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卓球の戦型(せんけい)とは、その人の戦い方のことです。よく使われるのはドライブ型・前陣速攻型・カット型・異質型の4つで、「どこに立つか」と「どのラバーを使うか」でだいたい決まります。ただし——始めたばかりの人が今すぐ決める必要はありません。戦型は決めるものというより、練習を続けるうちに決まっていくものだからです。
この記事では、4つの型の違いと、自分がどれになりそうかの見分け方、そして型が決まると用具の何が変わるのかを順に整理します。「あなたは何型?」と聞かれて答えられなかった人に向けて書きました。
戦型とは何か
戦型は、その人が点を取るときの中心になっているやり方を指す呼び名です。「攻めて点を取るのか、返し続けて相手のミスを待つのか」「台の近くに立つのか、下がるのか」——この2つで大きく分かれます。
大事なのは、戦型は資格や登録ではないということです。申し込み用紙に書く欄はありませんし、途中で変わっても誰にも怒られません。部活で「お前は何型だ」と聞かれるのは、練習相手を組むときや、用具の相談をするときに便利だからです。
戦型の呼び名は、地域や指導者によって少しずつ違います。ここでは広く使われている4つの呼び方で整理しました。部活で別の呼び方をしていても、それが間違いということではありません。指しているものが同じかどうかを、この記事の説明で照らし合わせてみてください。
よく使われる4つの型
まず全体像です。細かい話は次の章から順に見ていきます。
| 型 | 立つ位置 | 点の取り方 | よく使うラバー |
|---|---|---|---|
| ドライブ型 | 台からやや離れる | 回転をかけて打ち込む | 両面とも裏ソフト |
| 前陣速攻型 | 台の近く | 早いタイミングで押し込む | 表ソフトを混ぜることが多い |
| カット型 | 台から大きく下がる | 下回転で返し続ける | カット用のラバー |
| 異質型 | 台の近く | 回転の変化で崩す | 粒高などを片面に |
この表を見て「自分はどれだろう」と思ったかもしれません。ただ、始めて数か月の段階では、ほとんどの人がまだどれでもありません。基本の打ち方を身につけている途中だからです。いま自分がどれかを当てにいくより、それぞれがどういうものかを知っておくほうが役に立ちます。

ドライブ型——回転をかけて攻める
ボールに強い上回転をかけて打ち込むドライブを、点を取る手段の中心にする型です。ドライブは前に進む回転がかかるので、強く打っても弧を描いて台に入りやすい——これが攻撃の主力技術になっている理由です。
立つ位置は台から少し離れます。相手の球が来てから、体を使って振り抜くための距離が要るからです。下回転のボールを持ち上げてドライブするところから始まり、慣れてくると連続で打ち続ける形になります。
この型になりやすい人
大きく振って打つのが気持ちいいと感じる人、ラリーが続くほど調子が出る人は、練習を重ねるうちに自然とこの形になっていくことが多いです。基本のフォアハンド・バックハンドの延長線上にある型なので、最初に習う打ち方をそのまま伸ばしていけるのも特徴です。
次の練習で、下回転のボールを10球、持ち上げて返してみてください。ラケットを下から上に振り、こするように打ちます。当たった瞬間に「引っかかる」感じがあって、山なりに飛んで相手コートに入る——これがドライブの手ごたえです。10球のうち何球入ったかを数えておくと、次に練習したとき変化が分かります。
前陣速攻型——台の近くで速く返す
台のすぐ近くに立ち、相手の球が弾んですぐのタイミングで打ち返す型です。「前陣(ぜんじん)」は台の前という意味、「速攻」は速く攻めるという意味です。大きく振らないぶん一球の威力は出しにくいのですが、相手に構える時間を与えないことで点を取ります。
この型では、回転をかけるよりまっすぐ弾く打ち方が多くなります。そのため、表面に粒が並んだ表ソフトを使う人が少なくありません。表ソフトは回転がかかりにくいぶん、相手の回転の影響も受けにくく、球が直線的に飛びます。
この型になりやすい人
反応が速い人、細かく動くのが苦にならない人、そして下がって打つより台の近くのほうが落ち着く人です。身長にかかわらず選べる型ですが、大きく振るスペースを使わないので、力で押し合うのが苦手な人でも成立しやすいのが特徴です。
練習で台から一歩も下がらずに10往復してみてください。いつもより早いタイミングで当てにいくことになります。「これなら返せる」と感じるか、「時間がなくて苦しい」と感じるか——その感覚が、この型が合うかどうかのいちばん分かりやすい目安になります。
カット型——下がって守り、相手のミスを待つ
台から大きく下がり、強い下回転をかけて返し続ける型です。返している球(カット)には下向きの回転がかかっているので、相手がふつうに打つとネットに引っかかります。打ち込ませておいて、相手のミスで点になる——それがこの型の点の取り方です。
