1シードと第2シードはいつ当たりますか
A.決勝です。ITTF 3.6.2.3は「1位はドローの上半分のいちばん上、2位は下半分のいちばん下」と定めています。この2つは決勝でしか交わりません。
Q同じ学校の人と1回戦で当たることはありますか
A.あります。ITTF 3.6.3は同じ協会の指名選手を「できる限り」分けるとしていますが、国内大会でどう運用するかは主催者が決めます。要項に書いていなければ保証はありません。
Qトーナメント表の枠が人数より多いのはなぜですか
A.本戦1回戦の枠の数は2の累乗でなければならないからです(ITTF 3.6.1.1)。8・16・32・64のどれかにそろえる必要があるので、足りない分はバイで埋めます。
Q64人の大会で優勝するには何試合しますか
A.6試合です。64→32→16→8→4→2→優勝と、6回勝てば優勝になります。枠が倍になっても、必要な試合数は1つしか増えません。
Q予選リーグを1位で通るのと2位で通るのは違いますか
A.入る山が変わります。多くの大会では、1位通過と2位通過が別のブロックに入るように組まれます。実際の割り振りは要項に書かれるので、そこを確かめてください。リーグの順位の決め方は卓球のリーグ戦にあります。

まとめ

トーナメント表は、運で決まる部分より規則で決まる部分のほうが多い表です。

枠の数は2の累乗(8・16・32・64)。足りなければバイで埋め、多ければ予選を行います(ITTF 3.6.1.1.1/3.6.1.1.2)。

そしてバイはシードの選手から順に当たります(3.6.1.2=「均等に配り、シード順に、まずシード位置へ」)。シードが有利だと言われる実際の理由がここにあります。

シードの位置も決まっています。1位は上半分のいちばん上、2位は下半分のいちばん下。3位・4位は準決勝で、5〜8位は準々決勝で当たる位置に散ります(3.6.2.3)。くじで決まるのは、指定された枠の中のどこに入るかだけです。

表が貼り出されたら、枠の数・自分の位置・バイの数の3つを見てください。何試合勝てばどこまで行けるかが、その場で分かります。

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