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ダブルスでいちばん多い失敗は、打ち方ではありません。打ったあと、その場に立っていることです。ダブルスは1球ずつ交代で打つので、自分がそこに立っていると相方が打つ場所がありません。
つまりダブルスの動き方とは、「打ったあと、どこへどくか」のことです。この記事では、右利き同士・右と左のペアそれぞれの動き方、ペアの組み方・サーブとレシーブの決め方・2人でできる練習を整理します。サーブの順番や2点ごとの交代といったルールは卓球のダブルスのルールにまとめてあります。
ダブルスは「どく競技」
シングルスでは、打ったあと次の球に備えて構え直します。ところがダブルスでは、次の球は自分ではなく相方が打ちます。だから打ったあとにやることが正反対で、相方のために場所を空けることになります。
| シングルス | ダブルス | |
|---|---|---|
| 打ったあと | 構え直す | どく |
| 次の球を打つ人 | 自分 | 相方 |
| 立つ位置 | 真ん中に戻る | 相方の邪魔にならない場所 |
| 考えること | 次にどこへ動くか | 相方がどこに入りたいか |
慣れないうちは、「打ったら、すぐ横か後ろへ1歩」と覚えておくだけで変わります。どこへ動くのが正しいかは組み合わせで変わりますが、その場に留まるのだけは、どの組み合わせでも間違いです。
次の練習で、相方に「邪魔だったら言って」と先に頼んでおいてください。ラリーを20球やって、何回ぶつかりそうになったかを数えます。自分では気づけないので、言ってもらうのがいちばん早い方法です。
右利き同士のとき——八の字に動く
右利き同士のペアでは、2人が「八の字」を描くように入れ替わります。これがダブルスの動き方の基本形です。
右利きは、打つときに体の右側にスペースが要ります。だから打ったあとは左へ抜けて、相方に右側を渡す。相方が打ったら、今度はその人が左へ抜けて、自分が入る——この繰り返しが八の字に見えます。

| 順 | すること | 気をつけること |
|---|---|---|
| ① | 自分が打つ | 打点に入る前に相方がどいているか見る |
| ② | 打ったら左へ抜ける | その場に立たない |
| ③ | 相方が入って打つ | 相方の後ろで待たない(次に入れない) |
| ④ | 自分が右から入り直す | 早く戻りすぎるとぶつかる |
| ⑤ | ①に戻る | —— |
ボールを使わずに、2人で足だけ動かしてみてください。交互に「打つ真似 → 抜ける」を10往復します。ぶつからずに10往復できるか——できないなら、その動きはボールが入ったらもっとできません。2〜3分で確かめられます。
右利きと左利きのとき——左右に分かれる
片方が左利きだと、動き方が変わります。右利きは左へ、左利きは右へ抜けるので、八の字ではなく左右にすれ違う形になります。
| 右利き同士 | 右利き+左利き | |
|---|---|---|
| 動きの形 | 八の字 | 左右に分かれる |
| ぶつかりやすさ | ぶつかりやすい | ぶつかりにくい |
| カバーする範囲 | 2人とも同じ側を通る | それぞれの側を守れる |
| 慣れるまで | 時間がかかる | 比較的早い |
右利きと左利きの組み合わせがダブルスで組みやすいと言われるのは、この動きやすさがあるためです。ただし——左利きが部内にいなければ選べません。右利き同士でも、八の字が身につけば十分に戦えます。組み合わせより、練習した回数のほうが効きます。
前後の動きも要る
左右だけでなく、前後にも入れ替わります。短い球を取りに前へ出た人は、そのままだと相方が打つ場所をふさいでいます。
| 場面 | 打った人がどうするか | 相方がどうするか |
|---|---|---|
| 短い球を前で取った | すぐ後ろへ下がる | 前に空いた場所へ入る |
| 下がって打った | 前へ戻る | 打点の位置を空ける |
| 台の横に振られた | 真ん中方向へ戻る | 振られた側をカバーする |
| 強く打って決めにいった | 返ってくる前提で下がる | 前を埋める |
最後の「強く打って決めにいったあと」が抜けやすいところです。決まったと思って動きを止めると、返ってきた球に2人とも反応できません。打ったら必ず動く——これはダブルスでは例外がありません。
ペアはどう組むか
ペアの決め方に公式なセオリーはありません。ただ、部で決めるときに見ている材料はだいたい次の4つです。
| 見るところ | 考え方 |
|---|---|
| 練習できる回数 | いちばん効く。いつも組める2人が有利 |
| 利き手 | 右と左は動きやすい。ただし部内にいなければ選べない |
| 戦い方 | 2人とも下がるより、前と後ろで役割が分かれるほうが噛み合いやすい |
| 声を掛け合えるか | ミスのあとに黙る2人は続かない |
この中で圧倒的に大事なのが「練習できる回数」です。ダブルスは2人の動きが合うかどうかで決まる部分が大きく、それは組んだ回数でしか埋まりません。相性の良さそうな2人を当日組ませるより、ふだんから組んでいる2人のほうが計算できます。
団体戦でも個人戦でも、ダブルスに出ることが決まったらその時点でペアを固定して、練習でも同じ2人で組む——これがいちばん確実な準備です。当日その場で組んだペアは、技術ではなく動きの噛み合わなさで落とします。
サーブとレシーブの順番の決め方
ダブルスでは4人が決まった順番で1球ずつ打ちます。誰が先にサーブを出し、誰が先に受けるかは、試合前に決めます。順番のルールそのものはダブルスのルールにありますが、ここでは決めるときの考え方を書きます。