「守備型」と呼ばれますが、ただ受けているわけではありません。回転の強さを変えたり、ときどき前に出て攻めることで相手の判断を狂わせます。返す位置が台から離れるので、動く距離はどの型よりも長くなります。
「カットマンに向いている人」とは
よく言われるのは、長いラリーが苦にならない人と走るのが苦にならない人です。カットは1球で決まりません。10球、20球と返し続けたうえで相手が崩れるのを待ちます。その時間を「しんどい」ではなく「自分の時間」と感じられるかが、続けられるかどうかの分かれ目になります。
カット型は、覚えるのに時間がかかる型です。下回転を安定してかけ続ける技術は、基本の打ち方とは別に練習が要ります。また、教えられる人が身近にいるかどうかが上達の速さを大きく左右します。興味があるなら、部活の顧問の先生に「カットを教えてもらえますか」と先に聞くのが確実です。用具も専用のものになるため、始める前の相談をおすすめします。
異質型——回転の変化で相手を崩す
片面に粒高(つぶだか)のような、ふつうとは違う性質のラバーを貼る型です。「異質(いしつ)」は、左右の面の性質が違うという意味です。
粒高ラバーは、背の高い粒が並んでいて、相手のかけた回転を打ち消さずに返すという性質があります。相手が上回転で打ってきた球を粒高で返すと下回転になって戻る——この回転が入れ替わる感じが、相手にとって非常にやりにくいのです。
この型は、ラケットをくるりと反転させて面を使い分けることがあります。相手からすると「今どちらの面で打たれたのか」を見極めなければならず、それだけで判断が一つ増えます。
異質型は、ふつうの打ち方をひととおり覚えたあとに選ぶ型です。粒高は自分から回転をかけるのが難しく、基本のドライブやツッツキを身につける練習には向きません。最初の1本は両面とも裏ソフトにして、基本を覚えてから考えるほうが、結果的に選択肢が広がります。
自分がどれになりそうかの見分け方
いまの自分がどれに近いかは、ふだんの練習で自然にやっていることから見当がつきます。次の4つを思い出してみてください。
| ふだんの自分 | 近い型 |
|---|---|
| 気づくと台から離れて、大きく振っている | ドライブ型 |
| 台の近くから動きたくない。下がると落ち着かない | 前陣速攻型 |
| 打ち合いより、返し続けているほうが安心する | カット型 |
| 相手が嫌がる球を出すのが好き | 異質型に興味が向きやすい |
ただし、これは今の好みが分かるだけです。打ち方をひととおり覚えると感覚は変わります。「下がるのが好きだったのに、うまくなったら前で打つのが楽しくなった」——これは実際によくあることです。
自分では分かりにくいので、いつも打ってもらっている人に聞いてみてください。「自分ってどういう球を打ってると思う?」と聞くだけです。打っている側は、あなたの球のどこがやりにくいかを体で知っています。それが、あなたの持ち味そのものです。
いつ決まるのか——今は決めなくていい
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。戦型は、始めるときに選ぶものではありません。基本の打ち方を覚えていく途中で、「自分はこれが得意だ」というものが出てきて、それが型になっていきます。
順番でいうと、こうなります。
| 時期 | やること | 戦型は |
|---|---|---|
| 始めて数か月 | フォア・バック・サーブ・レシーブの基本 | まだ決めない |
| ひととおり打てるころ | 試合をやってみる。得意・不得意が見えてくる | 方向が見えてくる |
| 得意が固まってきたら | その形を伸ばす練習に時間を使う | 結果として決まる |
先に型を決めてしまうと、そこに入っていない技術を練習しなくなります。たとえば「自分はカット型だから」と早く決めると、ドライブの練習量が減ります。ところが実際のカット型の選手は、攻めるときにドライブを使います。基本の技術は、どの型でも全部使うのです。
正直に「まだ決めていません。基本を覚えたいです」と答えて構いません。それは迷っているのではなく、順番として正しい答えです。もし用具の話が絡んでいるなら、「両面とも裏ソフトで始めたいです」と伝えれば、どの型にも進める形からスタートできます。
型が決まると用具の何が変わるか
戦型がはっきりしてくると、変わるのは主にラバーです。ラケット本体も変わりますが、先に効いてくるのはラバーのほうです。
| 型 | ラバーの選び方 | ラケットの傾向 |
|---|---|---|
| ドライブ型 | 両面とも裏ソフト | 回転をかけやすい木材中心の合板から |
| 前陣速攻型 | 片面に表ソフトを使うことが多い | 弾みが出やすいもの |
| カット型 | カット用に作られたラバー | 面が大きめのカット用 |
| 異質型 | 片面に粒高など | 反転を考えた重さ・形 |
ここで大事なのは順番です。用具を替えたから型が決まるのではなく、型が決まったから用具を替えます。順番が逆になると、「新しいラバーに慣れるまで打てない」状態が続いて、基本の練習が止まってしまいます。
ラケットとラバーの具体的な選び方は、卓球ラケットの選び方と卓球ラバーの種類と初心者向けの選び方にまとめています。質問に答えるだけで候補が出る卓球ラケット診断も用意しました。
