本記事は「卓球スタートショップ」が運営する情報メディア「卓球はじめの一歩」の記事です。記事内で紹介している商品には、当店で販売しているものが含まれます。
フリマアプリや中古店に、卓球のラケットが新品の半額以下で並んでいます。買っていいのか。板(ブレード)は条件つきで買ってよい。ラバーは勧めない、が結論です。理由は好みではなくルールにあります。ラバーには「現在ITTFに承認されていること」「ロゴとメーカー名がはっきり見えるように貼ること」という条文(ITTF 3.2.1.3)があり、中古のラバーはこの2つを満たせないことがあるからです。
この記事では、板とラバーで傷み方がどう違うか、中古で引っかかるルールの条文、板の中古を見るときにどこを確かめるか、ラバーの中古を勧めない理由、新品がいくらから買えるかという比較、そして「安く始めたい」に対する別の答えまでをまとめます。数字は当店で扱うラケット303本とラバー224点を数えたもので、価格は税込です。
ラケットそのものの選び方は卓球ラケットの選び方、新品の値段の相場は卓球ラケットの値段にあります。この記事は中古を買うかどうかだけを扱います。
まず即答|板は条件つきで可、ラバーは勧めない
- 板(ラバーを貼っていない木の部分)は条件つきで買ってよい——木は年数で急に性能が落ちる物ではない。見るべきは割れ・欠け・反り・湿気
- ラバーの中古は勧めない——ITTFの承認は「現在」有効なものに限られ、ロゴが読めないと試合で使えない。粘着とスポンジは時間で確実に落ちる
- 両面にラバーが貼られた状態の中古は、実質ラバーの中古——見た目がきれいでも、ラバーの寿命は残っていないと考える
- 新品の板は3,850円から、セットは9,200円から——中古の値段と比べるときは、この数字を基準にする
ここでいう「板」とは、ラバーを貼る前の木の部分です。商品ページでは「ラケット」「ブレード」と書かれます。卓球のラケットは、板とラバー2枚を別々に買って組み立てる道具なので、中古を検討するときも、この2つを分けて考えます。組み合わせの考え方は卓球の初心者セットは買っていい?にまとめています。
今すぐ確かめる手順:いま中古品を見ている人は、出品写真を拡大してラバーの柄に近い側にロゴと番号が写っているかを確かめてください。それが読めない出品は、この記事の後半で説明する理由で避けたほうが安全です。
中古で何が減るのか|板とラバーは傷み方が違う
| 部位 | 時間で落ちるか | 何が起きるか |
|---|---|---|
| 板(木) | 落ちにくい | 木そのものは年単位でゆっくり乾く程度。問題は事故による傷——縁の欠け、表面のめくれ、落として入った割れ |
| ラバーの表面(シート) | 落ちる | ゴムは空気に触れているだけで硬くなる。表面の粘りが減り、同じ振り方でも回転がかからなくなる |
| ラバーのスポンジ | 落ちる | 押しつぶされた状態が戻りにくくなる。打ったときの返りが弱くなる |
| ラバーの縁・ロゴ | 落ちる | 擦れてめくれる。ロゴが読めなくなると、後で説明するルール上の問題が出る |
つまり板とラバーでは、中古の意味がまったく違います。板は「壊れていなければ使える」、ラバーは「壊れていなくても減っている」のです。
ラバーの寿命は時間と打った量の両方で決まる
ラバーの替えどきは、打った時間で80〜100時間、または使い始めから半年から1年が一つの目安とされます。中古品の出品では「数回しか使っていません」と書かれていても、貼ってから何か月たったかまでは分かりません。目安の考え方は卓球ラバーの張り替え料金と時期にまとめました。
ルールの落とし穴|「現在」承認されていて、ロゴが見えること
中古のラバーがいちばん引っかかるのが、次の条文です。長いので、2つに分けて読みます。
| 条文 | 原文が求めていること | 中古で何が起きるか |
|---|---|---|
| ITTF 3.2.1.3(前半) | ラケットを覆う一枚ラバーまたはスポンジ付きラバーは、現在ITTFに承認されているものでなければならない。承認・認可された用具の一覧はITTFが管理し、ITTFのウェブサイトで公開している | 承認の一覧は更新される。何年も前のラバーは、いま使える一覧から外れている場合がある |
| ITTF 3.2.1.3(後半) | ITTFのロゴ、ITTFの番号(ある場合)、供給者名とブランド名が、柄にいちばん近い側ではっきり見えるように板へ貼ること | 中古のラバーはこの部分が擦れて読めないことがある。読めなければ、審判に指摘される |