| 決めること | 考える材料 |
|---|---|
| 誰が先にサーブか | 短いサーブを安定して出せるほうを先に置くことが多い |
| 誰が先にレシーブか | 相手のサーブを返すのが得意なほう |
| 入れ替えるか | 2点ごとに打つ人が替わるので、組み合わせは自動的に変わる |
| 迷ったとき | ふだん練習で慣れている順にする |
ここで大事なのは、「決めた順番を2人とも覚えていること」です。順番を間違えると、その時点で相手の得点になります。試合前に声に出して確認する——それだけで防げます。
練習でゲームをやる前に、「自分が先にサーブ、レシーブは○○さんから」と2人で声に出してください。5秒で終わります。本番でだけやろうとすると、緊張して飛びます。練習のときから毎回やっておくと、当日も自然に出ます。
2人でできる練習
ダブルスの練習は4人そろわないとできないと思われがちですが、2人でもできることがあります。
| 練習 | やり方 | ねらい |
|---|---|---|
| 足だけの入れ替わり | ボールなし。交互に打つ真似をして抜ける | ぶつからない動きを覚える |
| 2人で1球ずつ交代 | 相手1人に対して、2人が交互に返す | 実際の順番に慣れる |
| サーブとレシーブだけ | ダブルスのコースでサーブ・レシーブを繰り返す | 右半面→右半面を体に入れる |
| 声の練習 | 打つ前に「はい」など短く声を出す | どちらが取るか迷わない |
とくに「足だけの入れ替わり」は、台が空いていなくてもできます。体育館の隅で2〜3分やるだけで、ぶつかる回数がはっきり減ります。
ダブルスで球が2人の間に来たとき、お互いが譲ると誰も打ちません。これがいちばん多い失点のしかたです。取る人が短く声を出すと決めておけば、それだけで防げます。「はい」でも「オッケー」でも構いません。決めた言葉を2人で共有しておくことのほうが大事です。
よくある失敗
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 打ったあと立っている | 相方が打つ場所がない | 打ったら1歩どく |
| 2人の間の球を譲り合う | 誰も打たずに失点 | 取る人が短く声を出す |
| 相方の後ろで待つ | 次に自分が入れない | 横へ抜ける |
| 早く戻りすぎる | 相方とぶつかる | 相方が打ち終わってから入る |
| 順番を間違える | その時点で失点 | 試合前に声に出して確認 |
この5つのうち、上の2つでほとんどの失点が説明できます。どちらも技術ではなく決めごとで防げるものです。打ち方を直す前に、この2つを2人で決めてください。
ダブルスで何をねらうか
動きが噛み合うようになったら、どこへ返すかを考える段階に入ります。ダブルスには、シングルスには無いねらいどころがあります。
| ねらい | 何が起きるか | 注意 |
|---|---|---|
| 2人の間(ミドル) | どちらが取るか迷わせられる | 相手が声を出せていると効かない |
| 直前に打った人の側 | その人はまだ動いている途中 | 外すと逆に体勢を整えられる |
| 深いところ | 下がらされて前が空く | 次に短い球を混ぜると効く |
| 返しにくいほうの人 | 崩れるほうから点が取れる | 決めつけず、序盤で確かめる |
いちばん覚えやすいのが「2人の間」です。ダブルスの失点で多いのは、お互いが譲って誰も打たないことでした。それは相手側でも同じように起こります。
ねらいどころを考えるのは、自分たちがぶつからずに回せるようになってからで構いません。動きが噛み合っていない段階で作戦を増やすと、考えることが多すぎて、どちらも中途半端になります。順番は「①どく ②声を出す ③ねらう」です。
団体戦のダブルス
団体戦では、5試合のうち1つがダブルスです。そして大会によっては、シングルスに出る人はダブルスに出られません。
たとえば全国中学校卓球大会の要項では「シングルスとダブルスに重複して出場することはできない」と定められています。つまりダブルス専任の2人が必要ということです。詳しくは卓球の団体戦にまとめています。
| 団体戦のダブルスの意味 | |
|---|---|
| 1試合ぶんの重み | 5試合のうち1つ=3勝するうちの1つを担える |
| 実力差が出にくい | 個々の力より、2人の噛み合いで決まる部分がある |
| 練習量が効く | ふだんから組んでいるペアなら計算できる |
| 準備のしかた | 大会が決まった時点でペアを固定する |
ここが、ダブルスを練習する意味です。シングルスで上位と当たると力の差がそのまま出ますが、ダブルスは2人の動きが噛み合っているかで変わります。いま部で誰よりも長く組んでいるペアなら、それだけで戦える試合——そういう1試合が5つのうちに1つあります。
よくある質問
まとめ
ダブルスの動き方は、ひとことで言えば「打ったら、相方のためにどく」ことです。右利き同士なら八の字、右と左のペアなら左右に分かれる形になります。
失点のほとんどは①打ったあと立っている ②2人の間の球を譲り合う——この2つで説明できます。どちらも打ち方ではなく決めごとで防げます。「打ったら1歩どく」「取る人が声を出す」——まずこの2つを2人で決めてください。
そして、ペアはいつも一緒に練習できる相手と組むのがいちばん確実です。当日その場で組んだペアは、技術ではなく動きの噛み合わなさで落とします。台が空いていなくても、足だけの入れ替わりは2〜3分でできます。
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