握り方(シェーク・ペン)と戦型の関係
「ペンだから前陣速攻」「シェークだからドライブ型」——そう聞いたことがあるかもしれませんが、握り方が戦型を決めるわけではありません。握り方はラケットの持ち方、戦型は戦い方で、別の話です。
| シェークハンド | ペンホルダー | |
|---|---|---|
| 持ち方 | 握手をするように持つ | ペンを持つように持つ |
| ラバーを貼る面 | 両面 | 日本式は片面/中国式は両面も可 |
| バック側の処理 | 同じ握りのまま打てる | ショートか、裏面打法 |
| 進める戦型 | どの型にも | どの型にも |
違いが出るのはバック側に来た球をどう処理するかです。シェークハンドは握りを変えずにバックハンドが打てます。ペンホルダーは、同じ面で当て返す「ショート」か、中国式ペンで裏側のラバーを使う「裏面打法」を覚えることになります。握り方そのものの解説はラケットの正しい握り方にまとめています。
握り方は最初の1本を買うときに決まります。戦型はそのあとです。ただし、どちらの握りでも4つの型すべてに進めるので、「将来この型にしたいから、この握り」と先回りして決める必要はありません。身近に教えてくれる人がどちらを使っているか——そのほうが、実際の上達には効いてきます。
相手の型が違うと、何が変わるか
戦型を知っておくと、自分のためだけでなく相手を見るときにも役に立ちます。初めて当たる型の相手に「なぜか全然入らない」となるのは、返ってくる球の性質が、ふだんの練習相手と違うからです。
| 相手の型 | 返ってくる球 | まず気をつけること |
|---|---|---|
| ドライブ型 | 上回転がかかって伸びてくる | ラケットの面をかぶせ気味にして、上から押さえる |
| 前陣速攻型 | 速く、低く、直線的 | 構える時間が短い。下がりすぎない |
| カット型 | 強い下回転で低く返ってくる | 強く打つと落ちる。持ち上げて返す |
| 異質型 | 回転が入れ替わって返る | いつもの感覚で打つと飛びすぎる/落ちる |
カット型と当たったとき
いちばん多い失敗は、浮いてきた球を思い切り打ってネットにかけることです。カットには下向きの回転がかかっているので、ふつうに前へ打つとラケットの上で下に落ちます。まずは持ち上げて確実に入れるところから始めて、相手が下がりきったところで前に落とす——という順番になります。
もうひとつ多いのが、先に自分の集中が切れることです。カット型はラリーが長くなります。「10球返されても、まだ普通」と思っておくだけで、打ち急いでミスする回数が変わります。
異質型と当たったとき
粒高で返された球は、自分がかけた回転がそのまま戻ってきます。上回転で打ち込んだ球が下回転になって返る、ということが起こります。これを知らないと「なぜか全部ネットにかかる」状態になります。
対策の第一歩はどちらの面で打たれたかを見ることです。難しく感じるかもしれませんが、粒高の面は色が違うので、打つ瞬間の面の色を見るだけで見分けられます。色が見えたら、そのラリーの間は「回転が入れ替わる」と思って返します。
部内に違う型の人がいたら、10分だけ打たせてもらってください。試合をする必要はありません。ラリーを続けるだけで、返ってくる球の重さと落ち方が違うことが手で分かります。当日いきなり試合で当たるより、これを一度やっておくほうがはるかに効きます。
途中で変えてもいいのか
変えて構いません。実際に、中学で前陣速攻だった人が高校でドライブ型になる、というようなことは珍しくありません。体つきが変わったり、練習環境が変わったりすれば、合う型も変わります。
ただし、変えるときには時間がかかります。打ち方だけでなく、立つ位置と、球が来てからの時間の使い方が変わるからです。前陣速攻からドライブ型に移るなら、一歩下がって振り抜く練習を、あらためて積み直すことになります。
「勝てないから変える」は、うまくいきにくい——これはよく言われます。勝てない原因が型ではなく、サーブやレシーブにあることが多いからです。型を変える前に、負けた試合で何点をどう失ったのかを1試合分だけ書き出してみてください。サーブから3球目までで失点が集中しているなら、型を変えても同じところで止まります。
よくある質問
まとめ
卓球の戦型は、よく使われるものでドライブ型・前陣速攻型・カット型・異質型の4つ。違いはどこに立つかとどうやって点を取るか、そしてそれに合わせたラバーの選び方です。
ただし、いちばん大事なのはこれです。戦型は始めるときに決めるものではなく、練習するうちに決まっていくもの。先に決めてしまうと、そこに入っていない技術の練習が減ってしまいます。基本の打ち方は、どの型でも全部使います。
いま迷っているなら、両面とも裏ソフトで基本を覚える——それがどの型にも進める道です。「あなたは何型?」と聞かれたら、「まだ決めていません、基本をやっています」と答えて構いません。
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