この2つ目が、実際の大会でいちばん多い引っかかりどころです。ロゴが消えているラバーは、性能に問題がなくても使えません。そして中古品は、まさにそのロゴの部分(柄の近く)が手や指と擦れていちばん傷んでいます。
もうひとつ、加工の条文
ITTF 2.4.7は「ラバーは物理的・化学的な処理をせずに使う」と定めています。中古品のなかには、表面をきれいに見せるために何かを塗ったり、めくれた縁を接着し直したりしたものがあります。出品写真からは判別できません。これも中古のラバーを勧めない理由の一つです。
救いは「試合前に見せる」こと
ITTF 2.4.8は、試合の前と、試合中にラケットを替えるときに相手と審判にラケットを見せて調べさせると定めています。つまり、使えるかどうかは試合当日にその場で分かります。中古を手に入れたら、大会の前に一度、顧問やコーチ、経験のある人に見てもらってください。
- 柄に近い側にITTFのロゴとメーカー名がはっきり読めるか(3.2.1.3)
- その型番がいまも承認の一覧に載っているか——ITTFのウェブサイトで公開されている(3.2.1.3)
- 表面に何か塗られた跡や、接着し直した跡がないか(2.4.7)
今すぐ確かめる手順:自分がいま使っているラケットを持って、ラバーの柄に近い側を見てください。そこにロゴとメーカー名があります。これが「読める」状態がどういうものかを、自分の道具で一度見ておくと、中古の写真を見たときに判断できます。
板の中古を見るときの7か所
板は中古でも使えます。ただし、写真では分からない傷み方があるので、手に取れるなら次の7か所を順番に見てください。手に取れない(フリマアプリなど)場合は、この7点について出品者に質問してください。
- 縁(へり)の欠け——指でぐるりとなぞる。引っかかる場所があれば、そこから表面の板がめくれていく
- 表面のめくれ——ラバーを剥がすときに木の1枚が持っていかれることがある。光にかざすと凹凸で分かる
- 反り——平らな机に置いて、片方の端を押す。カタカタ動けば反っている
- 柄のがたつき——柄を握って板をねじる。わずかでも動くなら、接着が外れかけている
- においと重さ——かび臭い、あるいは同じ型番の公表重量より重いものは、湿気を吸っている可能性がある
- のりの残り——前のラバーの接着剤が層になって残っていると、新しいラバーが浮く。剥がす手間が増える
- 型番の刻印が読めるか——読めない板は、何を買ったのか後から確かめられない
このうち反りと柄のがたつきは、直せません。ほかの5つは手入れや貼り替えで何とかなりますが、この2つが出ている板は値段にかかわらず避けてください。
「ラバーを剥がした跡」は減点ではない
板の中古で、前のラバーののりが残っているのはよくあることです。これ自体は問題ではありません。剥がし方と、板の表面を守る品については卓球ラバーの接着剤と貼り付けシートにまとめています。
今すぐ確かめる手順:中古の出品ページを見ているなら、「側面」と「柄の付け根」の写真があるかを確かめてください。この2か所の写真が無い出品は、7か所のうち2つが確認できません。出品者に追加の写真を頼んでください。
ラバーの中古を勧めない3つの理由
① ルールを満たしているか確かめられない
前の章のとおりです。ロゴが読めることといまも承認の一覧に載っていること、この2つは中古では保証されません。
② 使っていなくても減っている
ラバーのゴムは、打たなくても空気に触れているだけで硬くなります。「未使用」と書かれた出品でも、製造からの年数が分からなければ、状態は分かりません。新品でも、貼らずに置いておけば同じことが起きます。
③ 差額が小さい
当店で扱うラバー224点の価格は2,200〜42,240円、中央値は5,610円です。いちばん安い帯なら1枚2,200円で新品が買えます。中古で1,000円前後の節約をするために、ルール上使えるか分からない物を選ぶ理由が見つかりません。
なお、板とラバーの組み合わせで迷っている人は、卓球ラバーの種類と選び方を先に読んでください。中古かどうかより、どの種類を選ぶかのほうが打ちやすさへの影響は大きくなります。
値段を比べる|新品はいくらから買えるか
中古を検討するときに必要なのは、新品の下限がいくらかという数字です。当店で扱うラケット303本の価格の分布は次のとおりです。
| 価格帯 | 当店の本数(303本中) |
|---|---|
| 3,000円未満 | 3本 |
| 3,000〜4,999円 | 5本 |
| 5,000〜7,999円 | 36本 |
| 8,000〜11,999円 | 56本 |
| 12,000〜19,999円 | 103本 |
| 20,000円以上 | 100本 |
中央値は15,400円です。ただしこれは高い機種まで含めた全体の数字で、はじめて買う人がこの金額を出す必要はありません。8,000円未満に44本あり、ここから選べば十分に足ります。
なお、この303本にははじめからラバーが貼られた状態で届くラケット3点が入っています。それが3,000円未満の3本です。卓球ラケットの値段ではこの3点を除いた板300点で数えているため、そちらの最安は3,850円になります。何を数えたかで最安の数字が変わるので、両方を並べておきます。
新品の最低ライン
| 買い方 | 当店でいちばん安い例 | 中身 |
|---|---|---|
| 板だけ買う | エクスターV ¥3,850 | ここにラバー2枚(1枚2,200円から)を足す |
| 板+ラバー2枚をそろえる | 合計 約8,250円から | 上の板に、いちばん安い帯のラバーを2枚 |
| セットで買う | 【ジュニアセット】エクスターV(軽量)+マークV ¥9,200 | 板とラバー2枚が組まれている |
| ラバーが貼られた状態で買う | 張本智和 1800 キッズ ¥1,980 | 届いたその日から打てる |
つまり、新品でも1万円を切って一式そろいます。中古の値段を見るときは、この数字と並べて考えてください。「中古で6,000円」は、新品のセットが9,200円で買えることを知ってから判断する金額です。
「安く始めたい」への別の答え
中古を探す理由のほとんどは、金額です。その目的だけなら、中古以外にも道があります。
| 選び方 | 金額の目安 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ラバーが貼られた状態のラケットを買う | 1,980円から | まだ続けるか決まっていない。家や公民館で打ってみたい |
| 板とラバーのセットを買う | 9,200円から | 部活に入った。1年は続ける見込みがある |
| 部の貸しラケットで数か月やってみる | 0円 | 入部したばかり。自分に合う重さがまだ分からない |
| 板だけ良い物にして、ラバーを安く始める | 約8,000円から | 長く使う前提。板は替えず、ラバーだけ替えていける |
いちばん下の「板だけ良い物にする」は、実は中古を探す人の目的にいちばん近い答えです。板は数年使えて、ラバーは消耗品という構造だからです。この考え方は卓球ラケットの値段で詳しく扱っています。
なお、はじめから両面にラバーが貼られた状態で届くラケットについては卓球の貼り上がりラケットにまとめています。
中古を手に入れたら、使う前にやること
- 反りを見る——平らな机に置いて端を押す。動くなら返品を検討する
- 柄をねじる——がたつきがあれば同じく返品を検討する
- ラバーは貼り替える前提で考える——前の持ち主のラバーをそのまま使わない
- 古いラバーを剥がして、のこりののりを落とす——板と平行にゆっくり引く。垂直に引き上げると木の表面がついてくる
- 側面にサイドテープを巻く——中古の板は縁がすでに傷んでいることが多い。ここから先の欠けを止める
サイドテープの選び方と貼り方は卓球のサイドテープにまとめています。幅は板の厚みで決まり、1本550円から買えます。
今すぐ確かめる手順:中古の板が手元に届いたら、まず平らな机に置いて、4つの角を順番に指で押してください。どこかがカタカタ動けば反りです。この確認は30秒で終わり、あとの判断がすべて変わります。
よくある質問
まとめ
中古は板とラバーを分けて考えてください。板は木なので、割れ・欠け・反り・柄のがたつきが無ければ使えます。反りと柄のがたつきだけは直せないので、この2つが出ている板は値段にかかわらず避けます。
ラバーの中古を勧めないのは、ルールの問題です。ITTF 3.2.1.3は「現在」承認されていることとロゴとメーカー名が柄に近い側ではっきり見えることを求めていて、中古のラバーはこの部分がいちばん擦れています。性能に問題が無くても、読めなければ試合で使えません。
金額で比べるなら、新品の下限を知っておいてください。当店では板が¥3,850から、ラバーが1枚¥2,200から、セットが¥9,200から、ラバーが貼られた状態のものが1,980円からです。中古の値段は、この数字と並べて判断してください。
用具えらびのチェックリスト(PDF)をお送りします
はじめて道具をそろえるときに「何を・どの順番で決めるか」を1枚にまとめたものです。印刷して、そのままお店で使えます。あわせて、ラバーを貼った状態で届く貼り上がり完成ラケット(来春の予約企画)の先行案内もお届けします。
